虚実皮膜

2010-01-07 20:17:57 Theme: 運動
【きょじつひまく】
芸の真実は虚構と現実との微妙なはざまにあるとするもの。近松門左衛門の芸術論。

◇  ◇  ◇

「Float like a butterfly, sting like a bee. Your hands can't hit what your eyes can't see.」

「蝶のように舞い蜂のように刺す。そんなオレを、お前ごときが殴れるワケねーだろ!」モハメド・アリの名言である。

格闘家はほとんどの場合、何の怨望もない相手を攻撃し打ち倒さなければならない。やらねば逆に自分がやられるからだ。

格闘家によくあるビッグマウスは、相手を殴る動機を自ら搾り出すための苦肉の策だと私は解釈している。そうでもしなければ、見ず知らずの人間と戦うなど容易ではない。それに、もし負けてしまえば、数多くの批判を受けるリスクまで背負ってしまう。好き好んでできるモノとは到底思えない。

そんな悲哀を秘める「ビッグマウス」は、一方で興行の盛り上がりに大きく貢献する。

以前に亀田興毅が、調印式の席上でハンバーガーを食べるという暴挙に出たときは、一般紙にまでそのエピソードが取り上げられ、大きな注目を浴びた。そんな彼の試合は、今や視聴率40%を超える超優良ソフトにまで成長した。

また、モハメド・アリは試合の度に様々なビッグマウスを発し注目を浴び続けた。1960~70年代のアメリカボクシング界の繁栄は、アリなしでは語れない。ビッグマウスが、業界全体にまで波及することもあるのだ。

そして、そんな彼らに共通しているのは、実はジェントルマンであること。アリも亀田も試合後は相手を讃えるそうだし、格闘スイッチがオフの時は、非常に丁寧な人物であると聞く。無礼な振る舞いは虚構であることがよくわかる。

次に格闘技を観るときは、そんな側面があるということを覚えていて欲しい。より楽しめるハズだから。


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