『死角だったロープの“内部断線” 曲げ回数の多いエレベーターは同様のリスク』・・この見出しは、日経アーキテクチャー記事からです。
さて、今年1月に2011年7月26日の東京メトロ有楽町線平和台駅エレベーター主索(ロープ)破断事故の調査報告が公表されました。(国土交通省社会資本整備審議会昇降機等事故調査部会)
<原因(調査報告書から)>
本事故は、当該エレベーターの主索が劣化していたにもかかわらず適切に点検が実施されることなく、劣化したまま使用し続けられたことにより、主索が破断し、かごが落下したものであると認められる。
主索が劣化したのは、主索の特定部分に著しく多くの曲げ回数が発生する構造であること、更に起動回数自体が著しく多いエレベーターであったことから、比較的短期間で外から検査しにくい内部断線により素線が断線し強度が低下したものと推定される。
また、昇降路内温度が比較的高い状態であったこと、湿度が高かったことも主索の劣化を早めることとなったと考えられる。
定期検査報告により要重点点検又は要是正と判断されなかったのは、錆に関する判定基準が具体的でなく、また内部断線に対応した検査方法がなかったため、判断することが難しかったことによるものと考えられる。
主索が破断に至ったのは、保守業者により社内基準に基づき必要な交換が行われなかったためと推定される。
上記が調査報告書原因の項に記載されていることです。
さて調査報告書の他の項には下記の事項が記載されています。
1、 EVの昇降行程 7.56m(地下1階~地上1階、短い昇降距離)
2、 EV使用開始年月 2004年2月
3、 保守契約 フルメンテナンス契約(点検月2回)
4、 保守業者 三菱電機ビルテクノサービス
5、 直近の保守点検 2011年7月14日
6、 直近の定期検査 2010年9月7日(法定検査)
7、 定期検査の結果 定期検査資格者は、社内基準に基づきロープの交換を指示
8、 ロープ交換計画 2011年3月末の計画→遅れて4月交換予定→
交換の社内システム入力の遅れで9月交換予定となっていた
9、 前回ロープ交換 2007年4月(3年3ヶ月使用後)
10、 今回事故年月 2011年7月26日(前回交換から4年4ヶ月使用)
11、 ロープ交換目安の曲げ回数・年数(三菱社内基準)
610万回、2.3年
12、 事故機ロープの曲げ回数 (短い昇降距離のため曲げ回数が多くなる構造)
07年4月交換後1140万回(起動回数の非常に多いEV)
(社内基準の1.9倍の期間使用された)
この報告書を見ながら、保守点検の目視では内部断線の発見は難しいとしても、ロープ曲げ回数基準、前回交換からの経過年数等から、ロープについては点検時要注意の指示が点検者に機械的にされる必要があったのでは?
ましてや、ロープ交換指示がされかつ計画実施が遅れているEVには強い注意喚起が必要だったのではないでしょうか。
保守点検時、点検者の注意力(マンパワー)だけに頼るのではなく、保守点検の品質管理を事前の定量的データーからもフォローする体制構築が望まれます。
自分のマンションのエレベーターについて、メーカーサイドの起動回数基準や部品それぞれの交換使用期間基準等を確認し、点検報告時にはその基準と比較した報告書の提出を求めることも必要ではないでしょうか・・・エレベーターに限らないと思いますが。
最後に
死角だったロープの「内部断線」、想定外だった「原発の電源喪失」、想定外だった「巨大津波」
なにか感じますね。皆さんはどう思われますか?
匠リニューアル技術支援協会会員 マンション管理士 荻原 健
───────────────────────────────────────────




