カナダの胸部外科医のリンパ節転移診断の実施状況ですが、回答者によって

かなりばらつきがあると報告されています。

日本でも一部同様な部分があるかもしれません。

 

 

The annals of Thoracic Surgery 

Article im press

Patterns of Practice in Mediastinal Lymph Node Staging for Non-Small Cell Lung Cancer in Canada

Simon R. Turner, MD, MEd, Nazgol Seyednejad, MD, Basil S. Nasir, MD

背景

非小細胞肺がんの病期診断において、縦隔リンパ節転移の評価は必須である。研究の目的はカナダの胸部外科医による切除可能な非小細胞肺癌患者リンパ節転移診断の実施状況を詳細に報告することである。

方法

カナダ胸部外科学会会員にアンケートが配布された。画像検査、術前の侵襲的リンパ節転移診断法を行う基準と方法、術中のリンパ節転移診断方法について質問を行った。カナダ、アメリカおよびヨーロッパの診療ガイドラインとの比較が行われた。

結果:87人中47名から回答があった。ほとんどの回答がガイドラインに従って実施していると述べていたが、多くの部分はガイドラインの推奨を反映していなかった。

ほとんどの回答者(87.2%)がすべての患者にPETを施行している一方、87.2%の回答者はリンパ節転移の術前の侵襲的診断を選択的に実施していた。侵襲的診断の基本的な基準は画像上リンパ節転移が疑われる(80.5%)、肺の中心1/4に腫瘍がある(67.5%)、腫瘍径が3㎝を超える(34.2%)であった。

術前の初回のリンパ節転移診断として選択されたのは超音波内視鏡(EBUSまたはEUS)が47.9%で、縦隔鏡は43.5%であった。縦隔鏡を選択した外科医の中で、大部分(61.9%)はEBUSの実施に障壁があると回答していた。外科医ごと、肺葉ごとに肺葉切除時の術中リンパ節切除の部位は多くの変化があった。13%の外科医は術中リンパ節切除を行わないと回答した。

結論

非小細胞肺がん患者で適切な治療方法を選択し、予後を適切なものにするためには適切な病期診断が必要である。カナダにおいてはリンパ節転移診断の実施状況が様々で、ガイドラインからの解離も様々であった。これが肺がんの病期を低くあるいは高く診断し、不適切な治療につながっている可能性がある。

 


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