脱税・申告漏れ日記

大阪の若手税理士が巷に流れる脱税・申告漏れ報道の裏側を分かりやすく解説します!


テーマ:
『消費税訴訟の判決で弁護士会の訴え退く 京都地裁』
http://sankei.jp.msn.com/region/news/110429/kyt11042902480000-n1.htm

2011.4.29 02:47

弁護士が弁護士会に対して支払った受任負担金が消費税の課税の対象に該当するとされた事案
・会の法律相談をきっかけに会員の弁護士が民事事件を受任した場合、報酬の一部を「受任事件負担金」として会に支払い。
・会は消費税の課税の対象にならない取引として申告。
・中京税務署が2003年5月の税務調査で(課税の対象となる)「売上にあたる」として修正申告求める。
・会は反論の意見書を提出して修正申告を拒否。→税務署が2004年5年に税額を増加させる更正処分を行う。
・会は大阪国税不服審判所に審査請求を行う。→2007年6月に棄却。
・2007年12月に更正処分の取り消しを求め京都地裁に提訴。→2011年4月28日会の訴えが退けられる。

訴訟までの経緯については以下のブログが詳しいです。
法律相談後受任負担金 課税不当 税務署提訴へ 京都弁護士会(PINE's page)
京都弁護士会、消費税で国を提訴(ねみみにミミズ~)

消費税法では、「国内において事業者が行った資産の譲渡等」に消費税を課しており(消費税法第4条)、資産の譲渡等とは「事業として対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供」としています(消費税法第2条第1項第8号)。
この事案で問題になっているのは、受託負担金について対価性があるかどうかということですが、対価性があるというのは、反対給付の関係が成立しているか、つまり譲渡やサービス提供の見返りとして金銭の授受等があったかということになります。
したがって、金銭の授受がない「贈与」や見返りを求めない「寄附」などは消費税の課税の対象外になります。

それらを踏まえて、実務上、同業者団体に対する会費、入会金が課税の対象になるかどうかについては以下の通達がひとつの判断基準とされています。
(会費、組合費等)
5-5-3 同業者団体、組合等がその構成員から受ける会費、組合費等については、当該同業者団体、組合等がその構成員に対して行う役務の提供等との間に明白な対価関係があるかどうかによって資産の譲渡等の対価であるかどうかを判定するのであるが、その判定が困難なものについて、継続して、同業者団体、組合等が資産の譲渡等の対価に該当しないものとし、かつ、その会費等を支払う事業者側がその支払を課税仕入れに該当しないこととしている場合には、これを認める。
(注)
1 同業者団体、組合等がその団体としての通常の業務運営のために経常的に要する費用をその構成員に分担させ、その団体の存立を図るというようないわゆる通常会費については、資産の譲渡等の対価に該当しないものとして取り扱って差し支えない。
2 名目が会費等とされている場合であっても、それが実質的に出版物の購読料、映画・演劇等の入場料、職員研修の受講料又は施設の利用料等と認められるときは、その会費等は、資産の譲渡等の対価に該当する。
3 資産の譲渡等の対価に該当するかどうかの判定が困難な会費、組合費等について、この通達を適用して資産の譲渡等の対価に該当しないものとする場合には、同業者団体、組合等は、その旨をその構成員に通知するものとする。

つまり、会の運営に充てられる「通常会費」は明白な対価関係がない(会費払ったからといって具体的・直接的に弁護士会が会員弁護士に何かしてくれるわけではない)ため消費税は課税されません。しかし、研修の会費や出版物の購読料としての「特別会費」は対価関係がある(会費を払わないと出版物の購読や研修の受講ができない)ため消費税が課税されることになります。

今回の受任負担金については弁護士会ごとに取り扱いの差があるようですが、受任すれば必ず徴収されるような場合には、紹介手数料と同様に明確な対価関係があると言わざるを得ないでしょう。一方、任意に支払いを求める「寄附」のような形であれば、課税の対象外とすることができたかもしれません。
もっとも通達自体は行政運営上の内部文書で、法律そのものではありませんので、内容が法律に違反していると思えば訴えを起こしてその内容の是正を求めるのは不可能ではありません。

しかし今回の地裁判決では通達の取り扱いが支持されたということですね。

なお、消費税は資産の譲渡等という「消費という行為」に対して課税する税金であり、法人税のような人的な非課税規定はありません(地方公共団体や公共法人・公益法人だからといって消費税が非課税になることはなく、非課税になるのは土地の譲渡・貸付といった行為)。

したがって、弁護士会の

会の公益活動に対する課税は全国的に強まっており、訴訟を通じて公益性の意義を訴えたい

という主張はやや的外れと言えます。

会は控訴する方針のようですが、個人的な意見としてはこれを覆すのは非常に困難だと思います。

なお、会側で課税売上となるのであれば、支払った会員弁護士側では課税仕入れとして税額控除が可能です。過去に課税仕入れにならないとして消費税の申告をしていた弁護士先生にとっては納税額が減ることになるため、逆に朗報とも言えるのでは?



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