ある脳外科医のぼやき

脳や脳外科にまつわる話や、内側から見た日本の医療の現状をぼやきます。独断と偏見に満ちているかもしれませんが、病院に通っている人、これから医療の世界に入る人、ここに書いてある知識が多少なりと参考になればと思います。
*旧題「ある脳外科医のダークなぼやき」


テーマ:

雑に医師を二種類に分けると、


論文を書く医師と、

論文を書かない医師、の二種類がいます。


人によっては、

医師は皆、小難しい英文論文を読んだり書いたりしていると思っている方もいらっしゃるかもしれません。


しかし実際はといいますと、

むしろ論文をよく書く医師は全体の中ではごく一部です。


変なことを言ってしまうと、

別に論文を書いたりせずとも、

医師として臨床能力を高め、働いて生きていく上では問題は特にありません。


論文を書いたからといって、それで直接儲かるわけでもありませんしね。


では、なぜ論文を書く医師がいるのかというと、

これは2つの側面があります。


一つは、

これは言うまでもなく当然のことですが、


医師というのは学者でもあらねばならないからです。


医学の進歩のために日々医師は考え、

新しい知見、珍しい知見を得ることがあれば、それを人類共通の知識とすべく論文の形にしなければなりません。


つまり、論文を書くというのは、

医師として、アカデミアとしての責務であるとも言えます。


これが、

医師が論文を書く上で、最も基本的かつ崇高な理由です。


しかしながら、

やはり世の中それだけではありません。


それは何かというと、

皆さんも白い巨塔やドクターXをはじめ、いろいろな医療ドラマを見て、お気づきになるかとは思うのですが、


論文には医師の手柄、という側面があるのです。


つまりは、医師が大学や国公立施設などのアカデミックポストで出世、権力を得る為の要素として、重要なのが論文などの学術的な業績なのです。


もちろん、

優れた論文を書いた人間、つまり学問の世界で優れた業績を上げた医師が、

アカデミックポストの地位を登って行くというのは、理にかなっているとは思います。


ただ、問題は、

たとえば教授争いなどに代表されるように、論文などの業績が争いのための道具となりうることです。


そうすると、

業績のための論文、というようなことになりがちです。


あってはなりませんが、研究自体も、業績を重ねるための、


つまり、

論文のための研究、というようにもなりかねません。


論文の評価というのは、

どれだけ権威のある医学雑誌にのったかということで評価をされるのが、

未だに一般的です。


医学雑誌にはそれぞれ、インパクトファクターと呼ばれる点数がついていて、

その点数で掲載された論文も評価されるのです。


日本ではいまだに、業績である論文のインパクトファクターの総和が業績の量として判断されがちです。


よって、

論文の数が増えれば増えるほど、業績が増える、という風に考えるのが一般的なのです。


つまり、

論文になりそうなものであれば、なんでも論文にしてしまおう、という考えがあってもおかしくありません。


その結果として、たいして学術的な意義の大きくない論文が無数に生まれることになります。


もちろん、

権威のある雑誌であればあるほど、

その論文を掲載するかどうかについては厳しい査読が行われます。


ところが、

そうでない雑誌も山ほどあります。


2-3名の査読者が、「まあ、良し」と判断すれば載ってしまうような雑誌の方が一般的なのです。


世界トップクラスの雑誌ですら、STAP細胞論文のようなことが起こるのですから、

この辺は結局のところ、所詮人間が判断しているといわざるをえません。


雑誌のランクが下がればなおさらのことです。


さらには人間が判断するものですから、コネの要素だってないわけではありません。


「彼のボスのなんとかさんのところにはお世話になってるからな、

彼の業績にもなるし、載せてやろう」


なんていうことも、ありえないかというと、そうでもないでしょう。


色々話がそれましたが、

結局、何が言いたいかというと、


世の中には人類の遺産とも言うべき論文がある一方で、

無数のたいしたことない論文があるということです。


中には、

これ、ほんと?

都合よく解釈したんじゃないの??


