ある脳外科医のぼやき

脳や脳外科にまつわる話や、内側から見た日本の医療の現状をぼやきます。独断と偏見に満ちているかもしれませんが、病院に通っている人、これから医療の世界に入る人、ここに書いてある知識が多少なりと参考になればと思います。
*旧題「ある脳外科医のダークなぼやき」


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だいぶ時間が空いてしまいましたが、

前回の血圧の話に続いて、コレステロールに関する話を書いていこうと思います。


血圧が高いのは基本的には悪いことだと書きましたが、

コレステロールに関しては、一概にそうとは言い切れない点もあるということを先に書いておきます。


ただし、

基本的には、やはり高コレステロールはネガティブな要素の方が多いとされているということを念頭に

読んでいただければと思います。


さて、コレステロール値と一般的にいうと、

まずはTC (total cholesterol)といって、総コレステロールという指標があります。


この総コレステロールは主に、

いわゆる悪玉コレステロールと、善玉コレステロールと呼ばれている2種類で成り立っています。


悪玉というのはLDLと呼ばれているコレステロールの分画で、

善玉というのはHDLと呼ばれている分画ですね。


このうち、

動脈硬化と繋がりが強いと言われているのがLDLなので、

コレステロールの治療と言えば、主にはLDLを下げることが目的となります。


総コレステロールはこのLDLとHDL、そしてTG (trigliceride)の1/5の和として計算することが多いです。


さて、それでは本題にうつります。


この総コレステロールの値が脳卒中と関連するかどうかなのですが、

まあ、勿論こういう話の流れなので、当然総コレステロールが高ければ高いほど脳卒中は増える、

と思う方が多いでしょう。


ところが、実はコレステロールが増えるほど脳卒中が増えるという単純な図式ではありません。


脳卒中と総コレステロールについては、

関連はあると考えられるものの、狭心症や心筋梗塞などの冠動脈疾患ほどは関連がないとされています。

関連がないとする報告すらあるのです。


さらに、

脳卒中のうちの脳出血に関しては、むしろコレステロールが低い人にほど多いという報告すらあります。

高血圧+低コレステロールが脳出血のリスクとするような報告もあるのです。


一方、

同じく脳卒中に含まれる脳梗塞に関しては、

脳梗塞の原因となりうる頚動脈狭窄や頭蓋内の動脈狭窄と、コレステロールの関係が強いとする報告は多いのです


コレステロールが動脈硬化に強くかかわっていることは、

やはり結局は脳梗塞に繋がると思ってしまいますよね。


総コレステロール値が直接脳梗塞を増やすという話にはなっていないものの、

動脈の狭窄にはかかわっている、というのは、なんとも煮え切らない話ですが、


やはりコレステロールが高いのはよいものではない、と考えていただければいいのではないかと思います。


さらにややこしい話として、

総コレステロールが高いことが直接脳梗塞と関わっていないとしながらも、


一方でコレステロールを下げるための薬であるスタチンを内服すると、

脳梗塞を減らすことができるという報告が数多くあります。


これはスタチンによるコレステロール低下作用のみが直接脳梗塞を減らしているのではなく、

抗炎症などの他の作用も効いているからだと説明されています。


また、

これまた脳卒中に含まれるくも膜下出血については、

コレステロールとの関連性は現時点では明らかでないとされています。


まあ、臨床医の感覚としては、やはり動脈瘤の形成には動脈硬化がかかわっているような印象がありますから、

全くもってシロというようには考えにくいのですが。。


まあ、

全体的にコレステロールが脳卒中について直接クロという証拠は少ないにしても、

外堀から埋められてグレーからクロに近いという状況、ということですね。


それでは、

実際にどの程度までコレステロールを下げればいいのでしょうか?


これまではLDL値にして140以下とされていました。


ただ、それが最近やや変更となり、

リスクのある人については120-140


逆に全くリスクのない人については、

LDLで180を越えた場合のみ、160以下にコントロールすることが推奨されています。


ここでいうリスクとは糖尿病とか、心臓病とか、他の持病を抱えている人、

ということです。


LDLを下げるために飲む薬は、

先ほども書きましたが、スタチンと呼ばれている薬になります。


次に、食事内容でLDLを減らそうとした場合、どのような心がけが必要でしょうか?


