ある脳外科医のぼやき

脳や脳外科にまつわる話や、内側から見た日本の医療の現状をぼやきます。独断と偏見に満ちているかもしれませんが、病院に通っている人、これから医療の世界に入る人、ここに書いてある知識が多少なりと参考になればと思います。
*旧題「ある脳外科医のダークなぼやき」


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今日は外来診療について書きます。


普段から病院に通っているという方にとって、興味深い内容となれば、と思います。


タイトルからして、ズルい外来ってなんだ?!と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、

このズルい、とはつまり、病院側がズルい!ということです。


患者さんがズルいわけではありません。


外来というのは病院の収益の多くを占めます。


外来が盛況な病院は繁盛していると考えて、まず間違いありません。


外来診療自体が病院にとっては大切な収入減ですし、入院患者も多くは外来から入ってくるものなので、

外来は病院の生命線なのです。


さて、


ここで言うズルい外来とは何かと言うと、


具体的には、


「再診料を稼ごうとする外来」のことです。


それだけではどういうことか分からないと思うので、例を示します。


たとえば、脳外科や神経内科などの場合、


脳卒中後の患者さんが多いのですが、こういった患者さんが病院に来る目的のほとんどが、


薬の処方です。


脳梗塞になった方は脳梗塞の予防の薬を飲み続けますし、


たとえば脳出血の場合では高血圧が原因のことがおおいので、降圧薬を飲み続けることになります。


ほかにも、


高脂血症の薬など、いわゆる常用薬を飲み続けなければいけません。


これらの薬は当然、薬局で買って自分で飲むというものではなく、


病院で処方してもらう薬ですから、


病院に通わなければ薬がもらえません。


一方で、こういった患者さんは特に普段は何か状態がかわるということはあまりありません。


予防のために飲む薬というのは基本的には何かが起こるまでは、ただただ、

飲み続けるだけのものがほとんどです。


血圧の管理などについては薬を始めた直後は調整が必要ですが、

安定してしまえば、これも特に処置が必要ということはあまりありません。


つまり、こういった安定している患者さんの場合、


病院に通うのはただ薬が必要というだけで、

診察が必要なことはあまりないのが実態です。


この記事を読んでくださっている中にも、

1-3か月おきに薬をもらうためだけに外来に通っているという方がいるのではないでしょうか?


「具合どうですかー?変わりありませんか?血圧もいいようですね。それじゃあ、また○か月分薬を出しておきますねー」


という10秒程度の外来診察のためだけに、

ただただ、薬をもらうためだけに外来に通っているという患者さんも少なくないと思います。


ここで、ポイントなのが、


薬を出す量を1か月分から3か月分程度まで、

医者が選べるということなのです。


当然、

1か月分しか出さなければ、患者は1か月おきに年12回は病院に通わなければなりません。


3か月分であれば、3か月おきの年4回で済みます。


ひどい病院、というか診療所では2週間分しか薬を出さないこともありますから、

そうすると患者は24回も病院に通わなければなりません。


再診料は受診するごとに計上されますから、

薬を出す量を少なくすれば少なくするほど、患者が頻回に病院を受診し、


病院の収入は増えるのです!!


患者の手間は増え、出費も増え、

国の医療費はかさみますが、


病院だけは笑う、というのが、


このズルい外来、再診料を稼ぐ外来の実態です。


全く安定している状態で、薬が欲しいだけなのに、

なぜか2週間とか1か月しか薬を出してくれない! という方は、


腹が立つかもしれませんが、

それが病院の儲けのためであるということを知っておいて損はありません。


さらに詳しくは次回に続きます。


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ここのところ、全くといっていいほど、新しい記事が更新できておりませんでした。


今日は久しぶりの更新です。


今回は、

実際に手術を受ける側の立場にたって、どのような病院で手術を受けたいか?


ということにフォーカスします。


病院や外科医、手術部の実情を知る人間が、

実際にもし手術を受けるとしたらどんな病院がよいのか??


