ある脳外科医のぼやき

脳や脳外科にまつわる話や、内側から見た日本の医療の現状をぼやきます。独断と偏見に満ちているかもしれませんが、病院に通っている人、これから医療の世界に入る人、ここに書いてある知識が多少なりと参考になればと思います。
*旧題「ある脳外科医のダークなぼやき」


テーマ:

夜間休日の時間帯の脳外科の外来をやっていると、


実に半数以上の患者さんは頭部打撲で外来を訪れます。


それ以外の、残りの患者さんの大部分は脳梗塞で、

たまに慢性硬膜下血腫や、脳出血やくも膜下出血が紛れている、というような感じです。


そして、

どちらかというと、夜間の方が多くの頭部打撲の患者さんが病院に訪れます。


ちなみに、

日中に頭部打撲で病院を受診するのはわりとお子さんが多いです。

そして、そのほとんどが軽傷です。


外来で頭皮を縫ったりする必要がある子が何割か、という程度で、


病院を受診する小児の頭部打撲のうち、入院が必要になったり手術が必要となるような重症例は1%もいません。


逆に入院を必要とするような重症例は、稀ですが、やはり一目見て具合がおかしいことが多いです。

頭をぶつけてもほとんど普段通り元気にしているお子さんは、まず大丈夫なのです。


つまりは、

小児頭部打撲のほとんどが「心配だから念のため」というような受診です。


これらの軽傷の患者に対して見境なく全例にCTを行うという愚については、

以前にこのブログで記事にした通りです。


さて、

一方で夜間に来る患者の多くはどのような方かというと、


酔っ払いです。


泥酔してしまって、転んで頭をぶつけてしまう人が多いのです。

特に都市部での夜間は酔っ払いの数がぐんと増えます。


どんな年代の人が多いと思いますか?


無茶して一気飲みする若者に多いのかと思いきや、

実は酔っ払いの頭部打撲で一番多いのは50-60代の男性なんですね。


若者も少ない訳ではないですが、

中高年が多いような気がします。


思うに、一気飲みした場合は頭部打撲するというよりも、

急性アルコール中毒で運ばれることが多いと思います。


逆に、

落ち着いて長時間飲んでいる中高年男性の場合、

飲み終わって帰り道に千鳥足で転んで頭をぶつけることが多いようです。


この泥酔による転倒では、

結構ひどい傷の患者さんが多いので注意してください。


酔っていると受け身が取れないのが原因なのでしょう、

頭皮がぱっくり裂けている人も少なくありません。


傷だけみればかなり酷い傷の患者さんが多いのが、酔っ払いの頭部打撲の傾向です。


ただ、そうは言っても、入院が必要となったり、脳を助けるための手術が必要になるようなケースは、

これも、あまりありません。


最後に、

酔っ払い以外に、夜間は他にどんな患者さんが多いかというと、


これは意外かもしれませんが、


老人ホームなどの施設の高齢者です。


これもほとんどは転倒ですが、中にはベッドからの転落などがあります。

別に夜間だけに多いという訳ではなくて、日中も夜間もコンスタントに運ばれてきます。


だいたいはこれも軽傷が多いのですが、

施設の従業員の方が念のために受診させるというパターンです。


彼らも自分の施設の入居者に何かあれば、いろいろと責任問題などで大変なので、

たとえ軽傷でもかならず受診させるようにしているようです。


そのためか、

頭を本当にぶつけたかどうかも定かでない患者さんも運ばれてきます。


最初に書きましたが、

脳外科の夜間休日診療の半数以上を占めるのが頭部打撲ですから、


僕らは当直の時間帯などは、

半分以上はこういった仕事をしているのです。


とりとめもない記事ですが、

「脳外科の先生って当直の間はどんな仕事してるんですか?」


という質問をいただきましたので、

お答えしてみました。


ちなみに、

たとえば内科当直ではもっとバラエティは増えるものの、

やはり一番多いのは風邪などになるでしょうし、


たとえば整形外科では捻挫や骨折などの怪我がほとんどですね。


名月の電子書籍と紙の書籍の紹介

誰も教えてくれない手術の話/R&M publisher
¥300円
Amazon.co.jp
誰も教えてくれない脳と医療の話 改訂電子版/R&M publisher
¥500円
Amazon.co.jp



