最後のパターンでは、小町は百夜目を前に逃げ出します。
百回目の夜、ウキウキと通ってきた深草少将が見たのは、無人となった小町の庵。
「おのれ、あの女!約束をたがえたな?!」
すぐさま踵を返し、小町を追いかけるのです。
一方小町はそう遠くへは逃げられていませんでした。
お姫様の足ですからね。
すぐに追い詰められてしまいます。
しかし彼女を救ったのが、側仕えの女房。
「そのうちかけをお授けください」
小町の衣装を着て、少将の前に飛び出し、走りだします。
その先にあるのは大きな池。
追いかけてくる少将の腕を交わし、彼女はそのまま池へ飛び込みます。
続いて飛び込む男。
しかし、冷たい水の中でもがきながら、女が小町でないことに気づいてしまったのです。
「おのれ。女房を殺してまで、私から逃げたいか」
怒り狂った深草少将は、大蛇に化身し、小町を追い詰め……るのかと思ったら、「呪ってやる!」と一声。
水に沈み、池の主となったのでした。
いやいやいや、大蛇にまで化けたんなら、追いかけようよ。
わからぬ。
一方小町は池のそばに庵を結び、尼となって二人を弔いながら、後生を暮らしました。
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