高コレステロール食品をあまり食べすぎないということが重要というのは世の中で知られている通りなのですが、


実はそれだけ守ればいいということではありません。


確かに外から摂取するコレステロールは減らした方がいいに決まっていますが、

体内でつくられるLDLにも注意が必要なのです。


では、そのために何を注意すべきかというと、

カロリーです。


カロリーをとりすぎるとLDLは体内で合成される方向にはたらいてしまうので、

カロリーも抑えなければいけないのです。


脂っこい物や魚卵などを避けていたとしても、

その分、お米などの炭水化物を多めに摂っていたとしたら、あまり意味がないということですね。


LDLが高いと言われた方は食べ物のコレステロールだけではなくて、摂取カロリーにも注意してください。



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何度か過去にも同じようなテーマの記事を書いたかもしれません。


血圧とコレステロールの管理というのは、

おそらく一般内科でも脳外科でも、外来で最も頻繁に診療する内容ではないでしょうか?


ただ、実際に、

これらがどの程度影響するのか?


また、

どのくらいの値にコントロールしておけばよいのか?


という点に関して、我々医師が思っているよりも、知らない方は多いように思います。


もちろん、

自分の健康に気を配っている人からすれば常識的なことかもしれませんが、

忙しい人や無頓着な人は、なんとなく、健康診断で異常と言われるまでは、あまり気に留めないことかもしれません。


この2つの値が影響する臓器は主に、心臓と脳と腎臓です。


共通点はといいますと、

血管です。


つまり、血管の動脈硬化がこれらの臓器いずれにとっても大きな問題となるからです。

そして、動脈硬化の大きなリスクとなるのが、この血圧とコレステロールなのです。


今回は血圧とコレステロールをだいたいどのくらいの値に納めておけばよいのか、

その基準について、書いていこうかと思います。


まず血圧について、

一般的な常識として知られているであろう数値として、140と90があります。


毎日血圧を測って、

収縮期血圧が140を、拡張期血圧が90を超えてきたら、

これは要注意です。


このラインを越えると、大病の元であると考えた方がいいかもしれません。


実際、

脳卒中の観点から見ても、脳卒中の既往のある人などは、

140/90以下になるように血圧をコントロールするのが一般的です。


心筋梗塞や狭心症などの冠動脈疾患の方も、

実は脳卒中と同様で140/90とされています。


ちなみに、糖尿病や腎障害のある方はさらにもう少し下げて、130/80がいいとされております。


じゃあ、そういう病気のなにもない人はどうなの?

というと、これも75歳未満の人は140/90とされていて、

75歳以上の人は150/90未満であればいいでしょう、ということになっています。


さらに細かいことを言うと、

これらの数値は診察室で測った時の血圧という設定になっています。


それでは、家で測る場合はどうなのかというと、

自宅で落ち着いているときはもうちょっと低いはず、ということで、

5を引いた数値となっています。


つまり脳卒中の既往のある人などは135/85ということになりますね。


これくらいの数値を基準に血圧に気を付けましょうということになります。


では、高かったらどうするか?

ということですが、


まずは減塩です。

あとは、減量です。


食事の塩分を減らし、さらには運動など健康的な範囲で体重を減らすことです。


他には、野菜や果物をしっかり摂取する、

脂質を減らす、

有酸素運動をやる、

節酒する、

禁煙する、


というようなことを頑張ってもらいます。


喫煙者の方には禁煙はとても大切で、

僕は脳卒中でかかっているような方には禁煙外来に行ってでも禁煙してもらうようにしています。

もともと血圧の値が多少基準をオーバーしている程度で、かつ特にリスクのない人の場合は、

これらの努力によって血圧が目標を達成すればOKとなります。


3か月くらい様子を見ていいでしょう。

逆に3か月でもダメなら、薬を開始です。


しかし、血圧がもともと160/100を越えるような人の場合は、よっぽど何も他のリスクがなくても、

猶予は1か月です。


1か月で下がらなかったら、これも薬を開始することになります。


ちなみに180/110をこえていたり、

他にも喫煙や高脂血症、肥満、糖尿病など、リスクが沢山あるような方の場合は、

すぐに薬を飲み始めてもらうことになります。


もちろん、薬だけでよいわけではありません。

上に書いたような生活習慣の改善と並行して薬も飲んでもらうということです。


こうやって、

血圧をコントロールしていけば、

脳卒中や心筋梗塞などの大病を未然に防げるだろう、ということなんですね。


さあ、

ここまで血圧のことばかり書いてきましたが、なんとなくニュアンスはつかんでもらえたでしょうか?


