しずく

テーマ:
西 加奈子
しずく

大好きな西加奈子さんの最新刊


短編集なので、色んなパターンが読めますねー

それも楽しい

この装丁も超好みです。


相変わらず、思わずブブーーッ!て笑っちゃうような描写や関西弁つっこみ満載で

かわいくておかしくてほのぼのですねー(特に「ランドセル」)


すべて女同士(雌同士)を書いていて、それがなんというか

女同士の友情であったり、母娘の家族愛であったり、感動とか大袈裟なことは全然なくて。

何気ない日常の中で、ココロの絆が少しだけ強くなった。その瞬間を

切り取ったような。そんな感じの短編ばかりです。


どれも見返すと個性があって好きなんだけど

私は表題作の「しずく」と「木蓮」が良かったですね


特に「しずく」の猫同士の会話や行動がおかしくて、かわいくて!

長い記憶を持ったり、人間のように言葉を沢山知らなくて

友情だの愛情だの、なんだかわからなくても

彼女たち(?)の中にある記憶の断片。

同じような毛むくじゃらと過ごした日々・・

猫をたくさん飼っている彼女ならではですね。

彼女の作風というか個性が一番出ている作品だと思います


「通天閣」ではそんなに感じなかったけれど

黄色いゾウ→しずく

と、どんどんパワーアップしています。

なんていうか、大きな事件や人の死とか。そういうものを取り入れなくても

物語がちゃんと完成されて、人に訴えかけるようになっている

気がします。


お勧めです


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八日目の蝉

テーマ:
角田 光代
八日目の蝉

前作の薄闇シルエットがすばらしかったので

とても楽しみにしていました


以前、映画情報のようなところで松雪さん主演で似たような話があったような?

と思っていたら「子宮の記憶」とかいう違うものでした

その話では息子ですもんね。


読み終わったら調べようと思っていたので、読んでいる間中、希和子像は

松雪さんになっちゃってましたよ(笑)





結婚・家族・血のつながりの脆さ、危うさ、不確かさ

人と人との絆の暖かさと強さ



島にたどり着き、夏の迫り来る景色を見た瞬間にこの子とここで暮らそう、育てようと

決意するところ

生活は苦しいけれど、慎ましく幸せな二人の暮らしぶり。

島の人々の暖かさ、素朴さ。

「どこにもいかないよ!」と叫んだ幼い日の薫


島の自然や夏の暑さ。祭り。幼い薫の笑顔。

どれも自分で見たかのように

映像を知ってるかのように、思い描くことができるのは

作者の力量以外ないですよね


憎んでいるはずの「あの人」と同じように既婚者と恋に落ち、身ごもってしまった薫が

島に近づくにつれ思い出していくあの日のこと


「その子はまだ朝ごはんを食べてないのよ」と叫んだあの人

フェリーに乗った途端胸に迫ってきた匂い、愛された思い出、優しい記憶

なんだ私は、「あの人」を愛していた。愛されていた。ずっと一緒にいたかったんだ。






直木賞受賞後、さらに良くなってます

コンスタントにこんな作品が書けるなんてすごいなぁ~


お勧めです


映画化しそうかも?ですね(笑)


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ヘンリエッタ

テーマ:
中山 咲
ヘンリエッタ

ひとり日和を読んだあたりから、若い女性の書いた癒しの物語?

みたいなものばかり手にとってしまっているような


この中山さんは高校生なのですね。

すごいなぁ


私が最近好んで選んで(いや、無意識に)いる本の主人公はみんな

若い女の子で

傷ついてうちにこもってしまうんだけれど、ほんとうにささやかな日常の

繰り返しの中で、人に出会い。季節を感じて。

ほんの少しの一歩を踏み出していくようだ


でもそれは、誰かや何かに癒された。ということではなく

自分の中の何かがほんの少し強くなったり、ちょっとだけ世の中を理解したりして。

育っていく。成長していく。過程みたいなもんなんだなぁ



実際、あきよさんとみーさんみたいな人がいたら

かーなり個性的だと思うんだけど

お互いを思いやり快適に慎ましく暮らす二人はとてもカワイイ大人の女なのね


良かったです


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片眼の猿

テーマ:
道尾 秀介
片眼の猿 One‐eyed monkeys

様々な伏せんがはられたトリック!


みたいなノリで興味をそそられました


うーーーむ。

X-MENみたいですね(笑)

確かにやられた~って思うんだけど、実際事件にはあんまり関係してないし

事件自体はたいしたことないっていうか・・

ミステリーうんぬんではなく、その登場人物たちに秘密があるって言うか

なんていうか・・


謎解きっていう部分でいうとつまらなかった。


ただ登場人物たちのキャラがたっていて、特徴があるのでシリーズ化して

このメンツで事件を解決していくのは面白いかもしれませんね


人生の旅をゆく

テーマ:
よしもと ばなな
人生の旅をゆく

ばななさんの色んなところに書かれたエッセイを一冊の本にまとめた

ものですね

ちょっと前に読んでいたのにUPするのを忘れていました


ばななさんのHPの日記をそのまま本にしたシリーズは

最初は好きでしたが最近はあまり好きではないので

このエッセイ集は期待感たっぷりです



旅に関するもの、仕事、愛や家族命といった感じで別れて収録されています


今の若い(?)女性たちの大変さを

なんというか分かりやすく、的確に表現してくれていて。

そう!!私もそう思うのよーーと共感せずにはいられません

仕事もオシャレも頑張りながら、子育てもして家族も大切にして。。なんてムリだ!

