「モクモクファーム」所得隠し/名古屋国税指摘 3法人計1億円 | 脱税・申告漏れ日記

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大阪の若手税理士が巷に流れる脱税・申告漏れ報道の裏側を分かりやすく解説します!

『「モクモクファーム」所得隠し/名古屋国税指摘 3法人計1億円』
http://chubu.yomiuri.co.jp/news_top/110630_1.htm
読売新聞 2011年6月30日

『名古屋国税局:モクモクファーム所得隠しを指摘』 
http://mainichi.jp/chubu/news/20110630k0000e040064000c.html
毎日新聞 2011年6月30日 14時00分

『所得隠し:モクモク、3年で1億円 社長「見解の相違」 /三重』
http://mainichi.jp/area/mie/news/20110701ddlk24040392000c.html
毎日新聞 2011年7月1日 地方版


グループ内で利益を付け替え、所得隠しをしたとされる事案
・名古屋国税局から所得隠しを指摘されたのは、農業公園の運営及び加工食肉の製造をしている農事組合法人「伊賀の里モクモク手づくりファーム」と、その関連会社レストラン経営会社「伊賀の里」、加工食肉販売会社「農業法人モクモク」の3法人
・3法人は決算期が近づくとグループ内で帳簿操作により「伊賀の里モクモク手づくりファーム」から他の2法人に通常より安値で商品を卸すなどして利益を付け替え、所得を圧縮。
・名古屋国税局は、付け替えた利益が寄付金にあたると判断し、2010年3月期までの3年間で計約1億円の所得隠しを指摘。
・重加算税を含めた追徴税額は約4000万円。→既に修正申告済み。


関連会社の決算期のずれを利用して利益を法人間でぐるぐる回して税負担を軽減する。

そんな危ない橋を渡っているような手口も実務上たまに見かけますが、ギリギリ認められるとしても、それは取引実態があってしかも適正価格だからこそ。


特に同族関係者や関連会社間の取引は恣意性が入りやすいので、価格設定に関しては調査官の見る目も厳しくなります。

当然税理士が決算内容をチェックするときも慎重です。


さて今回の事案ですが、グループ外の第三者への卸値とグループ内での卸値に著しい乖離があったのか、はたまた売掛金の計上・支払いに関して「ある時払いの催促なし」で、決算期末にまとめて売上計上していたのか。

いずれにしろ第三者間の取引とは異なる点があったための寄付金認定だと思われます。


同社社長は、

決算処理を巡って国税局と見解の相違があり、修正申告した。意図的な所得隠しではない

との主張。


まぁ実際、調査官が他に指摘するところがなく、半ば強引に寄付金認定や交際費認定に持っていくケースも実務では無いとは言えないので、どちらの主張がより合理性があったかをこの記事からは判断するのは困難です。


しかし、意図的な所得隠しで無いなら、修正申告するにしても仮装・隠蔽があった場合に課される重加算税については争っても良かったのではないかと思います。


とことん争った場合の事務コストを考えてのことなのでしょうが、すんなり修正申告しているのを見ると、他にも色々指摘されて、「とりあえず今回はこの分で。」という交渉があったのかと疑ってしまいます。



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