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2016-12-30 13:25:23

墓場の島

テーマ:ブログ


山田太一が好きだ。
TVドラマの有名な脚本家として知られる山田太一さんの作品にはじめてふれたのは、僕が中学生の時だ。
「男たちの旅路」というNHKのTVドラマシリーズ(1976~)で、鶴田浩二、水谷豊、桃井かおりなどの物凄い顔ぶれが揃って出演していた。鶴田浩二は戦争の特攻隊の生き残りのガードマン。水谷や桃井が同じ警備会社の若手社員だ。
僕が岩手の実家に居たのは中学までだから、親父と一緒に見続けた最初で最後のドラマシリーズである。戦争でずいぶん苦労した親父が、鶴田浩二の生き方に関心を持っていたことは容易に推察された。

「墓場の島」は、そんなドラマシリーズの中の、ある1話のタイトルで、主人公のシンガーを演じたのが根津甚八だった。偶像としてイメージを作られたシンガーソングライターが成功を収め、人気になる。しかし素の自分とのギャップに苦しみ、大きなライブ会場で引退を発表すると公言してステージへ向かう。その時に歌ったのがタイトルでもある「墓場の島」だ。シンガーソングライターである主人公は、この歌を亡くなったおばあちゃんのために書いたのだが、事務所の力で歌詞は祖母ではなく恋人の女性に変えられている。
僕はこの「墓場の島」を、中学の時一度しか見ていないのに、今でも鮮明に覚えていて、歌うこともできる。こんな歌詞だ。

死ねば ただの土塊に
戻るだけだと 身に染みている
墓場が何になるだろう 花や線香が何になる
死んじまえば終わり 死んじまえば終わり
どうして俺は此処へ来た
風の音 ミサコの声じゃない
波の音 ミサコの声じゃない
ひとり墓場の島で

この歌を歌い終わった後で、主人公は引退を発表する予定だったのだが…。

このドラマを僕が見たのは中3の時。なぜそこまで覚えているかというと、担任の先生とやり取りすることが義務付けられていた交換日誌に、僕はこのドラマのことを丁寧に書いたからである。新卒で担任になった女の先生だったが、その先生からの返事は「そういう話だったかな? 私はそうは思わなかった。」とだけ書かれてあった。その時の僕は「たかが中学生相手に、なんだこの大人げない返事は」と思ったのだが(笑)、初めてその先生の、自分の人生に対する意地を見たような気がした。改めてその先生を信頼できる理由が分かったような気がした。

親父や先生に一瞬ふれたような気がしたドラマは、今でも僕の記憶に鮮明に残っている。


だから根津甚八は、その後の「黄金の日日」と合わせて、僕の記憶の中で最も鮮やかな俳優として残っている。「墓場が何になるだろう」「死んじまえば終わり」という自問や葛藤が、そのことが強烈な「生きる証」として僕の心にいつまでも残る。

心より感謝と哀悼の意を捧げたい。



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2016-11-13 20:51:15

茶柱

テーマ:ブログ

ひょろっとして滑稽な

人間としての自分の姿が

なにかに似ているなとずっと思っていたのだが

なんのことはない


茶柱だった


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2016-11-12 09:01:52

発露するのら

テーマ:ブログ

朝陽に向かって
「おはよう!」
と言った。

なんか物足りないので
「イェーイめっちゃホリデー!」
と言った。

朝陽は黙っていた。てゆーか曇っていた。なので
「あっそ」
と言った。

だれかがバーカと言ったような気がしたので
「うるせアホ」
と言った。

さあ、気をとりなおして大きな声で
「今日はボクの誕生日だ!」
と言った。

ホントだよ。
でもよくよく考えてみたら10日もまちがえていました。すみませんね。
「おお舞妓ーーーーーっ!」


(ちなみに今日は「いいひとに」の日。たぶん。ウソかもしらん)





「先生!こんな作文でいいですか!?」

先生「いいですけれど、0点です」

ぎゃふん。

むむむ。しかたあるまい。だがな
0点ということはあるまい。あるまいぞ。

むははのはははで
発露するのら。



それはいいんだけどちょっとおしっこいってきますね。


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2016-10-21 08:56:06

ポケット

テーマ:ブログ

子どものころ
ポケットの付いた服が好きだったのは
自分に余白がほしかったんだと
いま気づいた。



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2016-03-31 22:56:07

桜の人へ

テーマ:ブログ
先日、ある友達と話をしていたのですが、
僕はその友達がSNSにアップする写真がすごく好きで、
「撮ったものがどうとかいうこともあるけど、撮る人がその時に何を感じているかによって写真ってぜんぜん違うよね」
という話をしたら、その友達が
「でも、よく逃しちゃう。撮るチャンスを」
と。その時に僕は、
「その逃したチャンスの蓄積が、けっこうその人そのものだったりするんだよね」
ってポロッと言ったんです。

