よくよく考えますと、チョットおマヌケなかわったネーミングの駅名に思えてならない私でございます。
当駅における他線との連絡関係は、新宿駅同様、非常にややこしいものとなっております。
かいつまんで申しあげますと、丸ノ内線や西武新宿線をご利用される場合はこの駅でのお乗換えが便利で、逆に、京王線や都営新宿線をお使いになる際には、新宿駅からのほうが好都合かと存じます。
JRと小田急に関しましては、どちらの場合も遠からず近からずといった体ですので、任意での取捨選択が可能となっております。
小滝橋通りを南にすすんでまいりました大江戸線は、新宿大ガード西という交差点にて青梅街道と交差いたします。
青梅街道は、西へすすむふるくからの街道ですが、現代の道路区分で申しますとこの交差点が起点となっております。
同時に、ここより東側の道路が靖国通りになりまして、今回めぐってまいりました大江戸線との直接的な絡みはみせておりませんが、一連の地下鉄めぐりの中においては、幾度となく登場した道路でもございます。
青梅街道を越えますと、道はゆるやかなのぼり坂となってまいります。
進行方向の左側が、いわゆる「思い出横丁」とよばれるところで、たいへん狭いところに飲食店が詰まっている、そんな場所になっております。
私をして、自分自身がそれほどナウなヤングだとは思っておりませんけれども、以前はそこかしこにあったであろうこういった風情も、今となりましてはむしろ目新しささえ感じられるほどになってきているようにおもいます。
これまで歩んでまいりました一年七ヶ月の『思い出』に浸りながら昼酒を…、というのも悪くはありませんが、ゴール目前とはいえどもまだ道半ばということで、しっかり前を向きすすんでまいりましょう。
そんなこんなで坂をのぼりきりますと、ペデストリアンデッキがございますので、そこからまずは、私がすすんでまいりました坂道のほうをみてみます。
ここからですと画面の右手、ビルの立ち並ぶ周囲とはあきらかに違う、新宿駅周辺の特異点ともいうべき思い出横丁の様子が微妙ながらにおわかりいただけるかと存じます。
スクランブルの交差点を横切るほそい道は青梅街道の旧道になりまして、写真向かって右方向へすすんでまいりますと、かつての青梅街道の起点である新宿追分、今でいうところの新宿三丁目交差点へと通じております。
同じところで回れ右をいたしますと、そこは新宿駅西口のおおきなロータリーがひろがっております。
私sanpopo、新宿という街には幼少の頃より出入りしているのですけれども、ちょうど今おりますこのペデストリアンデッキのあたりは、若かりし頃によく、自衛隊への入隊を勧誘された、甘くも切なくもない思い出がある場所でございます。
その当時から、ともうしますか、私の脳裏にやきついている「新宿西口」の光景は、かわらずこの様相なのですが、この地に浄水場があったことを記憶されていらっしゃる方々からしますと、劇的な変貌をとげてきたこのあたりなのだろうと存じます。
その向こうにございます、超高層ビル街へと向かわんがために切るおおきな右カーブが、いよいよ最終コーナーでございます。
そのカーブを立ちあがり、大江戸線は新宿西口中央通りへと入ってまいります。
見なれた光景であるとはいえ、いつもながらにポカーンと口を開けながら上を見あげてすすんでまいりますと、通りの左側に面してそびえる、京王プラザホテルがみえてまいります。
今では新宿の象徴ともいえる超高層ビル街、その歴史の先駆となった建物で、高さは179.55メートル、昭和四十六年の開業時からしばらくの間は、日本一の高さを誇るビルでもございました。
そのうしろに控えておりますのが、東京都庁の第一本庁舎。
その高さは243.4メートルと、四十年前は日本一だったビルより60メートル以上も背の高い建物でありながら、日本一はおろか東京都内でも一番高いビルではございません。
四十年ともうしますと、ほぼ私がこの世で生きている時間に匹敵いたします。
そんな時の経過と、このふたつのビルの対比からうかがうことができる、めまぐるしい社会の進歩には胸を打たれるものがございますけれども、同時にその間の自分自身の進歩のなさには、ただただ胸をつまらせるばかりの私でございます。
この期に及んで、そんなとりとめもないことを考えておりましたら、うっかり終点の都庁前駅に到着でございます。
最後の締めくくり、というわけではございませんが、せっかくですので、都庁の展望台へのぼってみることにいたします。
そこへ向かう途中にございます、『都民広場』と呼ばれる場所から見えるこちらの建物は、都庁の第二本庁舎。
都営地下鉄を運営しております、東京都交通局はこちらの建物に入っております。
窓越しであることにくわえ、湿度をふくんだ空気が予想通り視界を阻んでおりまして、なんだか昭和初期のころのようなトーンになっておりますけれども、こちらからの眺めはだいたいこのようなイメージになっております。
何が見えているのかよくわからねぇ、というのは、これだけあるいてきたところで、結局お前は東京のことなどまだまだわかっちゃいないんだよと神様に啓示されているような、そんな気がしてならないからでございまして、意識の上でのここからの眺めが、いつの日かはっきりとくっきりと捉えられるようになれることを夢見つつ、一年七ヶ月にわたってお送りしてまいりました地下鉄めぐりも、これにて終了と相成ります。
とくに盛り上がりや感動もないまま、さらには以前にもご紹介しておりますから少々バツが悪いとはいえ、すぐそばの十二社熊野神社にて、これまでの無事のお礼をさせていただきましたところで、そろそろおわかれでございます。