2017年07月10日

梅雨期2

テーマ:アィホンから

東新宿のタリーズでカレを待つ。

その日は夕立があって、窓の外では金曜夜の東京のサラリーマンたちが慌ただしく駆けていった。

 

「おまたせ」

 

カレが小走りでやってきた。

それはそれは立派な公務員だけれど、一見そうは見えない。角刈りに近いさっぱりした見た目、半パンにTシャツにリュック。

職場には制服があるし、そのマッチョな体を見ればわかる人にはどこの人だかわかるのだろうけれど。


「まだあたし飲み物残ってるから、ちょっと休憩してく?」


そう声をかけたらカレはリュックを下ろして向かいの席にふんと座った。

 

他愛もない話をする、


「キミの今日の出張はどうだった?」

「うん、結構歩き回ったからヘトヘトゃよ」


「そか、疲れてる?」

「ぇ、あ、うん・・・実は今日途中で倒れちゃって」


「ぇ、そうなん?」



この日、ののの体調は悪くないはずだったが、出張の早起きや日々の疲れが残っていたのか、ののは日中に電車で倒れてしまっていたのだ。


移動中の電車、東京とはいえ空いていたからシートに座ってののはスマホで次の乗り換え電車を調べていた。

調べ物ついでに最近気になってた足の痛みと腫れについても検索してみると、そこには腫瘍、悪性なんて文字と生々しい人体解剖の写真やイラストが並んでいる。


自分が何に反応したのかはわからないが、急に胸が詰まるような吐き気と、平衡感覚がなくなる直前の感覚、そして目の前の画面が左右から白くなっていくのを感じた。


あ、これアカンやつや、

まもなく倒れるやつ。



こんな出張の出先、東京の電車で誰か助けてくれるだろうか、空いてる電車は斜め前に陰気そうなスーツのサラリーマンが1人座っているだけだ。


ののは段々息が上がってきたので、喋れなくなる前に説明しておかねば、と斜め向かいのおじさんに声をかけた。


「あ、あの、すいません、ハァハァ、

ちょっと、気分わる・・・くて、座ってられ、なぃんで・・・つぎ、つぎの駅で、駅員さ・・」


そう言ったところで、電車のシートに突っ伏してしまった。



ここからは細かくは覚えてないけど、向かいのおじさんが駆け寄ってくれたように思う、


おじさんの声が聞こえた。

「次の駅が終点なんで、駅員さんに声かけますね、もうちょっとなんで」



今思い出したが、おじさんが駅員さんを呼びに行ってる間、リクルートスーツを着た若い女性がそばにいてくれたように思う。

ののはその後、車椅子で大崎駅の休憩室に運ばれ、1時間ほど横になってから次の仕事先に向かったんだった。




東京も悪くない。

 

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