それを考えてみました。


まず、

前提条件として、


手術を執刀する術者の力量、経験が十分であることは言うべくもありません。


そして、麻酔科、手術室看護師に関しても同様です。


ただ、

組織が大きい方が良いかというと、そうではありません。


同レベルの力量のスタッフがそろうのであれば、

出来れば組織は大きすぎない方がいい。


つまり、スタッフ間の連携が密な病院の方がいいのです。


つまりは、

スタッフの力量が同程度であれば、実は、大病院より中規模の病院の方がよいのです。


とはいえ、小規模の病院がより良いかというと、

それは必ずしもそうではありません。


病気で入院している以上、主科以外の病気にかかってしまう可能性もあります。

その際に各科がそろっていない病院では、対応が難しいことがあるからです。


しかし、マンモスのような病院よりは十分な人材がそろってさえいれば、小回りが効いて、

連携が密接な病院の方が良い。


次に、手術件数ですが、

これが難しいところです。


一般的には、手術件数は多ければ多いほどいいとされます。


皆さんも本屋などで、手術の数のランキングなどが書いてある「いい病院」みたいな本を見かけたことがあるでしょう。


しかし、

これは必ずしも多ければ良いとは言えません。


それは何故か、というと、

手術件数を増やそうとする圧力がかかると、どうしても1手術辺りにかけられる時間が少なくなりがちだからです。


当然、手術には、丁寧で時間のかかる操作と、雑で早い操作というものがあります。


もちろん、雑で時間がかかる、というのは論外ですが、

手術というのは、多少時間がかかっても丁寧にやるべき部分はあります。


たとえば、1日に立て続けに何件も手術が入っているような病院ではどうでしょう?


人間ですから、どこかでどうしても1件目の手術はなるべく早く終わらせようという気持ちがスタッフ全体の間で働いてしまいます。そうすると、手早く、という方向に流れてしまうのが人間というものです。


病院としては手術件数≒収入という面がありますので、

どこの病院でも、特に現場を離れつつある上層部は手術数を増やすように指令を出します。


そうすると、

手術室をフル回転させようとします。


といっても、手術室数は限られているので、

一つの手術室でなるべく縦に何件か手術を組もうとするのです。


日本では手術1件あたりの値段というのは術式ごとに決まっていますので、

丁寧にやったから値段が上がるわけでもなく、

ただ、件数を増やせば病院の収入が上がる仕組みになっているからです。


そういう意味で、

とにかく、手術数ばかりを伸ばそうとしている病院は経営面で非常に合理的と思いますが、

そこで手術を受けたいかというと、そうは思えないのです。


これは、

術者についても同じことが言えます。


たとえば、

僕は脳外科医ですが、


年間執刀手術数500件なんていう凄腕の外科医がいたとしても、

その外科医の一患者になりたいかというと、


必ずしもそうは思いません。


年間500件ということは、week dayに毎日2件以上の手術を行っているということになります。


そうすると、

いかにそのドクターが優れた外科医であったとしても、


一件一件に割ける労力というのは少なくなってしまうからです。


術前の検討が不十分になるかもしれないし、

実際に手術中もどこかで早く終わらせようという心理が働いてしまうかもしれないからです。


誰だって人間ですから、そういったことはあります。


もちろん、そういった経験豊富なドクターがしっかり時間をとって手術に臨んでくれるのであれば、

それがベストなのですが、


それらの多忙で有名なドクターのこなす一症例となるよりは、


十分な経験のあるドクターが十分な時間を割いて手術に臨んでくれた方がありがたいと思うのです。


これはどんなことにも言えることだとは思います。


数が増え、手術が”こなす物”となってしまうと、

どうしても一件一件に十分な準備が出来なくなってしまう。


これは人間がやることであれば当然のことだと思うのです。


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今回は頭部CTを撮る上でのデメリットについて書きます。


CTを撮る上で、

患者にとっての最大のデメリットはなんといっても被ばくの問題です。


CTとはレントゲンと同じでX線を使用して体の断層画像を撮影する装置ですが、

その放射線量はレントゲンとは比較になりません。


比較にならないほど多いのです。


実際に頭部CTを1回撮ったからってそれで何か問題が起こるとはまず考えられません。


しかし、

以前のブログにも書いた通り、頭部CTの1回の被ばく量は諸説あるものの、

吸収線量にして被ばく量は50mSV前後とも言われています。


原発事故の際に1時間あたり1マイクロシーベルトの被ばく量というような単位で問題になっていたのを覚えていますか?

