ある脳外科医のぼやき

脳や脳外科にまつわる話や、内側から見た日本の医療の現状をぼやきます。独断と偏見に満ちているかもしれませんが、病院に通っている人、これから医療の世界に入る人、ここに書いてある知識が多少なりと参考になればと思います。
*旧題「ある脳外科医のダークなぼやき」


テーマ:

前回に引き続き、脳ドックについて書きます。


ここでのテーマはずばり、脳ドックを受けることの意義、についてです。


「脳ドックをなぜ受けるのですか?」


と聞いたら、誰だってこう答えるでしょう。


「そりゃ、脳の病気がないか調べるためですよ」、と。


これは当たり前ですよね。

ただ、ここで忘れてはいけないことが一つあります。


それはこの発想が、

早く病気が見つかれば早く治療を開始して未然に障害を避けられる、

という前提のもとに成り立っているということです。


早く見つかっても治療法がない、では逆に辛いだけかもしれません。


そういった観点で考えると、

どういう脳の病気は脳ドックを受ける意義があるでしょうか?


おおざっぱに答えると、明らかに早期発見にメリットがあると言えるのは、

1つは腫瘍、もう1つは頸動脈や頭蓋内の動脈の狭窄です。


腫瘍は早く見つけた方が根治する可能性も高まりますし、

小さい時点で治療をした方が治療に伴うリスクも低くなります。


大きくなってからでは手の施しようがない腫瘍も、

小さければ取りきれることもあるからです。


これは脳腫瘍すべてに言えることです。


膠芽腫のように見つかった時点で進行していて、すでに残された時間が1年~2年となってしまうような病気もありますが、


それにしたって小さい時点で見つかるにこしたことはないのです。


ただ問題はこういった進行のスピードの速い腫瘍の場合、

数か月で猛烈に大きくなりますから、極めて頻繁に検査を受けない限りは結局大きくなって症状が出て初めて見つかることにんあります。


現実には頻繁に検査をするなんて、まず無理ですからね。


そうすると結局、悪性度の高い脳腫瘍の場合には早期発見は難しいのですが、

脳腫瘍一般に小さい内に見つかった方がメリットがあることは間違いありません。


頸動脈の狭窄にしたって、これも早めに見つかるにこしたことはありません。

なぜなら、脳梗塞が起きてしまってからでは遅いからです。


狭窄に関しては、

まず内服治療を始めることで脳梗塞の予防を行うことが出来ますし、

早めに生活習慣病の改善を行うことによって、狭窄の進行を遅らせたり、狭窄自体が改善することもあります。


また、強い狭窄の場合には手術によってそれを広げることも出来るのです。


一度起きてしまったら何らかの障害が残ることも多い脳梗塞ですから、

これを予防していくことには意義がありますよね。


そういった訳で、腫瘍と頸動脈の狭窄については、もしこれらを発見することが出来るのであれば脳ドックの意義は大きいと思います。


一方で必ずしも早期発見がメリットとは限らないメジャーな病気があります。

それが、未破裂脳動脈瘤です。


未破裂脳動脈は脳の爆弾とも形容される病気ですが、

予防的な治療について、悩ましい点が多い病気なのです。


というのも、薬で治療が出来れば良いのですが、

現状では未破裂脳動脈瘤の治療は手術しかありません。


具体的には開頭手術とカテーテルの2種類がありますが、それらのいずれにもリスクがあります。


一つ間違えば治療によって死に至ることや、重い障害によって寝たきりになるリスクもゼロではありません。


そうすると、治療のリスクと治療のメリットを天秤にかけることになるのですが、

それが問題です。


そういった訳で次回は未破裂脳動脈瘤と脳ドックについて書きます。




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最近は脳ドックを受けるという人も大分増えてきているような気がします。


そこで、

今回からは脳ドックについて、


また、

脳ドックで見つかる病気について書きたいと思います。


僕自身は脳ドックを受けたことをありませんが、

実際うけるとなると、脳ドックの費用ってバカにならないくらい高額ですよね。


ピンきりなのでしょうが、

高いと10万越え、安くても3万、4万はかかるのではないでしょうか?


脳ドックのコースはこれも場所によって違いますが、

MRI,頸動脈エコー、心電図、採血、認知症検査(問診による)などが基本のようです。


MRIだけの場合はシンプルコース、などとして3,4万の比較的安めの設定として売り出したり、


また、施設によっては、

PET CTなんかもつけて10万以上のコースにしていたりします。


しかし、

はっきり言わせていただくと、脳ドックの段階でPETなんてまず必要ありません。


これについては後述しますが、

PETが必要となるのはある種特別な脳の病気の場合のみです。


病気があるかないかも分からないドックの時点からPETを加えるメリットなどほとんどないと言えるでしょう。


実際の脳の診療に関わる医師の観点から言えば、

脳ドックのメインはなんといっても、当然、MRIです。


採血や心電図などの他の情報はあれば脳梗塞や動脈硬化のリスクの有無として参考になりますが、

それは通常の検診の結果で事足ります。


頸動脈エコーは頸動脈の狭窄や動脈硬化を知る上では極めて重要と思いますが、

これもMRIの段階で頸部の血管まで撮ってしまえば、ひどい狭窄があるかどうかはわかります。


そういった意味で脳ドックというのは結局のところ、

MRIに尽きるのです。


MRIさえあれば必要十分、というと言い過ぎかもしれませんが、

MRIさえ撮ればだいたいのことがわかってしまいます。


よくMRAと呼んでいるのは、

MR angiographyの略で、MRIをつかった血管の検査のことです。


脳ドックを受けてみたいけど、

高いなぁという方はそういう意味ではMRIだけのコースにするのが一つの脳ドックを受ける上での得策でしょう。


つまり、

MRIのマシンの性能がハードの面での脳ドックの実力となります。


現在メインとなっているMRIの機器はいくつかのメーカーの物がありますが、

はっきりいってそれほど画質にメーカーの差はありません。


差が生まれるのは基本的なMRIの機器の磁場の強さです。


3T(テスラ)のMRIと1.5Tでは結構画質に差がありますし、

もっと落ちる0.5Tではかなり画質が荒くなります。


とはいえ、

ドックで病気があるかないかを見分ける分には1.5Tでもまず十分ですけどね。


ただ、最近のドックはどこも3Tや1.5TのMRIを揃えていますので、

それほど差はないんじゃないでしょうか。


そうすると、

MRIを読むのは医師なので、そのドックに在籍している医師のMRIの読影力がその脳ドックの質に直結することになります。


MRIの機器の差がなければ後は結局、人の差ということになるんです。


ですから、

「脳神経外科専門医が読影」というようなことを売りにし、

さらに○○大学名誉教授○○××が監修のような形にしているところが多いのですね。


さて、

そんなところで次回は実際に脳ドックで見つかる病気とその意義について書いていきたいと思います。




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やってしまいました。。

先月は一つも記事を更新することができませんでした。。。


しかし、ようやく忙しさの波が去り、落ち着きましたので、

これからは再びコンスタントに記事を書いていきたいと思います。


これまではなるべく書いてきたテーマと違う物を探して書いてきました。


とはいえ、


いろいろと脳外科関係の記事をもう一通りある程度書いてしまった感はありますので、

これからはアップデートも含めて、


ある程度重複する内容も書いていくことになると思います。


新刊の執筆に向けても頑張ろうと思いますので、

今後ともよろしくお願いします。

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