修講式

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研修合宿の最終日には修講式があります。


そこで初めて自分の配属先が明らかにされます。


関東に残る者、関西に戻る者、北海道にとばされる者…。

会場は喜びと落胆の声で満たされます。


案の定私は関東、彼女は関西に配属されることとなりました。


私は泣きました。


彼女と離ればなれになるのが悲しくて泣きました。


同部屋で仲良くなった連中と別れるのが悲しくて泣きました。


一緒に講義を受けて、一緒に講師の先生に怒られて、同じ釜の飯を食い、一緒に風呂に入り、同じ屋根の下で寝、一緒に酒を飲んだ仲間達と別れるのが悲しくて泣きました。



私だけがメソメソと泣いていたわけではありません。


研修生も講師陣も誰も彼も全員が号泣していました。



こんなに悲しい気持ちになったのは今までで初めてでした。


こんなに涙が出ることに驚きました。



関西へ旅立つ者達が先に会場を後にすることになりますが、

私は泣きながら彼女の手を取り、「好きっす!」と再び本気の想いを告げました。



彼女も泣いていましたが、

おそらく、その涙は私のために流されたものではないでしょう。


私の顔を見る前から彼女の目は涙で溢れ、頬には涙が伝っていました。




目標というものは常に下方、あるいは上方に修正されていくものだと思います。


私は彼女に会いに何度でも大阪に行くことを、決意表明とさせて頂きます。



完 ~研修合宿編~

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決意表明の夜

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決意表明の夜

クラス飲みの後

私は彼女にメールを打ちました。


「どうしても会いたいから、食堂の前まで来てくれ」


私の気持ちを伝えることは成功しましたが、

彼女の気持ちを聞いておきたかったのです。


12:20頃に来てくれとメールして、私は食堂の前で待っていましたが、

彼女は一向に来ません。

メールも帰ってきません。


「来てくれるまでずっとここで待ってるから」

と再度メールして、私はその場に座り込み待ち続けました。



彼女が食堂の前に現れたとき、私は食堂の前で寝てしまっていました。


彼女に起こされ、私は立ち上がると、

夜遅くに来てくれて有り難うということと

決意表明での馬鹿な行為を謝りました。


彼女は 「面白かったよ」 と言ってくれたので、私は安心しました。


私が次の言葉をなかなか言え出せずにいると、

彼女から「なぜ、わたしのこと好きになったの」と聞かれました。


私はその時まだ酔っていたので、なんと言ったのかはっきりとは思い出せません。

おそらく「好きになるのに理由なんて無い」とか

「好きになったから、好きだって言ったんだ」とか言ったと思います。



実際は、私は彼女とほとんどしゃべったこともないのに好きになったので、

一目惚れに近い感覚だったと思いますが、

シャイな男が女を好きになるきっかけなんて些細なものです。


告白した訳は

ほとんどしゃべったこともない女の子と、何らかの接点が欲しかったからです。


何にもないと、別れればそのままですが、

何か接点があれば、連絡しやすくなると思ったからです。



ともあれ、結局彼女の気持ちを聞き出すことはできず、その場を後にすることとなりました。


ほとんどしゃべったこともないのに

「おれのこと本当はどう思ってるんだ!」

なんて事聞いたって、


「何とも思ってへんわ!」

って言われてしまうのがオチだと、冷静に判断した結果です。

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決意表明

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研修合宿最終日の前日にはクラスのみんなの前で

「決意表明」

をします。


内容ややり方は自由で、何をやっても構いません。


クラスのみんなは

・研修期間中に学んだことや、

・自分の描く社会人像等

を決意表明として話してくれました。



私はここで、好きなあの子に告白をしました。

クラスメートが見守る前で。



クラスは全員で38人いましたが、

私は大取を勤めさせて頂きました。


委員長ごめんな…。



以下 私の決意表明です。



(一端教室から出て、ロンダート・バク転・バク宙で教室に再入場)


「出席番号33番○○です。」


「私は決意表明の前に、みなさんに言っておかなければならないことがあります。」


「私はこんなに素晴らしい仲間に巡り会うことができて、本当に感謝しています。」


「みんなありがとう。」


「私はみんなのことが大好きです。」



「その中でも特に、○○さんのことが大好きになってしまいました。」



「それで、もしよかったら僕と一緒にどこかに遊びにいってくれませんか。」


(ホワイトボードに「好きっす!」って書く)