という怪しい物まで、山ほどです。


わりと良い雑誌にもそういう論文が平然とのってたりするもんですから、

まあ、まさに玉石混合です。


有名な雑誌に、全文英文で、それっぽく載っていても、本当の価値は一概には言えません。


要は、i

PS細胞の論文や、

アインシュタインの相対性理論の論文がある一方で、


STAPみたいな論文もあるということです。


まあ、もちろん、

虚偽の内容でさえなければ、どんな論文でもそれは人類共通の知識となるわけですから、


論文を書かない人よりは書く人の方が立派であるということには、

間違いはありません。


出世や見栄のためにおかしな論文を世に送り出すようなことをする人がいつの世にもいることが、

問題なだけなのです。



名月の電子書籍と紙の書籍の紹介↓



続 誰も教えてくれない脳と医療の話/R&M
¥398
Amazon.co.jp



誰も教えてくれない手術の話/R&M publisher
¥300円
Amazon.co.jp
誰も教えてくれない脳と医療の話 改訂電子版/R&M publisher
¥300円
Amazon.co.jp



サクッと読める!「脳」の話/名月論

¥300円
Amazon.co.jp

紙の書籍↓ 誰も教えてくれない脳と医療の話 脳神経外科の現場から/名月 論 ¥1,365 Amazon.co.jp
誰も教えてくれない脳と医療の話
¥1,365
楽天

読んだらクリックしてね↓

このブログの順位がわかります↓

人気ブログランキングへ


AD
いいね!した人  |  コメント(6)  |  リブログ(0)

テーマ:

長年、日本ではタブーとされてきた手術があります。


それは精神疾患に対する脳手術です。


前頭葉を破壊する手術、ロボトミーと呼ばれた手術がありました。


この手術が本来の適応を逸脱し、反社会的な人格障害などに対してまで適応拡大して行われるようになった結果、


衝撃的な殺人事件など、その他の時勢とも相まって、

日本では精神外科を否定する決議が学会でなされました。


以後、この国では精神科疾患に対する手術治療はタブーとされ、

全く行われておりません。


しかし、時代の移り変わりと医学の進歩によって、、

かつてのように粗雑に脳を破壊することなくとも、ピンポイントで狙った部位の脳を熱凝固する方法や、電極で刺激する方法など、


脳に対するダメ―ジの少ない治療法が現代では生まれています。


こういった治療は、

パーキンソン病や、手の震え、もしくは、ジストニアと呼ばれる異常な手足の動きに対して、

日本でも行われております。


日本ではパーキンソン病に対して、最も多く定位脳機能手術が行われているのですが、

実はそのターゲットとなる刺激部位が精神への影響も持つこともわかっています。



精神に影響を与えることを目的とするわけでもなく、単にパーキンソン病の治療として行ったはずなのにもかかわらず、患者さんの精神状態が不安定になるようなことがあるのです。



そういう意味では、目的は違えども、日本でも精神の影響を与えうる手術は行われているということにはなるのかもしれません。


ただ一方で、海外では日本ではタブーとされた精神疾患に対しても同様の治療が検討され続けており、

近年、データが蓄積されつつあります。


海外では日本のように、精神外科そのものをタブーとしているわけではないからです。


日本がこの分野の歩みを完全に止めた数十年間の間に、海外では一方ずつ進歩が進んでいるというわけですね。


そして、今回この記事を書いているのは、

ようやく日本でも動きが出始めようとしているからです。


海外でのデータを踏まえて、非常に慎重に、そして適応を絞って、第一例が行われる準備が少しずつ、勧められています。


当然、

タブ―とされた治療を再び動かしだすわけですから、絶対に間違いながいように慎重に一歩一歩進められているようです。


治療自体が有効であるということと、

正しい適応で、他にもう治療法のない苦しんでいる患者さんへ行うということが、

絶対的な条件です。


日本で現在手術治療が検討されているのは、

強迫性障害という精神疾患です。


これは重度となると、手の皮がすりむけるまで手を洗い続けてしまったり、

何度も何度も同じことを確認し続けて日が暮れてしまったり、


とにかく生活を非常に害する疾患です。


この疾患で苦しんでいる患者はパーキンソン病よりもはるかに多くいらっしゃるようですし、


現状の治療で、治療の手立てがない方については、

本当に少しでも有効な治療ということで手術に期待している方もいらっしゃるでしょう。


そういう方のためにも、着実に日本でも有効な手術治療が進めばよいと僕は思います。


皆さんはこういった、

精神疾患に対する脳の手術に対してどういったイメージをお持ちですか?