とりあえず、140/90のどちらかでも越えているような方は、要注意ということです。


それでは次回はコレステロールなどの脂質の話に続きます。



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雑に医師を二種類に分けると、


論文を書く医師と、

論文を書かない医師、の二種類がいます。


人によっては、

医師は皆、小難しい英文論文を読んだり書いたりしていると思っている方もいらっしゃるかもしれません。


しかし実際はといいますと、

むしろ論文をよく書く医師は全体の中ではごく一部です。


変なことを言ってしまうと、

別に論文を書いたりせずとも、

医師として臨床能力を高め、働いて生きていく上では問題は特にありません。


論文を書いたからといって、それで直接儲かるわけでもありませんしね。


では、なぜ論文を書く医師がいるのかというと、

これは2つの側面があります。


一つは、

これは言うまでもなく当然のことですが、


医師というのは学者でもあらねばならないからです。


医学の進歩のために日々医師は考え、

新しい知見、珍しい知見を得ることがあれば、それを人類共通の知識とすべく論文の形にしなければなりません。


つまり、論文を書くというのは、

医師として、アカデミアとしての責務であるとも言えます。


これが、

医師が論文を書く上で、最も基本的かつ崇高な理由です。


しかしながら、

やはり世の中それだけではありません。


それは何かというと、

皆さんも白い巨塔やドクターXをはじめ、いろいろな医療ドラマを見て、お気づきになるかとは思うのですが、


論文には医師の手柄、という側面があるのです。


つまりは、医師が大学や国公立施設などのアカデミックポストで出世、権力を得る為の要素として、重要なのが論文などの学術的な業績なのです。


もちろん、

優れた論文を書いた人間、つまり学問の世界で優れた業績を上げた医師が、

アカデミックポストの地位を登って行くというのは、理にかなっているとは思います。


ただ、問題は、

たとえば教授争いなどに代表されるように、論文などの業績が争いのための道具となりうることです。


そうすると、

業績のための論文、というようなことになりがちです。


あってはなりませんが、研究自体も、業績を重ねるための、


つまり、

論文のための研究、というようにもなりかねません。


論文の評価というのは、

どれだけ権威のある医学雑誌にのったかということで評価をされるのが、

未だに一般的です。


医学雑誌にはそれぞれ、インパクトファクターと呼ばれる点数がついていて、

その点数で掲載された論文も評価されるのです。


日本ではいまだに、業績である論文のインパクトファクターの総和が業績の量として判断されがちです。


よって、

論文の数が増えれば増えるほど、業績が増える、という風に考えるのが一般的なのです。


つまり、

論文になりそうなものであれば、なんでも論文にしてしまおう、という考えがあってもおかしくありません。


その結果として、たいして学術的な意義の大きくない論文が無数に生まれることになります。


もちろん、

権威のある雑誌であればあるほど、

その論文を掲載するかどうかについては厳しい査読が行われます。


ところが、

そうでない雑誌も山ほどあります。


2-3名の査読者が、「まあ、良し」と判断すれば載ってしまうような雑誌の方が一般的なのです。


世界トップクラスの雑誌ですら、STAP細胞論文のようなことが起こるのですから、

この辺は結局のところ、所詮人間が判断しているといわざるをえません。


雑誌のランクが下がればなおさらのことです。


さらには人間が判断するものですから、コネの要素だってないわけではありません。


「彼のボスのなんとかさんのところにはお世話になってるからな、

彼の業績にもなるし、載せてやろう」


なんていうことも、ありえないかというと、そうでもないでしょう。


色々話がそれましたが、

結局、何が言いたいかというと、


世の中には人類の遺産とも言うべき論文がある一方で、

無数のたいしたことない論文があるということです。


中には、

これ、ほんと?

都合よく解釈したんじゃないの??


という怪しい物まで、山ほどです。


わりと良い雑誌にもそういう論文が平然とのってたりするもんですから、

まあ、まさに玉石混合です。


有名な雑誌に、全文英文で、それっぽく載っていても、本当の価値は一概には言えません。


要は、i

PS細胞の論文や、

アインシュタインの相対性理論の論文がある一方で、


STAPみたいな論文もあるということです。


まあ、もちろん、

虚偽の内容でさえなければ、どんな論文でもそれは人類共通の知識となるわけですから、


論文を書かない人よりは書く人の方が立派であるということには、

間違いはありません。


出世や見栄のためにおかしな論文を世に送り出すようなことをする人がいつの世にもいることが、

問題なだけなのです。



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