サクッと読める!「脳」の話/名月論

¥300円
Amazon.co.jp

読んだらクリックしてね↓

このブログの順位がわかります↓

人気ブログランキングへ

紙の書籍↓ 誰も教えてくれない脳と医療の話 脳神経外科の現場から/名月 論 ¥1,365 Amazon.co.jp
誰も教えてくれない脳と医療の話
¥1,365
楽天

読んだらクリックしてね↓

このブログの順位がわかります↓

人気ブログランキングへ




AD
いいね!した人  |  コメント(4)

テーマ:

前回の続きとして、


「ズルい外来診療」について、掘り下げていきましょう。


薬の継続処方が必要なだけの安定した患者を、


たとえば2週間おきであったり、1か月おきに頻繁に通わせることは、


病院が儲けるためのズルい外来診療だと前回書きました。


発売後1年以内の新薬にかぎって、たしかに2週間までしか処方できないというルールはあるのですが、

実際にはそれ以外でもあえて短めにしか処方しないようにしている病院はあります。



これはたくさん患者を通わせることで再診料を稼ぐという仕組みになっています。



投薬が主目的の外来であれば、


3か月おきであれば年4回ですむところ、


1か月おきとなると年12回、


2週間おきとなると年24回も受診が必要となります。



つまり、3か月分薬を処方した場合と、2週間おきの場合では、


年に20回もの受診回数の差が出てくるのです。



さあ、


それではこれが金額としていくらくらいになるのかを計算してみましょう。


通常の診療所や200床以下の中小病院の場合、


再診料というのは720円となっています。



ただ、実際にかかるのはこの再診料だけではありません。


病気を外来で管理しているという名目で、「外来管理加算料」というものが上乗せされます。


これは、520円です。



この2つを合わせると、実際、再診には1240円かかることが分かりますね。



さらに、これだけではありません。


「特定疾患療養管理料」としての「指導管理料」いうものがあります。


これは、


結核、がん、甲状腺機能異常、糖尿病、高脂血症、高血圧、狭心症、心筋梗塞、不整脈、心不全、脳梗塞、慢性気管支炎、喘息、胃・十二指腸潰瘍、慢性肝炎、慢性膵炎など


の病気の外来管理について月に2回までに限り、適応される加算です。


ここに、高脂血症や高血圧が含まれていることがわかりますね。


また、たとえば脳に関わる診療科では、脳梗塞が含まれています。



これらの病気の患者の外来診療では、診療所の場合、


上記の再診料と外来管理加算に加えて、2250円が追加されます。



この金額は入院ベッドが100床未満で1470円、100-199床の病院で870円と、

病院が大きくなるにつれて下がるのですが、

開業医の診療所など、小規模の病院では2250円となっています。


つまり、


たとえば、診療所では高血圧の患者が1回外来にくるだけで、


「再診料」+「外来管理加算」+「特定疾患療養管理料としての指導管理料」 で、


720 + 520 + 2250 = 3490円になるのです。



これが年間20回分違ってくるとすると、


69800円、つまり、七万円です!



患者一人につき、同じ薬を処方するだけでも、


2週間おきにこさせるか、3か月おきにこさせるかだけで、


七万円の収入の差になります。


患者が100人いれば、七百万の差です。



短い期間分の薬しか処方したがらない診療所がある理由がわかるような気がしませんか?

