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2017年08月08日

梅雨期4

テーマ:アィホンから

彼の部屋での2泊は夢のようだったが、ののの体調は最悪の状態だった。

実はこの時期、ののは流行りのワークアウトに夢中で、いつも通りのヤリすぎから膝を壊してまともに歩けない状態でもあった。

 

「きみ、膝痛いんやろ、それなら家でゆっくりしよか。元気だったら箱根でも行こうかと思ってたんゃけどな。」

 

怒るでもなく、あせるでもなく、いつも飄々としている感情の起伏を見せないカレといると妙な心配をしなくて済むのが楽チンだ。

 

カレは部屋でゴルフのパターを練習したり、ノートパソコンで調べものをしたりして過ごした。そしてののとカレは時々エッチした。

 

これまでのデートに比べて、特別感はなかったけれど、ののはそんな土曜の夜を過ごせば「いつもの彼女の部屋でもそんな感じなのかな」と思ったりもした。

 

そうして日曜の夕方に東京駅まで送ってもらった。

特別なコトは何もなく、新幹線改札の前でシジューの男女がちょっとだらしなくハグしたくらいだった。

 

「またね。」

 

やっと言えるよぅになった、「また会いたぃ」だった。

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2017年08月07日

梅雨期3

テーマ:アィホンから

「法事で実家に帰省するかも」と言われていた東京に出向いたのは6月下旬のことだった。東新宿のタリーズに現れたカレはさらりと言った。

 

「こないだ親父が亡くなったんだよ」

 

「えっ・・・そ、そぅなん?」

 

ちょっとビックリだった。確かに法事とは言っていたが、そこまで近しい人だとは思っていなかった。

それにカレの父親はといえば、確か年末にカレと実家への帰路を共にした時にののが手渡した豚まんを「あれ、親父すごい喜んですぐ食っちゃったんだょ。」と聞いていたから、全然お元気なのだと思っていた。

 

「急だったんだょね、ちょっと調子悪いからって病院行ったら、すぐに入院してくださいってなって、そこから1週間。たぶん、ずっと調子は悪かったんやと思う」

 

そうカレはさらりと言った。

 

ののは慌てて言った、

「え、で今週法事だったんなら、あたし東京にきちゃって会ってもらってて大丈夫なん?」

 

「あぁ、大丈夫。帰省するの来週末にしたから・・・」

「そぅ、ありがとう。」

 

 

そんなこともあってか、いつもなら東京駅近くのホテルをとってくれていたのだが、この日はカレの部屋に向かうことになった。

 

電車で横並びのシートに座った時、カレが言った。

「で、今回はいつ帰る予定なん?」

「え・・・ぁ、いつも土曜の夕方までだったから、いつも通りの予定にしてるよ。」

そう、いつも土曜の夜はカレは彼女の部屋へ行くのだ。

 

「今週は日曜まで大丈夫だよ、法事の予定にしてたから」

 

「えぇっ!ホンマにぃっ!わーぃヤッターッ!!」

 

ののは笑顔で猛烈に喜んだ、確かによろこびではあったけど、

ま、まぁ複雑だょね。

 

彼女には法事で実家に帰る週だから行けないって言ってんでしょーょ、

だからののと日曜まで居れるんでしょーょ、

んでまぁ、2泊もするし予定も未定だったし、

ホテルじゃなくて、自宅へってことなんでしょーょ。

 

 

悪友Bちゃんに言わせりゃ、

 

「のの、すげーじゃん、

法事にも彼女にも勝ってんじゃん」

 

そんな感じは微塵もしなかったけれど、こうしてまたカレと夜を過ごせるのは猛烈にうれしいのが本音だった。

 

 

ま、日曜は別の男性とご飯の予定入れてたから、カレがシャワー浴びてる間に慌ててドタキャン・メールを入れたんだけどね。

 

「今日、電車でちょっと倒れちゃって、明日は用心して早めにオーサカに帰っちゃうことにしました。」

 

全部がウソではなぃ。

 

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2017年07月10日

梅雨期2

テーマ:アィホンから

東新宿のタリーズでカレを待つ。

その日は夕立があって、窓の外では金曜夜の東京のサラリーマンたちが慌ただしく駆けていった。

 

「おまたせ」

 

カレが小走りでやってきた。

それはそれは立派な公務員だけれど、一見そうは見えない。角刈りに近いさっぱりした見た目、半パンにTシャツにリュック。

職場には制服があるし、そのマッチョな体を見ればわかる人にはどこの人だかわかるのだろうけれど。


「まだあたし飲み物残ってるから、ちょっと休憩してく?」


そう声をかけたらカレはリュックを下ろして向かいの席にふんと座った。

 