(Vサインで喜びを表現)


「最後になりましたが私の決意表明は、

人の心を和ます効果があるという、笑顔を絶やさずに社会人として立派に成長していくことです。」


「ありがとうございました。」





彼女にしてみれば、クラスの前で告白なんかされて、いい迷惑だったろうと思います。


しかし、研修合宿が終わればクラスの仲間は全国へ散り散りに別れてしまいます。


この時点では、配属先は研修生達には告げられておらず、

彼女は関西出身、私は関東出身なので、二人が東西に別れてしまう確率はかなり高かったと言えます。



もしかしたら一生再会がないかも知れないのに、

こんなに好きになった人に 自分の想いを伝えることができないまま、

ここで別れてしまうということだけは絶対に避けたいと、強く感じていました。


私には相手の気持ちを考えている余裕など、どこにもありはしなかったのです。

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ヘタレ

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友人にかなりの労力を割いてもらったにもかかわらず、

次の朝教室へ行けば、やはり彼女に話しかけることができません。



「コーヒーでも飲まない?」

いつでも彼女を誘えるように、常にスーツのポケットには小銭が入っていました。


その小銭は結局、自分の缶コーヒーにしか投資されませんでした。



普段であれば、自分がシャイで女の子と会話を楽しめないことを、あまり気にしたりはしません。

それどころか、女の子とペチャクチャしゃべっている男を見ると、

「軟弱者」と決め付け、軽蔑に近い感情を抱いてさえいました。


しかし、この時だけは自分の根性のなさを恨みました。

「軽蔑」は「尊敬」に変わりました。



なぜ、あんなにスムーズに会話できるのだ?

あれはもの凄い能力だ!


それに比べて、俺はなんだ。


何にもできていないじゃないか。



いくら自問自答を繰り返しても、結局何もアクションを起こすことはできませんでした。

その日の夜

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電話越しに「喫煙所で待ってろ」と言った彼は

私のために一肌脱いでくれました。


私の友人は彼女と直接話して、なんとか私の印象を持ち上げられるように努力してくれました。


「あいつは別に君をからかおうと思ってメールした訳じゃない」

「むしろ俺らがまわりで、メール打てだの面白がってしまっていた」

「飲み会の席で、隣に座ろうと頑張ってたのは、君と仲良くなりたかったからだ」

「でもあいつはシャイだから、教室でもうまく話しかけることができないんだ」



私の不可解な行動を良い方向に解釈を持って行ってくれました。



その日の夜、彼女に直接会って

やや浮かれ過ぎて調子に乗っていたこと、そしてモラルやデリカシーのなさを謝りました。



友人が頑張ってくれたお陰なのか、彼女は怒った様子も見せず


「メールは嫌じゃないよ」

「でも無視は嫌だから、教室とかでも普通に会話しよ」

「それから、もう謝るのは終わりにしよ」


と言ってくれました。

事件勃発

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研修合宿最終日の3日前

ついに事件が起きました。


講義が終わり、寮に向かう途中、女の子3人グループとすれ違いましたが、

私はいつものようにうつむき加減で通り過ぎようとしました。


すると、女の子の一人が誰に向かって言うとでもなく

「メールはするのに、会ったら無視するって意味がわかんない!」

という旨でキレてました。


寮に戻り、なんかやばいぞと思った私はクラスの友達に電話をしました。


「とりあえず喫煙所で待ってろ」

とだけ言われ、私は喫煙所へ向かいました。


喫煙所でタバコをふかしながら彼の話を聞くと

事態は大変な方向へ進んでいることに気付かされました。



私は講義の合間の休み時間中は喫煙所にタバコを吸いに行きます。

私の好きな彼女はタバコを吸わないので、喫煙所には来ません。


彼女は喫煙者連中がつるんで、私が彼女に送るメールの内容を話していると思っていたようです。



確かに、彼女とメールができたことに随分浮かれてしまっていた私は

「昨日こんなメールをした」とか「こんな返信がかえってきた」とか

友達に話していました。

どんなメールを打てばいいのか相談に乗ってもらっていました。


喫煙所の仲間だけでなく、同部屋の仲間にもまたしかりです。



おしゃべりの私はモラルやデリカシーに欠けていたと反省しています。



決定打となった出来事ですが、同部屋の一人が

「昨日同じクラスの男からメール来たと思うけど、あのメール実は俺が考えて、あいつに打たせたんだよ」

と彼女に言ったらしいのです。



こうして、私に対する彼女の印象は「キモい」から「最低」になってしまったわけです。

クラス飲み

テーマ:

クラス飲みは1ヶ月の研修合宿中に計4回ありました。

多過ぎ…。


研修終盤になると、私が彼女のことを好きだってことは知れ渡っている状態になってました。

もしかしたら彼女本人の耳にもそういった情報は入っていることと思います。


そんな状態の中飲み会を開くとどうなるのか。


「お前、あいつのことが好きなんだろ?隣行ってこいよ。」

「ちゃんとしゃべれたか?」

とかそんなのばっかりです。


私のヘタレぶりは健在で、なんとか彼女の近くにはたどり着くものの、

話しかけることは決してできません。


彼女からしてみれば、

「なんかちょくちょくわたしの隣に来るけど、全然話しかけてこないな。キモいやつ。」

というような印象だったと思います。



また、酔っぱらってもしゃべれないのだから、

講義の合間の休み時間中に声をかけるなんてことは、不可能に限りなく近い感じでした。



そんな私が唯一無謀ができる状況は、彼女と対面していないときでした。

すなわちメールです。


直接話せなくても、メールはちょくちょく送ってました。



しかし、メールはするくせに、教室や食堂では無視するという不可解な行動によって

わたしの印象は悪くなる一方でした。

飲み会

テーマ:

好きな女の子ができてウキウキの私は

喫煙所で「今クラスに気になってる子がいる」ことを友達に伝えました。


そいつは早速7~8人規模の飲み会を企画してくれて、その女の子にも声をかけてくれました。

ありがたや。


しかし、飲み会の席での私のダメッぷりは、男の風上にも置けない程でした。


頑張ってその女の子の隣の席をゲットしたところまではよかったが、

その後お酒がまわってくるまで、おおよそ1時間くらいは無言を貫き通しました。


やたら緊張してしまって、その女の子の「これ食べる?」とか「サラダ取ろっか?」といったオファーをことごとく拒否してしまいました。

本当は食べたかったのですが、その女の子の箸で取ってもらうのがどうしても恥ずかしかったんです。(バカ)

また、何を勘違いしたか「サラダは女の食べ物だ!」と言って、みんなから大ひんしゅくを買いました。



要するに、この飲み会では良い事なんて一つもありませんでした。


飲み会後に酔った勢いでメールができたことぐらいです。

同部屋

テーマ:

部屋は4人部屋です。

部屋には2段ベッド2つと、勉強机が4つと、クローゼットがあるだけです。

テレビはありません。


講義は17:30頃に終わるので、基本的にその後はフリータイムです。



研修期間中は毎日、同部屋の連中と飲みました。

私はお酒に強い方ではありませんが、それでも毎日3~4缶は空けてました。


同部屋の仲間で話すことは、非常に低レベルのお馬鹿な内容のものばかりでした。

一ヶ月を通して、会話の中に「おっぱい」が登場しない日はおそらくなかったと思います。


初めは4人部屋なんて嫌だなと思っていましたが、とんでもないことでした。

こんな素晴らしい経験をさせて頂いて、会社に感謝しています。



私と彼らとの間には隠し事は一切ありませんでした。


これが実は、後に起きる事件の原因の一つとなってしまいますが、

それまでは何も考えずにただひたすら酔っぱらっていれば、それでよかったのです。

マドンナ出現

テーマ:

研修生は全員で350人程いますが、そのほとんどが男です。

女の子は各クラスに3人しかいません。


そんなところに一ヶ月も閉じこめられていると、大抵の女の子はかわいく見えてくるようになります。


私はクラスが一緒の女の子のことが好きになりました。

たいして話したこともないくせに…。