厚生労働省の補助事業として2005年度から実施されている「診療行為に関連した死亡の調査分析モデル事業」運営委員会に設置されたワーキンググループ(委員長=山口徹・虎の門病院長)はこのほど、過去5年間のモデル事業の総括や今後の課題などを盛り込んだ提言をまとめた。提言では、医師法21条によって警察への届け出が行われる事例についてもモデル事業で調査が可能となるよう、厚労省が警察庁、法務省と調整を行うべきと主張している。3月24日に開かれた同委員会で報告された。

 提言によると、05年9月から今年2月までにモデル事業が受け付けた事例は105例。「当初の予想を下回って推移している」と指摘し、その要因として、▽解剖への拒否感情や時間的制約のため、遺族から解剖への同意が得られないことが多い▽医師法21条に基づく届け出が必要な事例は、直ちにモデル事業の対象とはならない▽警察や一般医療機関への周知が十分に行き届いていない-などを挙げている。

 その上で、来年度以降のモデル事業では、近い将来の制度化に向け、中立的第三者機関としてより実務的な取り組みを検討すべきと提言。さらに、今後の課題として、「対象となる事例の範囲」「解剖体制と非解剖例への対応」などに言及した。
 「対象となる事例の範囲」については、医師法21条に基づき警察への届け出が必要な事例に関する調査経験は「不可欠」であり、「今後モデル的に調査を行う取り組みが必要」と指摘。また、「解剖体制と非解剖例への対応」では、より解剖への同意が得られやすい解剖環境の整備や、解剖開始までの時間短縮への努力の必要性を訴えたほか、解剖同意率を上げるためのAi(Autopsy imaging)の活用、病理解剖率向上のための病理解剖の公費負担などの検討を提案している。

 さらに提言では、中立的な第三者機関の必要性がモデル事業の取り組みを通じて一層明らかになったものの、昨年の政権交代以降、国としての明確な方針が示されておらず、「未だ法制化への道筋は明らかでない」と問題視。「国は方針を早急に示し、中立的第三者機関の創設に向けて前進されんことを切に要望する」と強調している。
 一方、医療現場での紛争防止には第三者機関の設立だけでは不十分だとして、裁判外紛争処理(ADR)やメディエーションなどの紛争解決制度を整備する必要性も指摘した。

■一般社団法人「日本医療安全調査機構」が事業継承へ
 4月からは日本内科学会、日本医学会、日本外科学会、日本病理学会、日本法医学会の5団体が一般社団法人の「日本医療安全調査機構」(仮称)を設立し、モデル事業を継承することになった。現在、日本内科学会と日本外科学会の各事務局と厚労省の3者が移行準備会合を持ち、準備を進めているという。


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