他愛もない話をする、


「キミの今日の出張はどうだった?」

「うん、結構歩き回ったからヘトヘトゃよ」


「そか、疲れてる?」

「ぇ、あ、うん・・・実は今日途中で倒れちゃって」


「ぇ、そうなん?」



この日、ののの体調は悪くないはずだったが、出張の早起きや日々の疲れが残っていたのか、ののは日中に電車で倒れてしまっていたのだ。


移動中の電車、東京とはいえ空いていたからシートに座ってののはスマホで次の乗り換え電車を調べていた。

調べ物ついでに最近気になってた足の痛みと腫れについても検索してみると、そこには腫瘍、悪性なんて文字と生々しい人体解剖の写真やイラストが並んでいる。


自分が何に反応したのかはわからないが、急に胸が詰まるような吐き気と、平衡感覚がなくなる直前の感覚、そして目の前の画面が左右から白くなっていくのを感じた。


あ、これアカンやつや、

まもなく倒れるやつ。



こんな出張の出先、東京の電車で誰か助けてくれるだろうか、空いてる電車は斜め前に陰気そうなスーツのサラリーマンが1人座っているだけだ。


ののは段々息が上がってきたので、喋れなくなる前に説明しておかねば、と斜め向かいのおじさんに声をかけた。


「あ、あの、すいません、ハァハァ、

ちょっと、気分わる・・・くて、座ってられ、なぃんで・・・つぎ、つぎの駅で、駅員さ・・」


そう言ったところで、電車のシートに突っ伏してしまった。



ここからは細かくは覚えてないけど、向かいのおじさんが駆け寄ってくれたように思う、


おじさんの声が聞こえた。

「次の駅が終点なんで、駅員さんに声かけますね、もうちょっとなんで」



今思い出したが、おじさんが駅員さんを呼びに行ってる間、リクルートスーツを着た若い女性がそばにいてくれたように思う。

ののはその後、車椅子で大崎駅の休憩室に運ばれ、1時間ほど横になってから次の仕事先に向かったんだった。




東京も悪くない。

 

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2017年07月10日

梅雨期1

テーマ:アィホンから

立て続けに東京でエキシビジョンがある時期がある。

5月に東京でカレと過ごしたばかりだが、6月に入ってののはまたカレに連絡を入れた。

 

「今週末、また東京出張なんだけど、もし時間あれば」

「ちょっと確認してみる。法事で実家に帰るかもなんで」

 

「うん、わかった」

「今回はドライヤー持ってこれる?」

 

去年の11月、初めてカレの部屋に行くことになった時と同じだ。カレの部屋にはテレビどころか冷蔵庫も洗濯機もない。だからこの質問が来るってことは、今回は東京駅のそばのホテルじゃなくて、カレの部屋に招かれてることを示している。

 

「うん、持ってくー」

 

ちょうど半年ぶりくらいになるのか、あの日のあの部屋に行ける。

その金曜は夕方に新宿で待ち合わせることになった。

 

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2017年07月10日

混迷期

テーマ:アィホンから

そぅか、このGWから今まで何してたんだろ、あたし。

戦後の混乱の中で時間の速さがさっぱり分からなくなっている。

 

まともに冷静に考えて今が7月だとわかっても、このGWから1年後の7月だと言われりゃそんな気もマジでするくらいにオノレの時計はぶっ壊れたままだ。

 

10月に出会い、

11月に浮気相手となり、

年末に帰郷を共にした。

 

2月には府中に行き、

GWはオーサカで過ごした。

 

カレはこれまでは何年かに一度の帰郷しかしていなぃという話だったが、今年は年末とGWと立て続けに帰郷していた。

それがオーサカに立ち寄るための理由づけならうれしとののは勝手に思っていた。

 

今年のGW、あたしは実家には帰っていない。

直前に海外出張が入ってしまったので、そんなハードスケジュールは組めないとあきらめた。それはここ数年毎年のことだったからうちの実家も理解してくれている。

 

だから今年のGWは、ののの部屋からカレは実家に帰って行ったし、その2日後の昼、東京に戻る前のカレがのののいるスタバに突然現れて喜ばせてくれた。

 

 

その後、同じ5月にののが東京出張した時も、カレは東京駅近くのホテルをとってくれている。

ののが金曜出張をして、カレと土曜日を過ごす、

そしてカレは土曜の夜にどこかへと去っていく。

 


それが彼女の部屋へ行くことなのか、いったい今この状態がなんなのかは、もう聞けなくなっていた。

 

 

 

 

 

 

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