同じことをしていても、

薬を出す量を減らすだけで、こんなにも収入が違うのですから。


ところで、


200床以上の大病院となると、この計算は大分変ってきます。


なぜかというと、

「外来管理加算」も「特定疾患療養管理料に関する指導管理料」も取れないからです。


つまり、この2つがゼロなので、200床以上の病院では再診料730円だけになります。


かなり違いますよね。

診療所では3490円の収入になるものが、

大病院では730円にしかならないのです。



これは、なるべく大病院では外来再診を診ないようにして、大病院の負担を軽減させるように仕向けるという国の方針の結果ですし、


まあ、ある意味、小規模の診療所や病院を助ける方策なのでしょう。


そもそも、大病院に勤めているのは私みたいな勤務医ですから、

外来の収益や病院の収益が直接自分の給与に響くわけではありませんし、


大病院では勤務医は状態が安定していれば、逆になるべく長い期間の分の薬を処方しようとします。


外来はそうでなくとも混んで大変ですし、

処方だけのための外来は少ないに限りますから。


さてはともかく、


診療所などではあえて少な目にしか薬を処方しない理由が、ここまででご理解いただけただろうとは思います。


多くは収益のためなのです。


診察の回数が多ければ、

それだけ小まめに管理できる! というような理屈もあるでしょうが、


実際はほとんど状態の変わらない患者に薬を出しているだけ、というのが大部分なのですから。


患者の負担としては、


診察に毎回行く手間、交通費、時間 に加えて、


上記金額の1-3割分の負担があります。


3割負担の方であれば、年間4回と24回の受診では、7万円の3割として、約2万円の支払いの差が生まれることは言うべくもありません。


1割負担の高齢者ではそれでも7000円程度の差ですが、


そもそもは国民全体の税金から成り立っている医療費から支払われていることを忘れてはいけません。


得をしているのはその医療機関だけなのです。


まあ、

とはいえ、


実際には患者のなかにも1か月に1度は診てもらうと安心、という方も、

半分もいないにしても何割かはいらっしゃいますから、


なんともいえないところもあるのですが、


そうではなくて、


「状態も安定しているのに、特にたいした診察するわけでもなく、薬をもらうためだけに頻繁に病院に通っている」


という方がいらっしゃったら、長期処方を希望するべきとも思います。


もし何か体調の異変があったら、そのときはそのときで病院に行けばいいだけなのですから。



名月の電子書籍と紙の書籍の紹介

誰も教えてくれない手術の話/R&M publisher
¥500円 (現在キャンペーンで無料配布中。11/25まで)
Amazon.co.jp
誰も教えてくれない脳と医療の話 改訂電子版/R&M publisher
¥500円
Amazon.co.jp



サクッと読める!「脳」の話/名月論

¥300円
Amazon.co.jp

読んだらクリックしてね↓

このブログの順位がわかります↓

人気ブログランキングへ

紙の書籍↓ 誰も教えてくれない脳と医療の話 脳神経外科の現場から/名月 論 ¥1,365 Amazon.co.jp
誰も教えてくれない脳と医療の話
¥1,365
楽天

読んだらクリックしてね↓

このブログの順位がわかります↓

人気ブログランキングへ




AD
いいね!した人  |  コメント(12)

テーマ:

突然の気まぐれなのですが、


明日から拙著「誰も教えてくれない手術の話」がKindleで無料配布されます。


5日間限定となります。


11/21 - 11/25 までです。


興味がある方は是非、この機会にどうぞ !!

名月の電子書籍と紙の書籍の紹介

誰も教えてくれない手術の話/R&M publisher
¥500円
Amazon.co.jp
誰も教えてくれない脳と医療の話 改訂電子版/R&M publisher
¥500円
Amazon.co.jp



サクッと読める!「脳」の話/名月論

¥300円
Amazon.co.jp

読んだらクリックしてね↓

このブログの順位がわかります↓

人気ブログランキングへ

紙の書籍↓ 誰も教えてくれない脳と医療の話 脳神経外科の現場から/名月 論 ¥1,365 Amazon.co.jp
誰も教えてくれない脳と医療の話
¥1,365
楽天

読んだらクリックしてね↓

このブログの順位がわかります↓

人気ブログランキングへ




AD
いいね!した人  |  コメント(5)

AD

Amebaおすすめキーワード

Ameba人気のブログ

Amebaトピックス

ランキング

  • 総合
  • 新登場
  • 急上昇