映画「ズートピア」

人に悪口を言われトラウマになり悩んでいる人にとっては
この作品を見ることで、前向きに切り替えられる機会になるかも。
主人公を傷つけた幼なじみのキツネが改心して出てきますが、
現実では大人になってもわからない人もいますからね・・・
子どものままの大人はつまらないと感じるかも。

動物の世界と言いつつ、やはり人間を描いた世界。構造は複雑。
ありのままに裸になり開脚するなど・・・セクシーさもあり?



認知的不協和、防衛規制など、心理学をうまく取り入れていると感じました。
多くのキャラを出して、それぞれに役目を与えている。


認知的不協和・・・自身の中で矛盾した認知を抱えること。
人はその不協和(不快感)を解消するために、
比較的変えやすいほうの認知を変えて、協和している状態にしようとする。


自分で希望してその職についたが、つまらない仕事を与えられた。
そこで不協和が生まれます。
不協和をなくすために、言い訳を考えたり、他人のせいにしたり、別の目標を作ったりします。
やり方は人それぞれ、悪い行動もありますよね。
ちなみに、認知的不協和の例として、イソップ童話「すっぱいぶどう」がよく出てきます。


「すっぱいぶどう」
そのブドウは努力しても手が届かない。
不味いんだ、自分にはふさわしくないんだ。
キツネは高いところにあるブドウを「まだ青くて食べられない」と考えてあきらめます。


「ズートピア」はうさぎのジュディが主人公なのですが、
物語の鍵となるのはキツネのニックとブルーベリー。
ブルーベリーは青いぶどう、つまりは手に入れたいもの、地位、夢。


ニックはブルーベリーを気軽に食べているのですけども。
食べてみて、こんな味だったのかという台詞があります。
自分にとっていいものなのか、そうでないものなのか。
結局は食べてみたり、調べてみないとわからないですよね。

また、食べてはいけないブルーベリーも出てきました・・・描写は覚醒剤ですが。
(ドラマ「ブレイキング・バッド」のオマージュ)



キツネは騙すもの。
ライオンはトップに君臨するもの。
羊は利用されるもの。
こういう存在だろうと自分の世界から勝手に判断します。
それは童話やディズニーアニメで作り出したイメージ。


ジュディは小さなうさぎの女ですが、警察学校で戦う訓練もしてきました。
そこではトップの成績を修めました。
しかし、外見から判断されて、行方不明事件の捜査には加われません。
ジュディは駐車禁止の取り締まりをさせられます。
不快を感じますが、上司が言うキップを切る目標数よりも、もっと数をかせぐんだと
新たに目標を作り努力をしていきます。
仕事は完璧なのですが、市民からは嫌われてしまいます。
まあ、落ち込む暇はなく、新たな事件が起こるのですけど。
ジュディの展開は浮き沈みが激しいです。結構、ノリで生きてる感じも。


見た目で判断するなと思うのですが、
ニックはキツネのイメージそのまま、詐欺師をしています。
動物に残された習性を利用して金をかせいでいます。
(詐欺をしなくても商売になりそう)

ジュディは行方不明者の捜査をする中でニックを仲間にします。
行方不明者が乗った車のナンバーがわかり、DMVという免許を取る役場に行きます。
このDMV、かなり仕事が遅い。なぜなら職員全員がナマケモノなのですから。
(アメリカではDMVの遅さが問題視されているそうです)


ジュディは後に行方不明者を見つけ出しますが、
報道で彼らは「肉食動物のDNA」「野生化する」と語ってしまったため、
世の中では「肉食動物」の排除が起こります。
動物たちは進化をして人間化しましたが、それぞれ習性が残っており、
教育を受ける中で野生での知識持っていましたから。
オオカミならば遠吠えする習性があり、それは無意識でやっています。

ジュディは羊の新市長から警察の英雄になって欲しいと言われます。
(キャプテンアメリカみたいな宣伝役です)
しかし、自分の発言で世の中が変わったことにショックを受けており、
警察官をやめて、農業を営む実家に戻ってしまいます。
そして、畑に虫除けで植えられた青い花を見つけます。
「夜の遠吠え」と呼ばれている危険な青い花です。


自分の知る世界にないものが現れた時にどうするのだろうか

自分の知る世界にあるものと同じだと考えていいのだろうか


見た目で判断してはいけない。
そうわかってはいても、見た目に騙されてしまう。
どうしようもないものだとわかります。
なぜなら、観客はこの映画の見た目に騙されるのですから。
映画を見終わった後に、あれもこれも騙されていたのかなと
作中のトリックを考えさせられました。



ジュディの落ち込む心の変化、それに対しての行動があるように、
心理学での防衛機制を意図的に入れられています。

防衛機制・・・不快な感情、気持ち、体験を弱めたり避けることによって、
心理的に安定した状態を保つために発生する心理的な作用。
抑圧、否認、同一化、投影、合理化、置き換え、反動形成
分離、復元、昇華、神経症、退行など

心理学といっても、ごく日常にありふれたもの。
無意識でやっていることで、どんな物語にも入っています。


防衛機制のひとつ「同一化」
受け入れられない現実や、叶えられそうにない現実があるとき、
その相手を真似たりすることで、満足しようとする。


歌姫のガゼルと一緒に踊る「スマホアプリ」で遊ぶ場面があります。
ガゼルと一緒に踊りたい、けれど頑張っても自分には無理なんだ。
それでもアプリの中に自分の顔を入れ込み、ガゼルと踊らせ、心では満足させています。
強面の署長まで・・・。アプリをやる署長を見た部下はウキウキ。僕と一緒なんだ。
また、エンドクレジットのところは、ほとんどのキャラは観客です。
ディズにーにしては地味ですが、現実感の中におさえていました。


困難になった場面の後には、
心理コントロールをする場面が入ります。
ゴンドラに乗っている時には、ニックは辛い過去を思い出します。
そこに問題を解決するヒントはありませんが、
困難になったところに辛い過去を入れたことで、観客はニックと重なり共感しやすくなっていました。

博物館でピンチになったところでは、光で影を作り投影させる場面があります。
それを見る相手にイメージさせているのですが、
ここで観客は冒頭にもある演劇の場面が思い出されます。
子どもの演劇で、過去の歴史観を押しつけていました。
教育を語っていることになりますし、ここまで連想させるものを入れ込むのかと驚きました。


造形において
ズートピアに来た時はどんな動物もいっしょに、
なおかつそれぞれの道があるという造形にしています。
身体のサイズが違っていても、みんなで生きられる理想があります。

しかし、みなが一緒に暮らしているわけではなく、壁があり小型動物の区域があります。
小さな建物に住んでおり、車も小さい。
そこではジュディがウルトラマンのように大きい存在になります。
大きな動物なら簡単に壊すことができますから、とても危うい世界だともいえます。

ジュディは壁が薄いアパートに住んでいますが、
他の警察官はどんなところに住んでいるのでしょうか。


動物たちを描くものの問題は食にありますが、「ズートピア」はほとんど食べる場面がありません。
外食店はあるものの、ニックが作るアイスのように、材料が何なのかはわかりません。
幼なじみのキツネはうさぎのためにパイを作っていましたし、
食に関してはうまくやっているのでしょう。
(裏設定は肉食動物たちは昆虫を材料にしたものを食べている)

ニンジンマークのスマホ、キツネマークの撃退グッズ。
スマホなどの道具はうさぎが作っているのかもしれません。
後のシリーズか、短編などで語られるといいですね。



私は隠れミッキーには気づきませんでした・・・後で調べてそこかと。
何度も目には入っていたのに。ブルーレイが出たら見てみます。
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