いろいろなことがありすぎた2011年もあとわずか。子供の冬休みも始まったので年内の美術鑑賞は打ち止めかと。なので少し早いですが極私的・2011年美術展ベスト10を考えてみました。
これらは展覧会自体の内容への評価というよりは、あくまで私にとっての強い印象が残った展覧会。なのでどうしても初見のものが多いです。大型展や西洋モノが殆ど入ってないのは、やはり「日本」や「個人的体験」を強く意識させられた年だったことが大きいような。(プーシキンが開催されてたらランクインしたかもしれませんが...)
中止や延期になった美術展もありましたが、写楽展や横浜トリエンナーレといった大型展も開催されたのは美術ファンとして嬉しいことでした。今強く思うのは東北各地の美術館にも機会を作って足を運びたいということです。
個人的には身体の再不調(しかし自覚症状なし)も体験しましたが、おかげさまで復活して美の世界に沢山触れることができて幸せでした。来年も新たな感動に出会えますように。そして日本が元気になりますように。
<2011年度ベスト10> 順不同
*包む―日本の伝統パッケージ展@目黒区美術館 (2月)
日本の美意識に括目させられた一か月後にあの震災が起きるとは。今思ってもなんともいえない気持ちになる。
*白洲正子 神と仏、自然への祈り・ 生誕100年特別展@世田谷美術館 (3月)
白洲正子フリークには狂喜乱舞モノの内容。震災後すぐの会期だったが中止や延期することなく開催された主催者にも敬意を表したい。白洲さんが愛した仏像や神像を見れたのは「神仏います近江」へのプロローグともなった。
*森と芸術@庭園美術館 (4月)
澁澤フリークでもあるので盟友の巌谷氏監修のこの展示もツボだった。
*母たちの神-比嘉康雄展」@IZU PHOTO MUSEUM (5月)
GWに斎場御嶽を訪れて感動したが、こちらの会期が延長して見ることができたのも琉球の神々のお導きか。クレマチスの丘も初訪問。
*ジョゼフ・クーデルカ プラハ 1968@東京都写真美術館
アラブの春の映像とリンクする。原発デモが報道されない日本の現状とも。写真のパワーは死なず。
*名物刀剣 -宝物の日本刀@根津美術館 (8月)
刀剣に対する意識が180度変わった。会場のスタイリッシュさも強烈。どしゃぶりの雨を根津美のロビーから眺めたのも忘れ難い思い出。
*イケムラレイコ うつりゆくもの@東京国立近代美術館 (9月)
横たわる少女たちや異形の顔の彫塑たち、そして作者の言葉に心がゆさぶられた。
*生誕100年記念 瑛九展@うらわ美術館、埼玉県立近代美術館 (10月)
殆ど知らなかった作家だが、点描=まるで宇宙の広がりの表現にはノックアウト。
*春日の風景 麗しき聖地のイメージ@根津美術館 (10月)
春日宮曼荼羅を初めて見た。春日権現験記をかぶりつきで眺め、翌月に何十年ぶりかに春日大社に参拝も。
*神仏います近江@MIHO MUSEUM、滋賀県立近代美術館、大津歴史博物館 (11月)
いったんあきらめたものの弾丸帰省を決行して3館とも見ることができた。やっぱり本当に見たいと思うものは見ることができるのだな。
次点:
磯江毅 グスタボ・イソエ マドリード・リアリズムの異才@練馬区立美術館
彫刻家エル・アナツイのアフリカ@埼玉県立近代美術館
生誕250年記念展 酒井抱一と江戸琳派の全貌@千葉市美術館