撮れなかった写真とか
伝えられなかった言葉とか
見られなかった風景とか
選択できなかった生き方とか
そっちのほうが圧倒的に多くて、それはすべて沈黙して行くんだけれど、
そういうことが、むしろその人なんだろうなって
なんとなく感じたんです。

ああ、桜だなって。
僕たちはみんな、桜なんだって。
みんなお互いに、表出している花の言葉で、咲いている花の有り様で
やりとりしたり、出来事に身をゆだねて生きているけれど、
本当は沈黙していることのほうが、
沈黙してしまったたくさんのたくさんのたくさんのことが、
その人の幹だったりする。春夏秋冬の、その人だったりする。

そのことが、とても愛しい。
あなたの沈黙の言葉が、沈黙の想いが、愛しい。
それが聞こえるような気がする時がものすごくあって、
僕はその、あなたの生命に、とても救われていることが多いのです。
たとえ離れていても、言葉を交わさなくても、感じる時があるのです。
そして、あなたの花が見えなくても、
だいじょうぶ、僕にはあなたが見えていると、
思う時が、すごくあるのです。
だから、沈黙の言葉へ。沈黙の想いへ。ありったけの愛しさを込めて、
すべての、桜の人へ。このブログを捧げます。



僕が小学校4年生の時に、担任の女の先生が産休でお休みになりました。
それで、残り少ない4年生のほんの数ヵ月、違う女の先生が来ました。
どんな先生だったか、いちいちそんなガキの頃の
先生のパーソナリティーなんて覚えちゃいないのですが(笑)
若くて一生懸命な先生ではあったんだと思います。

その先生は、学年最後の日のホームルームで、僕らの教室で、
いきなり教卓の上で指人形を使ってお芝居をし、歌を歌いました。
女の先生にしては、ちょっと低くしっかりとした声で、
とても明るい感じで、その歌を歌いました。

♪~
トムピリピは2軒 お家を持っている
お城のように 大きなお家
トムピリピは2隻 お船を持っている
宝を探しに 出かける船
幸せなトムピリピ
何でもできる すてきな人
仲良しになりたい
大金持ちのトムピリピ ~♪

小4の僕はこの時、正直この先生のことが
「イタいな」と思いました(笑)
まあ小4は指人形くらいで喜ぶだろうみたいな安直な発想で(笑)
思い出づくりだかなんだか知らんけど
ずいぶんひとりで練習したんだろうなあくらいのすばらしい完成度で(笑)
必死にそれぞれのシーンをつくり、歌っているという。
そう思っているうちに2番の歌詞になって…

♪~
トムピリピは2羽の オウムを飼っている
何でも知っている おしゃべりオウム ~♪

案の定、トムピリピの人形だけじゃなく、
オウムの指人形が出て来ました。
「ふぅ~~~ん~~~」と僕は思いました(笑)
この先生は、とにかくこのひとり人形劇をやり遂げることに
一生懸命なのだろうけれど、
それが何になるんだろう? この歌が、僕らのこれからの
何かになるのか? しかも小4に対して大金持ちの歌って
どうなのよ? ちょっとおかしくないかと(笑)
マジで思っていました。
そんなことを思っているうちに、歌はとうとう3番に突入してしまいました。

♪~
お家も鳥もつくりごと
おおぼらふきのトムピリピ
だけどとってもお人好し
仲良しになりたい
すてきな人トムピリピ ~♪

そして、その産休臨時の若い先生の、ひたむきなお芝居は終わりました。
先生はちょっと目に涙を浮かべていました。
小4の僕は、「やれやれ」と思いました。
何の情操教育にもならんぞ! こんなこと!
こんなこと小4の僕らなんて、絶対にすぐに忘れるぞ!
そう思って、その先生のことを「アホや」と思いました(笑)
それが正直な感想だったのです。



それから40年もの月日が経って、
まさかその僕が、こんなことをブログに書くなんて
思ってもみませんでした。
きっとあの時の、小4の僕が、いちばんびっくりすることでしょう(笑)

僕は毎年この季節になると、
春を迎えようとする卒業のシーズンになると、
あの時の先生の歌声を、はっきりと思い出します。
あの歌を思い出すことが、僕にとっての春なのかもしれません。

そんな、僕にとっての沈黙の歌を、
今年はこうして、3月最後の日に、
みなさんに花としてお届けしたいと思います。

明日になって、4月1日になれば、
おおぼらふきのトムピリピになっちゃうからね(笑)


以上です。
ていねいに、ていねいに書いたのは、
これを読んでくださっている、あなたへの、想いです。


桜の人たちへ
         のら犬こと 坂口 晶紀




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