mSVはミリシーベルトなので、マイクロの1000倍、つまり1mSVは1000マイクロシーベルトということになります。そのさらに50倍の50mSvがかなり多い被ばく量だということが分かるとは思います。


実際に頭部のCTの場合ではまずはじめに問題となるのは白内障です。


この白内障、つまり水晶体混濁のリスクとなる閾値が500mSvと言われていますので、


つまりは10回も頭部CTを撮れば、

十分に白内障のリスクにされされるという様に理解してよいでしょう。


50mSvどころではなく水晶体には頭部CTで90mSvほどあたるというような報告もありますので、

そう考えると、5-6回も頭部CTを撮影すれば白内障のリスクとなります。


さらに、

放射線の影響というのは大人よりも細胞分裂の盛んな小児で強いことを忘れてはいけません。


ちなみに、この50mSVという値は通常の条件の頭部CTでの値ですので、

もしさらに細かいスライスで撮影するCTの場合(CTアンギオや詳細な骨条件など)ではさらに被ばく量は増えます。


また、よく勘違いした記載がネット上では見受けられますが、


ここまで書いてきた頭部CTでの脳や水晶体への線量というのは、

脳などの体の一部分の吸収線量についての数値です。


頭部CTですから、ちょうど撮影範囲にあたる脳や水晶体にはこのくらいの線量が集中してあたっていますよ、という値です。


よく言う"実効線量"という単位は、この組織ごとの吸収線量とはまた異なり、

全身の被ばく量の単位ですので、別に考える必要があります。


頭部CTの場合はこの全身被ばく量を示す"実効線量"はそれほど高くありません。


2-3mSVという報告から1mSV程度という報告があります。


原発事故の際の避難の基準として国の定めた年間被ばくの実効線量が20mSVですので、

10回ほど頭部CTを撮れば、それをオーバーすることになりますね。


ただ、この20mSVというのは厳しめの基準です。

医療従事者など、日常から放射線被ばくのある放射線診療従事者の年間の許容量は50mSvとなっています。


ただ、この全身被ばく量の目安となる実効線量ですが、腹部CTについては実行線量はかなり多いので注意が必要です。

腹部CTでは1回の検査で実効線量において15mSv程度という報告があります。


2回も撮ればさきほどの20msVはオーバーしてしまいますね。


さて、

少し話が長くなってしまいましが、頭部CTでは脳や水晶体への吸収線量が50mSVほどもあるので、

これはやはりそれなりに多い被ばくと言えるでしょう。


白内障という最も現実的なリスクがある他、

さらに被ばく量が増えれば脳腫瘍などの腫瘍性病変の発生頻度にも関係してきます。


被ばく量はもちろん少なければ少ない方がよいに決まっていますから、

頭部CTを軽い頭部打撲でも無差別に行ってしまうことにはやはり少なからず問題があるのです。


細胞分裂の盛んな小児であれば、尚更です。


さて、

ここまで被ばくの話ばかりしてきましたが、

もう一つの理由が、医療経済的な理由です。


年々医療費が高騰していることが問題になっていますが、

1回CTを撮るコストは撮影と読影量を合わせて1万円を超えます。


保険診療ですので、実際に病院が請求する金額のうち、患者本人の負担はその3割程度で済みますが、


それでももし夜間となれば日中よりも高額になりますから、

患者の負担も5000円近くなるはずです。


軽い頭部打撲でCTを乱発するほどの経済的な余裕が、すでに医療費が財政を圧迫しつつあるこの国に今後もあるとは思えません。


やはり、

「2歳以下だから頭部CT!」というのではなく、ほんとうにCTが必要なのかどうか、

そして、その必要性は被ばくの影響を上回るのかどうかを考え、両親と相談した上で決めるべきであると、


僕は思います。


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