また、そういった治療が日本で始まることに関して、どう思われますか?


何かご意見があればお願いします。


名月の電子書籍と紙の書籍の紹介↓



続 誰も教えてくれない脳と医療の話/R&M
¥398
Amazon.co.jp



誰も教えてくれない手術の話/R&M publisher
¥300円
Amazon.co.jp
誰も教えてくれない脳と医療の話 改訂電子版/R&M publisher
¥300円
Amazon.co.jp



サクッと読める!「脳」の話/名月論

¥300円
Amazon.co.jp

紙の書籍↓ 誰も教えてくれない脳と医療の話 脳神経外科の現場から/名月 論 ¥1,365 Amazon.co.jp
誰も教えてくれない脳と医療の話
¥1,365
楽天

読んだらクリックしてね↓

このブログの順位がわかります↓

人気ブログランキングへ


AD
いいね!した人  |  コメント(16)  |  リブログ(0)

テーマ:

本年もあけましておめでとうございます。


今年は、昨年のように大晦日から、元旦、さらには2日までずっと病院というような、

鬼のような当直生活は免れました。


とはいえ、

今年もやはり、三が日なのに今日も病院に泊まっています。


どうも、

やはり医師という職業は、世間がお休みの時も働かなければいけないというような、

宿命があります。


しかも、我々のような若手の医師の場合、

そういった土日祝日の仕事が収入源であったりするので、


たちが悪いんです。


特に大学病院に勤務している医師などの場合、

平日の大学での業務には給与があまり出ないため、


主な職場である大学病院からの収入よりも、

当直などのパート収入がメインとなっていたりします。


まったく、これはどうにかなればよいのですが。


こんな愚痴で新年早々の記事を始めてしまうのもどうかとは思いますが、

こんな晴れているいい祝日に、病院にずっと閉じこもっていると、愚痴がこぼれてしまうものですね。


とはいえ、

今年もいろいろと記事は書いていこうと思います。


大分いろいろとこれまで書いてきたこともあり、

これを書こう!というのがなかなかすんなりとは出てこなくなってしまったこともありますので、


なにかリクエストがあればどんどん、

メールでもコメントでもいただければと思います。


もちろん、私の方でも、

今年はこういうことを書いていこうというようなアイデアはありますので、


少しでもためになるものを書ければとは思います。


それでは皆さん、

今年もよろしくお願いいたします。


名月の電子書籍と紙の書籍の紹介↓



続 誰も教えてくれない脳と医療の話/R&M
¥398
Amazon.co.jp



誰も教えてくれない手術の話/R&M publisher
¥300円
Amazon.co.jp
誰も教えてくれない脳と医療の話 改訂電子版/R&M publisher
¥300円
Amazon.co.jp



サクッと読める!「脳」の話/名月論

¥300円
Amazon.co.jp

紙の書籍↓ 誰も教えてくれない脳と医療の話 脳神経外科の現場から/名月 論 ¥1,365 Amazon.co.jp
誰も教えてくれない脳と医療の話
¥1,365
楽天

読んだらクリックしてね↓

このブログの順位がわかります↓

人気ブログランキングへ


AD
いいね!した人  |  コメント(24)  |  リブログ(0)

AD

Ameba人気のブログ

Amebaトピックス

      ランキング

      • 総合
      • 新登場
      • 急上昇
      • トレンド

      ブログをはじめる

      たくさんの芸能人・有名人が
      書いているAmebaブログを
      無料で簡単にはじめることができます。

      公式トップブロガーへ応募

      多くの方にご紹介したいブログを
      執筆する方を「公式トップブロガー」
      として認定しております。

      芸能人・有名人ブログを開設

      Amebaブログでは、芸能人・有名人ブログを
      ご希望される著名人の方/事務所様を
      随時募集しております。