というような・・

ほんと、そう。

それを求められて、そう出来るのがイイとされているけれど。完璧にこなしてる人もいたり

するんだろうけど・・

実際全部を求めたって仕方がない

自分の中のプライオリティーにしたがって、ほかをある程度手を抜いたっていいんだ。

人の暮らし方は、その人だけのもの。人の数だけあるんだもんね。



彼女が愛犬ラブ子のことを語る文章はどこで目にしても

ほんとに伝わってきて、泣けますね

物言わぬ動物たちの、雄弁な優しさ。

飼い主をほんとーーに愛しているその気持ちは、人間関係ではなかなか

感じることの出来ない。すばらしさを与えてくれます

無欲の愛を注げるのは、やはり人と動物だからかもしれません


そして後半は、今の日本人は・・と。ある意味年寄りが昔を懐かしんでいるように

思われるような文章もありますが

人間同士の交流がありそれで成り立っていたよき時代

それがなくなっていて、マニュアル通り。それ以上でも以下でもない心のない応対

などは、やっぱり「なんだかぁー」とは思います

寂しいな、とも思うし。相手の立場や状況で臨機応変に対応できれば

勿論いいですよね


でもねぇ。じゃあ自分が他人にはそうしていないのか??と言われると

微妙なんっすよね。

こう、自分たちの無礼を(たいそうなことではないので)受け入れてくれる器がない

だなんて、そんなんだから客足が減る。大事な上客を逃した。

みたいなところは、うーーん。って感じです

どっちもどっちじゃないかな?って

ダメってことでも、慎ましやかに迷惑かけなければいいんじゃん?みたいなものが

まかり通っていったら、それまた変な世の中にになってしまいそうだし。


難しいです。


とはいえ、とても素敵なエッセイ集

ばななさんの本が好きな人は(勿論私も)是非!という感じです



浮世でランチ

テーマ:
山崎 ナオコーラ
浮世でランチ

「人のセックスを笑うな」のナオコーラさんですね



中学生。色々な個性を持った同士が、それぞれ自分の持ち味を生かしたまま

仲良くできる最後の頃なんじゃないかなぁ~

大人になるにしたがって、自分と違う人とは深く付き合わないようになるし

面倒な関係をうまく避けて万人と「とりあえず、うまくやる」という方法を

学んでいくんだろうから


その中学時代の思い出と、25歳で会社を辞め旅に出たOLである現状とを

交互に書いていきます


最終目的地のミャンマーに何があるかな?というのは

読み進めていくうちにわかります


結果、当初の目的ではなく思いがけない出会いがあるのだけれど。



主人公は、人付き合いが苦手で「人とは仲良くするのが、絶対的に良い」っていう

価値観の押し付けを納得できないままに大人になった。

自分がほんとうに言いたいことはいつも伝わらない、どうせ理解されないって思っている

旅をしていくうちに、

元同僚に言われたカチンちくる言葉をちゃんと一回飲み込んで

「その人らしいじゃない」と、「悪意などないのだ」と、思えるようになるところ

自分の発した言葉を、相手にちゃんと自分の意思と同じように伝わるとは限らない


「うまく喋れないけど、わかって欲しいの」としか考えてない人の

言葉に耳を傾けたいと思う人はいません


この言葉に詰まってるな~


自分はうまく喋ろうとしないのに。分かってもらおうと思ってないくせに。

実はわかって欲しがってる

分かってくれない人は、バカだと思ってる

諦めてる。


主人公はそんな子なんだ。

でも少し成長する


どこにも理想郷はないし、理想の友達はいない

会社は辞められるけどこの世界から出て行くことはできない

腑に落ちないことだらけの世の中でも、ここでメシを食っていかねばならない


私もそんな風に思うことはある


でも遠ざけて、一人で悦に入っていても仕方がない。


話してみることによって知るその人の一面

誰かといることによって感じる季節の時間の移り変わり


一人でやってる。と思っているのは自分だけ

みんな人に生かされているんだ。


私は、この何気ない終わり方が好きですね

何気ないことに気づかされるその瞬間が

生きてる、生かされてるって思うときなのかも


この世の中にいるって決めたのだから、いるしかないのだから

何度も誰かとご飯を食べるだろうし、わかって欲しいと思って

言葉を紡ぐのだ。





その街の今は

テーマ:
柴崎 友香
その街の今は

まさに今っぽい作家さんですなぁ

そしてタイプです(笑)


