熊本の被災マンションを悩ます被害判定① | 廣田信子のブログ

廣田信子のブログ

マンションコミュニティ研究会、MSC㈱代表廣田信子より
日々のマンション生活やお仕事に、また人生にちょっとプラスになるストーリーをお届けしています。
一人ひとりが自分らしく活躍しながら、力を合わせることで豊かに暮らす、新しいコミュニティ型社会を目指して・・・

こんにちは! 廣田信子です。

先日、ようやく熊本に伺いました。

熊本地震は、4月14日、4月16日と、
震度7クラスの地震が2回続き、
後の地震が本震だったという予想もつかない状況が発生しました。

しかも、その後も余震が続き、
7月10日にも震度4クラスの余震がありました。

一番たいへんなときには、
何か具体的にお手伝いができる人間以外が行くのは申し訳ない…
と思うとなかなか行けなかったのですが、

今回、思い切って伺ってよかったです。
直にお話を聞かないと分からないことがたくさんあります。

熊本県マンション管理組合連合会の
平江会長と皆さんに伺った現状を
多くの方にお伝えできればと思います。

改めて、今、熊本の被災マンションが直面している課題は、
東日本大震災時のときと驚くほど同じでした。

なかなか経験は共有されないのです。

比較的被害が小さかったマンションでは、
すでに修復工事が始まっているところがありましたが、

被害が大きいところほど、
まったく手がついていませんでした。

まず、マンションの構造的な被害状況を正確に知らなければ、
次に進めないのですが、

被害判定には目的に応じていろいろな種類があって
判定結果が異なることから、
今のマンションの破損度合の判断がつかないのです。

被害状況の判定の種類は4つあります。
それが入り乱れて混乱を引き起こすのです。

その4つを簡単に紹介すると、

①応急危険度判定

 市区町村によって行われる直接の危険性の判定です。
 主に二次災害を防ぐことが目的で、
 建築士の資格を有し講習会を終了し各都道府県に登録している
 応急危険度判定士によって行われます。
 
判定の種類には、下記の3種類があります。
・調査済み(緑):危険がない、
・要注意(黄):損傷があるが立入は可能
・危険(赤):倒壊の危険が高い→立入り禁止となる

いわゆる「赤紙」が張られたと話題になっている判定です。
熊本の被害の大きいマンションの入り口にも「赤紙」が張られていました。


②罹災証明認定基準による判定

 市区町村によって行われる
 内閣府が定める災害の被害認定基準による判定です。

 自然災害などにより住家などが破損した場合、
 その程度を国の基準に基づき判定し、証明するもので、

 この証明は、保険の請求や税の減免などの手続きに必要とされ、
 国の各種救援措置もこの罹災判定によって決まる重要なものです。

判定の種類には下記の4つがあります。 
・全壊:
 住家が滅失したもので、
 住家の損壊(焼失、流失)部分の床面積がその建物の延床面積7割以上に達したもの、
 または、住家の主要構造物の被害額(以下「経済的被害」という。)が
 その住家の時価の5割以上に達した程度のもの。

・大規模半壊:
 上記損壊等部分が、延床面積の5割以上7割未満若しくは
 経済的被害が4割以上5割未満に達する程度のもの。

・半壊:
 住家の損壊が甚だしいが、補修すれば元通りに再使用できる程度のもの。
 損壊等部分が、延床面積の2割以上7割未満のもの、
 または、経済的被害が2割以上5割未満程度のもの。

・一部損壊:
 建物の一部が破損したもの。
 ただし、窓ガラス等の数枚破損した程度の軽微な被害は除く。

マンションに当てはめようと思うと分かりにくいですよね。

戸建て住宅を想定して制度がつくられていて、
住んでいる人(居住者)が申請手続きをし、認定を受けるものですが、

主要構造部を共有しているマンションはそういう訳にはいきません。

東日本大震災時に
関係者がたいへんな苦労をして役所と掛け合い、

マンションは理事長の申請により管理組合として
棟ごとに認定を受けることができるようになりました。

が、このような認定の仕方が、
法律の解釈として、全国で共有されておらず、

今回の熊本地震でも、
役所は始め、あくまで個人の申請といっていて
たいへんだったと聞きました。

マンションとして認定を受けると、
住民全世帯(区分所有者ではありません)に罹災証明書が発行されます。

私も、東日本大震災では、
一部損壊の罹災証明書の発行を受けました。

一部損壊では、多少の税金が免除になるぐらいで
特に何もありませんでしたが(笑)

熊本市も、管理組合からの申請を受けつけることが
役所にも住民にも浸透し、

ようやく、罹災証明発行に関しては
混乱が落ち着いたところだと聞きました。

ここまでの2つの判定基準は、役所関係の判定ですが、
ここからがたいへんで、
今、熊本でもいろいろ問題になっていました。

あと2つの判定基準は、明日!

------------------------------------------------------------------------------

「廣田信子のブログ」が本になりました!
2020年マンション大崩壊から逃れる50の方法!/宝島社

¥1,404
Amazon.co.jp

------------------------------------------------------------------------------

ランキングに参加しています。
クリックしていただけると励みになります!



マンション管理 ブログランキングへ

にほんブログ村 住まいブログ マンション管理へ
にほんブログ村

------------------------------------------------------------------------------

Facebookでもお届けしています!
Facebook