ある脳外科医のぼやき

脳や脳外科にまつわる話や、内側から見た日本の医療の現状をぼやきます。独断と偏見に満ちているかもしれませんが、病院に通っている人、これから医療の世界に入る人、ここに書いてある知識が多少なりと参考になればと思います。
*旧題「ある脳外科医のダークなぼやき」


テーマ:

さて、前回の続きです。


転移性の脳腫瘍についての話をしています。


前回記事↓


http://ameblo.jp/nsdr-rookie/theme-10025237119.html




あくまで一例ですが絵ではこういったものになります。


またネットで借りてきました。




ある脳外科医のダークなぼやき





脳転移があった時点で癌は進行癌であり、治癒はもう望めない状態、と前回書きました。




治癒が望めないのに治療?


と思われる方がいらっしゃると思います。




しかし、


転移性脳腫瘍というものは当然大きくなりますし、


大きくなれば部位によってさまざまな症状を出します。




吐き気や頭痛はもちろん、麻痺をきたしたり、話せなくなったり


失禁するようになったり、痙攣発作で発症する場合もあります。




脳のできる場所によって本当にさまざまな症状を起こします。




なので、


そういった症状を抑えるためにも脳に転移した腫瘍というのは治療されるべきです。




意識がはっきりしているのに、


脳転移のせいでだんだん右半身が動きにくくなってきた、


なんてことも良くある例だったりします。




場合によっては脳に転移した腫瘍が髄液の流れをシャットアウトしたせいで、


急激に脳圧が上がって意識障害になるなんてこともあります。




そういう場合、


3cm以下の小さいものであったら定位放射線治療といって放射線で腫瘍を狙い撃ちにしたり、


それより大きければ手術で取り除かなければいけません。




それでも、手術の場合、


基本的には元の癌自体が末期に近い状態であることは間違いありません。




なので、


全身状態が手術に耐えて、元の癌がある程度コントロールされていて、


6ヶ月以上の余命が期待できる場合でないと基本的には手術はしません。




というのも、手術とその後の放射線療法などでまるまる治療に2ヶ月は費やしてしまうからです。




手術などの治療の適応として、


この6ヶ月という数字があるわけです。




もちろん、脳にできた塊が原因で明らかに生活レベルを落としているような場合には、


もう少し余命が短いと思われても手術をすることはありますけれど。




つまり、この治療がなんのためなのかというと、




6か月以上の余命をなんとか確保する意味合いと、


残された期間をできる限り人間らしく暮らせるようにするためなのです。




もう、脳に転移している時点で、


末期である場合が多いので、基本的には治癒はできません。




元の病気の状況がありますし、


こういった患者さんだと体の他の場所にも多発転移している場合もあります。




たとえば乳癌の場合、


骨にも転移していたりします。




こういった場合だと常に麻薬を使わないと痛みに耐えられないような状態であることも多いです。




なので完全に健常な人と同じ生活ができるわけではないんです。




それでも、




脳にできた腫瘍の症状を抑えて、人間としての生活ができることを目指して、


転移性脳腫瘍の治療を行います。




しかし、


こういった目的の治療であるということをしっかり理解されている患者さんばかりかというと、


とてもそうではありません。




もしも、元の癌自体の経過がゆっくりとしていれば


原発の癌の治療を行いつつ、ある程度病気の理解を深め、ゆっくり準備ができるかと思います。




しかし、中には、


原発の癌の症状はあまりなく、


この脳転移による痙攣などの症状によって発見されることもあるのです。





そうすると、


患者さんを待っているのは原発の癌の宣告に加えて、脳転移の宣告となってしまいます。




ダブルで急にこんな宣告をされて、


平常心でいられる人はまずいないと思います。




自分であっても取り乱すだろうと思います。


今まで普通に生きてきた人が、急に余命の話をされるのですから、


そもそも信じられるかどうかも難しいでしょう。




そんな時に転移性脳腫瘍の治療の目的を説明されたところで、


理解できるわけはありません。




もちろん、十分な説明は行います。




しかしやはり、どうしてもある程度時間がかかてしまいます。




それでも、


中には必死に状況を理解される方もいらっしゃれば、




よく状態を理解できないままに残された期間を使い切ってしまう方もいらっしゃいます。




手術などの治療によって


脳腫瘍をとったことによって麻痺などの元の症状は軽快しますし、


一時的には状態は改善します。




しかし、悪性腫瘍の末期ではやはり、


なだらかに全身状態が下降行していることは間違いがないのです。




「もうちょっとよくなるまで、不安だから入院していたい」




というようなことで入院をなるべく続けようとされる患者さんや、


そう希望する家族の方もいらっしゃいます。




しかし、本来であれば、


手術などの治療によって脳腫瘍による症状が消えて、


ある程度日常生活ができる状態であれば、


一刻も早く、自分のやりたいことをしたり有意義に過ごすべきなんだろうと思います。





何故ならその時間を作るためにこそ治療をしているのですから。





不安で過ごす時間を長くするために治療をしているのではないのです。




治療や手術によって一時的に症状は改善しますが、


いつか必ず再び症状は悪化します。




癌という病気は残酷なことに、


そのうち脳転移の再発を起こしたり、他の場所に腫瘍を作ったりするのです。




また、脳の表面にまき散らされるようなことになれば、


癌性髄膜炎という恐ろしい状態まで起こしたりします。





ここから先は、


ちょっと長くなってきたのでまた、次回に続きます。




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