何が起こるわけでなし、でも何かがはじまり始めた感じとか

関西弁というところや、今の若い人をちゃんと書いてる感じ?私が共感することの

できる若い人たちを書いてるところが西加奈子さんを思い出させるけど

そこまでドラマティックじゃないんですね。


どちらもとても好みです。



友人との自然で内容がなくて、そのまんまな面白い会話とか

人を好きになっていく途中とか

自分の現状に満足でもないけれど憂いてもいなくて

リアルで自然で。

あっという間に読み終わってしまう。


よいです。



ひとり日和

テーマ:
青山 七恵
ひとり日和

Amazonのレビューを見てみたら結構悪評も多いんですね


私は、よかった。かな

芥川賞受賞というと、へぇーと思うけど。

あと村上龍さんはまだしも、都知事がこれを大絶賛っていうのはねぇ・・

なんか違うんでは?と。




自分が二十歳のコロのことなんて忘れてしまったし、全然違った二十歳だったけど

今でも彼女のような気持ちになることもあるし、同じパターンの

別れを繰り返す自分の学習能力のなさも。

人に内心でつっこんでいる底意地の悪さも。

わかります。



吟子さんに対する口の利き方や、辛らつなコメント。優しくない態度や感情など

主人公はナンなの?と思う人もいるだろうけれど

なーんていうのか?

よりリアルではないのかな

自分はおばあちゃん子であったけれど、こういう時期があったし

一緒に暮らしていたらこんなもんじゃないかな~

毎日顔合せてたら、辛気臭いと思うことだって、年寄りがイヤだって思うことも

あるしね。



感謝してたり、スキだったり、そういう感情を上手に表現できて

相手に伝えることが上手な子だったら、違う話になってるはず

照れて、恥ずかしくなっちゃうようなことは、極力避けたい、そういう気持ち。なんかわかる。




吟子さんはすごく魅力的でしたね

彼女の言葉が読んでる私を癒しました

やっぱり歳を重ねないと、彼女の癒しはわからないと思う

それでいいんだと思う。

まだ二十歳そこそこの知寿にとって吟子さんとの暮らし

それは穏やかだけれど、抜け出すべきだったのだし

その老いと、穏やかだけど面白みのない生活の良さを実感できる

年齢ではないのだ。






激しい起伏のある話ではないけれど、私はとても気に入りましたね

青山さん気になります。





きつねのはなし

テーマ:
森見 登美彦
きつねのはなし

京を舞台にした話が多い森見さん

今回は魅力満載です


釈然としないままに、怪しいままに終わってしまう奇憚集


この雰囲気は絶品ですね


私はやはり「きつねのはなし」が一番よかったけれど

どれも同じ古道具屋がからみつつ、話がつながっているわけではない

どこかに必ず狐の面が。

まさにきつねのはなし。きつねにつままれたようなはなし。


日本ならではの日本人にしか書けない作品


面白かったです

バベル

テーマ:

baberu3

初日に見てまいりました「バベル」


これからクライマックス?というところで突如終わってしまったようなそんなラストでしたね。
実際長丁場を感じさせない、緊張感だったのでしょうね。



他のレビューなんか見ると酷評も多いようだけど、私にはそうではなかったかな。



baberu2

なんせ、俳優人の演技が全部すばらしい。
日本人でいうと、菊地凛子さんをベタ誉めしたくなりますが
やっぱりここは大御所(笑)ブラッドピットとケイトブランシェット夫妻が
やはりうまい。
鍋に排尿するシーンでの二人の絆が愛が、更正されていく
ところなんかすごく良かった。


メキシコ人の家政婦役の女優さんもモロッコの兄弟・アメリカの兄妹役の子供たちも

すばらしかったです。



「言葉による壁。人種による格差と差別。そして銃。
コミュニケーションがとれず、気持ちが伝わらず、それによって起きる悲劇」



こういったテーマは、鑑賞前から頭に入れていたので、納得して見れたし
過激な表現(シーン)ばかりにわいのわいの言う人もいると思うけど
人が生きて生活していればそういうことはある。と普通に納得できる
ものでもあるので。(少年の自慰行為・中年男女の性・ナンパ・ドラッグ
など)
わざとそういうシーンを入れた。ということではなく、生の性の生々しさを表現するのに

必要だったからだ、と思えましたね


言語の違いに飽き足らず夫婦でも親子であっても、すれ違い、分かり合えないもどかしさと
寂しさ。でもそこに確実にある愛情。
切なくて痛くてもどかしい


そしてどうしようもない現実

厳しく、不条理で

分かり合える、分かり合おう、なんて所詮無理な話なのか?




baberu


各国の景色・風景・人々それぞれのカラーで、バシっと見せてくれる映像と音楽は

すごくグっとくるし、飽きない。
そこにきて後は見ている人で。と投げられるストーリー
曖昧にしたまま、自分で解釈していく部分が多く、終わってすぐに感想を
持つことができなかったけれど、私にとっては駄作ではなく
やはり傑作なのではないのかなぁーと。