ちょっと聞いてみよう (野口智博公式ブログ・毎週月曜更新)

日々進化するスポーツサイエンスとスポーツコーチングの現場との間を行ったり来たりしながら、現場での疑問を拾いあげてネタにするブログです。野口が学外で行う講演やイベントなどの告知も行います。


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明けましておめでとうございます!

本年は、卒論作成中のゼミ生たちを放置して(笑)、

3日から長野の菅平で高地トレーニングからスタートしました。

例年、1月頭に行っていたスケート実習が昨年末に前倒しされたのと、

1月頭の練習環境がなかなか用意しにくい状況だったことも、合宿を入れた理由の一つです。

 

実は、リオまでの木村の強化プランを組む際に、

この高地トレーニングを入れるかどうかは、少し悩むところではありました。

もちろん、入れてうまく行くだけの自信はありましたし、

なんせ、私は今の選手達が度々利用しているフラッグスタッフの、日本選手1期生なのです(笑)。もうかれこれ30年くらい前のことなんですけどね。

 

高地って、慣れも必要ですし、失敗するリスクもありますし、

低酸素暴露したあとの反応が、選手個々に違うので、

それらを調べてプログラムを作るのに、2015から16年は時間的猶予がなかったのやら、

なんせ、海外で高地トレーニングを行う予算的な余裕もありませんでしたから(笑)、

結果的には2016年までは入れませんでした。

リオのS11クラスの100mバタフライで勝ったスペインのオリベル選手は、

2年くらい前から、地元スペインのグラナダ(標高2300)で高地トレーニングをしていました。

2015年シーズンは失敗していましたが、2016シーズンはそれを見事に成功に導きました。

だから彼は、200IMや400フリーが強く、タフだったのです。

でも、15年に失敗しているということは、彼もそれなりにリスクを背負いながら、

リオに挑んできたわけですね。

木村もそうした方がいいか?とも思いましたが、

平地でのトレーニングでも、彼の場合はまだまだやれることは沢山ありましたし、
あえてリオではそれを使わず、平地でできる限りのことをやろう…となったわけです。

 

しかし、今年、あえてそれを取り込もうとしているのは、

「じゃあそろそろやろうか?」という理由ではありません。

正直に言えば、やらざるを得ない状況になってしまったからです。

 

IPCが昨年発表した2017年世界選手権の会場が、

なんとメキシコシチーになったのです。

障がい者の競泳大会を、標高2300mでやるなんてクレイジーだと思いません?(笑)

まあ健常者ではあり得ないことです。やったらやったでそれはまた面白いんでしょうけど(笑)。高地でレースなんて、まあデスマッチか罰ゲームみたいなもんですからね。

健常者の方では、メキシコオリンピックで一度やってはいます。その頃は、それなりに記録は出ていたと記憶しています。

しかしあの頃と今では記録のレベルが違いますから、今やったら、世界新が出にくい大会にはなるのかな…と考えます。

 

私自身も、現役時代に2回、コーチとして自身は3回、選手だけ派遣したのが+2回くらいかな? いずれも場所がフラッグスタッフだったので、

その苦しさはよく理解しています。

ついでに言えば、高地って慣れるまではビール2本程度で酔える環境であることも、よく理解しております(笑)。

そんなところでレースって、きっときついだろうなあ…。

ていうか、高地では死亡事故も起こっていますので、

よくIPCがそれを飲んだなあ…というのが、正直な私の感想です。

だって、障がい者水泳って脳性麻痺の選手もいますし、

脱水が起こりやすい環境だと、コンディション維持がしづらい障がいもあるはずなんです。

いやはやこれは、本当に「画鋲1000個と蛍光灯100本とガラスボードとコンクリートブロックとラダーを使っても良いデスマッチ」並に、

ハードルの高い課題を突き付けられたな…という感じです。

 

まあ決まったものは覆しようがないので、対応せねば…ということになります。

そこで、今期は3月選考会前に2回、国内の準高地ではありますが、

かつては中大が、今は東海大が何度も利用している国内の高地トレーニングの名所である菅平にて、ショートキャンプを張ることにしたのです。

3月の選考会で代表に選ばれれば、世界選手権までに2回程度、2週間単位の高地トレーニングが行われる予定ですが、

予定場所を見るといずれも2100m〜2300mクラスの場所です。

2000mを越えるところは、多分、事前に低酸素に慣れておかないと、

最初の1回はほぼ「行くだけ」の合宿になり、

環境負荷はかけられても、泳いだりウエイトしたりして身体に物理的負荷をかけるのは難しくなります。

1回目の高地合宿後は、恐らく例年通りドイツ遠征があると考えられるので、

そこである程度の成果を挙げられる、あるいは高地後の平地強化の一環として、多数のレースをこなせるようにすることを考えれば、

やはり1回目の高地トレーニングも、滞在後期には、しっかりと強化が積めるようにする必要があります。

 

あとは、選手達に対して高地トレーニング中に注意すべきことを、

講義とかではなく、実際に経験させながら指導していくという準備も必要です。

高地はどこもかなりの乾燥地ですし、気温が低い環境が多いです。

そうなると、乾燥地・低温環境でのコンディショニングも経験しておく必要があります。

実際に、私も一昨年のコロラド以来の準高地でしたが、

喉の痛みが出てきましたし、今回は選手の中にも、声が枯れたり微熱が出た選手も出てきました。

今は私も含めてコンディションは良好ですが、

長期滞在となると、身体的、心理的コンディションをどう保つか?ということが、課題として浮き彫りになったところですね。

 

また、高地トレーニングは、それ自体の成否もさることながら、

その後のトレーニングが極めて重要になります。

そこで一段高いレベルのトレーニングができるかどうかが、

本当の意味での高地トレーニングの成否を分けることになるわけです。

 

ということは、2017年は世界選手権である程度のタイムを出し、

しっかりと戦い切ることも重要ですが、

帰国後時差調整したらすぐに、もう一段高いトレーニング負荷をかけられれば、

2020に向けたジャンプアップが可能になると考えられます。

 

コーチとしては罰ゲームみたいな課題ではありますが(笑)、

このピンチをチャンスに変えられるよう、

これまで以上にしっかりと情報収集していきたいと思います。

 

しかし、久しぶりの寒冷地での合宿。

酸素は薄いけど済んだ空気と、雪景色は奇麗でした。

パウダースノーっていうんですかね。雪合戦がしにくいやつ(笑)。

小さい頃の故郷・島根の風景を思い出しつつ、

充実した合宿で新年のスタートが切れました。

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