岩瀬昇のエネルギーブログ

エネルギー関連のトピックス等の解説を通じ、エネルギー問題の理解に役立つ情報を提供します。


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価格下落が始まってからほぼ18ヶ月、産油国の財政も傷んでいるがスーパーメジャーの体力も急激に落ちている。今朝、流れているニュースは、それを象徴するものではないだろうか。

 Wall Street Journal219708 pm ET(東京時間、220908 am)に “Exxon fails to replace oil, gas production first time in 22 years” と題して報じているものだ。

 読者の皆さんには少々、説明が必要だろう。

 株主が石油会社の実力を評価するときに重視しているものに、Reserve Replacement RatioRRR、埋蔵量代置比率)というものがある。これは、ある期間に、買収、探鉱、技術革新による評価見直しなどによって増えた保有埋蔵量(ここでは90%以上の確率で、経済的に回収可能な「確認埋蔵量」を指す)と、その年に生産したために減少した保有埋蔵量との比率のことである。これが100%を下回ると、将来の収入に暗い影を落とすというものである。

生産量が「現在」の収入をもたらすのに対して、埋蔵量は「将来」の収入をもたらす。だがRRR100を切ると、「将来」の生産量が減少する可能性が高くなるので、収入も減少する可能性が高まる、というわけだ。

たとえばエクソンのように、日本の総消費量に近い、400万(石油換算)B/D程度の生産をしている会社は、毎年14.6億バレルほどを消費している、つまり、保有埋蔵量を減少させていることになる。従って、2015年に10億バレル程度しか追加できなかったエクソンは、約3分の2しか代置できなかったことになるのである。

 さて、報道によると、エクソンの2015年末の保有埋蔵量は石油換算(天然ガスも熱量等価で石油に換算する)で246億バレルで、RRR65%だった。1994年以来、22年ぶりに100%を切った、とのことだ。

 ちなみにライバルのシェルのRRR26%、BP61%だったが、シェブロンとトタールは107%だった。過去3年間の平均RRR67%でしかなかったシェルがBG買収に踏み切った背景には、2015年のRRRの急激な下落という現実があるのだろう。埋蔵量を保有する会社買収は、もっとも手っ取り早い埋蔵量増加策なのである。

 同様の内容を報じているBloombergの報道と合わせると、これは2015年の生産実績の16年分で、2014年末には17.4年分あったので、今回の減少は大きい。埋蔵量が増えているのは、アブダビ、カナダ、カザフスタンなど。落ち込みが大きいのは米国の天然ガスで、8.46億(石油換算)バレルの減少となった。エクソンは、これらの天然ガスは将来、もし価格が上昇すれば掘削されることになろう、と説明しているとのこと。

 このエクソンの説明は、アメリカの天然ガス価格がしばらくは回復しないという認識の現れであろう。つまり、技術的な埋蔵量としてはまったく変化していないが、現状では「経済性がない」ので確認埋蔵量から「格下げした」ということではないだろうか。 

 6月に発表されるBP統計集が、世界の埋蔵量をどのように認識するか、非常に興味深い。現在の低価格がニューノーマルだと認識すれば、どこかの埋蔵量が大幅に下方修正されるはずだからだ。

 読者の皆さんもぜひ気にしておいて下さいね。

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