温井ちまき ブログ

アメリカ在住のトレンド・ジャーナリストのプライベートブログ。取材活動の中で考えたことや日々の思いなどを綴ります。


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<米映画>「ザ・コーヴ」都内上映館ゼロに イルカ漁批判(毎日新聞より)

憲法21条は守るべき!上映中止になった『ザ・コーヴ』出演者で「わんぱくフリッパー」のイルカ調教師が遺憾の意(シネマトゥデイより)

などなど、日本のイルカ漁を描いたドキュメンタリー映画「ザ・コーヴ」が少なくとも東京、大阪で上映中止されることになった。件に関して。

一連の記事を読んでみました。



「度重なる講義や街宣活動予告があり」
「劇場近隣店舗、取引先(筆者注:配給もとのアンプラグド社の取引先、の意です)様への街宣活動の予告を受けるようになり」(以上、シネマトゥデイの記事より引用)

急遽、上映中止になったそうだ。

「この映画を上映したらいかん」と言っている人たちの理由は、「反日映画だから」というのだ。


毎日新聞の記事の方には

「2年前にドキュメンタリー映画「靖国 YASUKUNI」の上映中止が相次いだ際は、街宣活動実施後に中止が決定されたが、今回は抗議活動の予告だけで中止の動きが広がり、表現の自由の萎縮(いしゅく)を懸念する声が上がっている。」

と書いてある。


それで、私が思ったのは「これはダメなのに、あれはいいんだ」ということだ。

何のことかというと、「これ」は「ザ・コーヴ」、「あれ」は「東京都青少年健全育成条例改正案」つまり「非実在青少年」の性的行為を過度に描いた漫画を、18歳未満に売らないよう規制する東京都青少年健全育成条例改正案のことだ。

この条例に反対している人の反対理由は、言葉は違うけど大体のところは「表現の自由に反するから」というものだ。

「非実在青少年」の性行為を過度に描いた漫画を18歳未満に売らないようにする規制には、ものすごくたくさんの人が反対している。議員だの漫画家だの脚本家だの出版社だのが反対しているというニュースを良く見かける。そして、私が目にする限り日本で漫画を買って読む立場の消費者の多くもそう考えているようだ。

で、この条例に関しては「表現の自由は守らなければならない」というのだ。

だけど、「ザ・コーヴ」という映画の表現の自由は全然守られていないのだ。

「2つの話は全然違うよ」と言われるかもしれないけど、どちらも「芸術家が表現した芸術作品」である。表現の方法が「漫画」と「映画」とで異なるだけだ。そうでしょう?なのに、性行為については「表現の自由」が声高に言われ、イルカ漁ってか“反日映画”については、言われないどころか、自粛してしまうのだ。

おかしくないですか?


私は、映画「YASUKUNI」を観た時にも書いたけど(映画「YASUKUNI」を観た2009年9月14日)その映画が反日映画だとかそういうことはどうでもいいと思っている。映画として説得力のある面白いものになっていさえすれば、観て色々と学ぶことがあるだろう。日本の一般の人の多くは、一方的な描き方をしている偏向した作品を見抜く目くらいは持っている。でしょ?


そうかどうか判断するには、観るしかない。

観たら案外面白いのかもしれない(アカデミー賞を取ったかどうかなんて、関係なく)。

もしかしたら「くだんない映画だったよ」と思うかもしれなくて、それならばそう感想を言ったり書いたりすればよいのだ。

くだんなかったら観客は観に来なくなる。それに「反日映画だっていうから観たくない」と観ない人だっているだろう。それはそれで、その人の選択だ。

後者の人の方が多かったら、結局「ヒットしなかったよねー」ていうことで終わる。

それが社会のあるべき姿なんじゃないでしょうか。

なのに「ザ・コーヴ」という映画の上映中止によって、「面白い(かもしれない)映画を観る消費者の権利」が失われてしまったのです。

私が一番不思議なのは、例の東京都条例案については漫画家だの脚本家だの「表現のプロ」が「そんなのおかしい」と叫んだのに、この「ザ・コーブ」の上映については映像関係者とか映画人とかの「表現のプロ」が何も言ってないように思えることだ(ただし、もしかしたら日本では誰か何か言ったり書いたりいるのかもしれない。私はネットでさくっと拾える情報しか見ていないので。念のため)。

「ザ・コーヴ」が上映されないということは、あなたの作品が上映されないというのと同じことなのですよ、と私は言いたいわけです。表現者として、それで納得できますか?おかしくないですか?と。

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