村上信夫 オフィシャルブログ ことばの種まき

元NHKエグゼクティブアナウンサー、村上信夫のオフィシャルブログです。


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映画は、

まもなく100歳を迎える二人が対面するシーンから始まる。

同じ時代を生きてきた、笹本恒子さんとむのたけじさん。

笹本さんは日本初の女性報道写真家であり、

むのさんは孤高にして伝説のジャーナリスト。

その日、出会いの記念にと笹本さんが赤いバラを贈ると、

むのさんは「赤いバラが好き。いのちを表す花だ」と

目を輝かせて笑った。
監督は、元NHKディレクターの
河邑厚徳(あつのり)さん

むのさんのペンと笹本さんの写真を交錯させながら、

二人の証言を通して激しく揺れ動いた時代を浮き彫りにする。

 

笹本さんは、1914年9月1日東京生まれ。

日本初の女性報道写真家だ。

日独伊三国同盟から60年安保闘争など、

戦中・戦後の歴史の節目に立ち会ってきた。

徳富蘇峰、浅沼稲次郎、力道山ら昭和史を彩る人々にもカメラを向けた。明治生まれの女性たちを題材にした撮影も続け、宇野千代、杉村春子、沢村貞子ら「明治生まれの女性たち」シリーズは笹本の代表作となった。

102歳の今も現役フォトジャーナリストとして活躍中。

 

むのさんは、1915年1月2日秋田生まれ。

新聞記者として戦前・戦後を生き抜き、

まったく変節せず、ぶれずにジャーナリストを貫いてきた。

1945年8月15日、

戦争協力の記事を書いた責任を感じて朝日新聞社を辞め、

その後ふるさとの秋田県横手に戻り、

週刊新聞「たいまつ」を発行してきた。

たいまつというのは火を灯して掲げるトーチ。

それは、次世代へ手渡していくバトン。

戦後の激動の中でも自由を旗印にジャーナリストとしての矜持を貫き、若い世代に向け平和を訴えた。

2016年8月、101歳で亡くなった。

 

むのさんは、見た目は等身大の老人なのに、質問に答え始めると情熱的に語り出す。

河邑監督は、この人は「骨董品」だと思ったそうだ

「骨董品には、時代が磨き上げた美しさがあり、その物しか持ち得ないかけがえのない佇まいがある。むのさんも、喋る前はぼろぼろのおじいさんに見えた。ところがいったん喋り始めると、骨董のお茶碗にお抹茶を立てたように、普通ではあり得ない美しさや味わいが出てくるんです。国宝級の骨董品だと思いました

 

笹本さんは、日本初の女性報道写真家という肩書はあっても、長い人生の間には絵を描き、洋裁やフラワーデザインをしたり、アクセサリーを作ったり、常に変身を繰り返している。河邑監督は、「出逢いによって変化する謎を解いていく面白さ」を主題にしようと考えた。

組織に属さないという意味で、二人は共通している。

大上段にものを言うマスメディアとは一線を画し、

日本独特の狭い価値観からは距離を置き続けている。
二人ともどこかあどけないところがあり、

永遠の少年少女でもある。

権威主義ではないし、他人に道徳やモラルを説く人でもない。

 

監督は、タイトルを「笑う101歳×2」にした。

年を重ねると表情がなくなっていく人も多いが、

彼らは本当によく笑う。

101歳の誕生日に、むのさんは、「笑いながら死ぬことは誰もやっていない。だから笑って死ぬんだ」という話していた。

監督には、映画を観た人が微笑みながら映画館を出られるようにという思いもある。

 

ラストカットは、むのさんが自宅で最期を迎えるシーン。

そのシーンから、

時代の目撃者むのたけじの目、その見据える先を、

次世代に考えてほしいと、監督は言う。

 

「変節せず、ブレることなく生きた」むのたけじ。

とらわれず、適応しながら生きた」笹本恒子。

ひとつを貫くむのさんの生き方も、

笹本さんの変化し続ける生き方も、

どちらもしなやかでカッコいい。

 

この映画は、6月3日から、全国各地で順次公開される予定。

 

 

 

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