スイマガWEBで新連載開始!

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「歴代トップスイマー比較考察」

というマニア向けのコーナーが立ち上がりました!

下記、まだ修正過程ですが第1回の原稿です。

ご笑覧ください。

http://www.bbm-japan.com/_ct/17128990

 

この企画は、担当の編集者の方と、池袋の「バッカス」という居酒屋で飲みながらつくった企画です。

そうです。プロレスラーが「大事なことは全てリングで決める」のと同様、私は常に「大切なことは全て居酒屋で決める」のがモットーなのです(笑)。

 

トップスイマーの技術って、例えば、男子平泳ぎで2分10秒を切る泳ぎ…といっても、現代では幾通りもありますよね?

でも、1992年ごろは、マイク・バローマンのような泳ぎが、唯一その可能性を秘めた泳ぎだったわけです。

 

だから、世界中のコーチや選手はみんな、あのバローマンのコーチによる解説とかが入った「裏ビデオ」みたいな(爆)動画を、VHSのテープがすり切れるほど見て、ストレッチとか、スカーリングのドリルとかめちゃくちゃ真似したり、階段をうさぎ跳びみたく、平泳ぎの脚で両足ジャンプしながら上がってみたりして膝を痛めたり(笑)、なんとかしてみんなが「バローマンになろう」としたんです。

でも、最終的に「2分10秒切る平泳ぎ」の解答を出したのは、バローマンの泳ぎの原理であった「ウェーブ・ストローク」を応用しつつも、まったくバローマンと違う形の泳ぎをした、というか、膝の関節がバローマンよりも数段硬かった北島康介でしたよね?バローマンのバルセロナの記録から、およそ10年の歳月が経ち、釜山のアジア大会で、放送席にいる私の目の前で(笑)、突然、その泳ぎ方が姿を見せたわけです。

 

さあ、そこからというもの、世界の平泳ぎの技術は、平井コーチと北島を中心に回るわけです。当時2分10秒を切る泳ぎは世界で唯一、北島の泳ぎだったのに対し、15年経った今、どうでしょうか? 今年の世界選手権では、2分10秒を突破しないと決勝には出られなかったわけですよね。すなわち、2分10秒切れる泳ぎは、世界に最低でも8通り以上の方法が、存在しているということになるわけですよね?勿論、8種類の中でも、ある程度の類型化はできるのでしょうけど、連載などを通じて一人一人の泳ぎをじっくり観察していると、やはり「似ているけど違う」ところはちゃんと散見されます。それだけフォームというのは、ある程度の動きの土台や水を扱うための原理原則は共通でも、世界で抜きん出るには、必ず「個別性」があるということだと思えます。

 

さて、泳ぎの技術というのは、その世代のトップの選手が突破口を開けたあとは、一般化して、更に個別に洗練されて、多様化へと進んで、ボトムアップへと繋がっていきます。もちろん、「温故知新」で以前の技術が見直されるケースもありますが、それはまた別の機会で…か、この連載で触れるかもしれませんね。

 

何が言いたいかというと、歴史をたどることで、現代のコーチが抱えている泳法に対する疑問を解決する糸口が、意外とよく見えてくることがあります。例えば、今回サルニコフ選手の泳ぎに焦点を当てましたが、今の日本で1500でサルニコフ選手より速いのは、たった二人しかいないじゃないですか?ということは、別に今の日本選手は、パルトリニエリ選手の泳ぎを真似しなくても、サルニコフ型だって参考にできるということ。日本選手が15分切るための技術の選択肢は、沢山あるということなんです。

 

特にこれからを生きる若いコーチの皆さんや、我々の世代で水泳が大好きな「水オタ」(野口命名)の皆さん。そういう方々にとって「知っていて決して損はないけど、日常生活には何も役立たない」(笑)。そんな情報を、この連載で発信してみたいと思います。

 

「次は誰と誰を戦わせようか?」と、マッチメークする側としては、これまた楽しみなのですが、もし皆様から「こいつとこいつを比較して欲しい」みたいなリクエストがありましたら、遠慮なくぶつけていただけたら幸いです。

ご愛顧のほど、よろしくお願いします。

また、比較の際に私が参考にした動画情報などは、FacebookやTwitterで発信していきたいと思います。若いコーチや、若い水オタの方で「この選手の泳ぎ見たことない」という方は、是非リンクを辿って、観察してみて下さい。

(本文中は敬称を略させていただきました)

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