新しいことに取り組む前に考えろ!!! | あなたも農業コンサルタントになれる

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  わけではない / by 岡本信一

直近の雑誌「農業経営者」にも書いたのですが、何故、多くの人は新しい技術を取り入れようとするのでしょうか。私は多くの場合、懐疑的です。

率直に言って、素晴らしい効果を示す資材だろうが、新しい技術だろうがほとんどは効果を表しません。

それは資材や技術・機材が悪いのではなく、元々の基本ができていないためです。

常々それを感じ、あらゆる場面で基本ができてないという話をしています。


先日もあるお年を召した篤農家と云われる方とお話をしたのですが、同様の感想を持たれていました。

彼の方曰く、昔は手で畑を起こす機会が多かったので多くのことに気付いたが、今は機械耕種が前提となっているためにその気づきがない、そのために昔から知られていたことが埋もれつつある、というのである。

かつて畑を起こすということは、水をどのように処理するのかに力を注いだ。溜まりそうな水を排水し、旱魃の時には水を逃がさないように畑を起こしたというわけである。

わたしも全くの同意見である。

わかり易い例を上げると、ロータリーをなにも考えずに使用していると畑のド真ん中が低いすり鉢状の状態になる。ロータリーが土を周辺に持って行ってしまうためだ。そうすると大量の降雨があると中央に必ず水たまりができる。どのような排水対策をしたとしても、必ず大なり小なり中央付近が過湿になるわけである。

このような状態でどのような資材や機材、技術導入を図ろうと結果はわかっている。天候の良い年には良い結果が出るかもしれないが、雨が多い年には大して効果が無いという結果に終わる。

どんな凄い資材を使用しようが、どんなに素晴らしい機材を使用しようが根本的にダメなのだから改善しようがない、ということなのだ。


これはわかり易い例であるが、私のようにほ場内で土壌の物理性の調査をいくつも行なっているとはっきりわかることは、ほ場内で耕起によるムラが非常にできているということだ。

畑というのはウネリも含めムラが最初からあるのだが、耕起によってそのほ場内のムラを大きくしているケースが非常に目立つ。

先にあげた方曰く、緑肥の出来にムラがあったらほ場内の出来をムラを助長するとのこと。わたしも云われてみて初めて気付いたのだが、当たり前のことで緑肥の出来の良い場所には有機物が大量に鋤き込まれ、出来の悪い場所は少量すき込まれる。緑肥の出来の良い場所は、元々良い場所で、悪い場所はもともと悪い場所なのだから、緑肥栽培が更にほ場内の出来の違いを増長するというわけである。

なるほど。


多くの場合ほ場内の出来の違いに鈍感過ぎる。雨が多かったからデキが悪いという理由は、ほとんどがここに起因する。

どのような資材、機材、技術導入を図ろうともできるだけほ場内は均一である必要がある。ほ場内を均一に仕上げることは、収量や品質の向上に直結するが、多くの方はそのような技術については語らない。今後、重要になってくるのは本当の基本であるほ場内の均一性をどのように作ってゆくのかである、と断言できる。

ムラのある圃場に技術導入など無駄である。

新しい技術導入を図る前に、あなたの圃場はきちんと均一にできているかということを考えて欲しい。それができていいない場合、どのような技術導入を行っても大した効果を得られない。

そう基本ができていないためなのだ。


なお、ほ場内の均一性については、雑誌「農業経営者」に現在連続的に書いています。興味のある方はお読みください。

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