岩波書店の「縁故採用宣言」が素晴らしい3つの理由
岩波書店が13卒採用の応募基準に
「岩波書店から出版した著者の紹介状あるいは
社員の紹介があること」
と明示し、事実上「縁故採用」に限る方針を示したことが
話題になっている。
私自身も出張先から移動中、新幹線内の電光ニュースで
速報っぽく報道されているのを目にし、世間の反響の
大きさに驚いた次第だ。
さて、私としては「岩波書店、いい仕事してるな~」と
感じ入った次第であり、この宣言には大賛成なのだ。
そして、倫理的になんの問題もない。 では、なんで
問題ないのか、そしてどう賛成なのか、具体的に説明
していこう。
【問題ない理由】
ネット上で賛否両論はあるが、「機会平等に反する」とか
的外れの指摘をしている人は同社HPをよく見てから反論
すべきである。
同社は「自ら縁故を見つけてほしい」といっているのだ。
これは「オープンなコネ」なのか「クローズドなコネ」
なのかの違いである。
「クローズドなコネ」はダメだ。
「その会社の経営者や社員とつながりがあるか」という、
運や縁、住んでいる地域などによってチャンスに差が
生まれるからである。 これでは平等ではない。
一方、今回同社が言っているのは「オープンなコネ」である。
「岩波社員による紹介」だけであれば首都圏在住の学生が
有利になるので平等とは言えないが、
「岩波の著者の紹介」もコネだと言っている。
著者にアプローチするのは自由だから、全国どこにいても
機会は平等なわけだ。
特に編集職の場合、仕事内容は「物書き」ではなく
「営業」に近い。 つまり、「著者にアプローチ」して
「ツナガリ」をつくり、「執筆してもらうこと」が仕事
である。
今回の応募要件である「紹介状をもらう」というのは、
この編集の仕事とまったく同じなわけだ。 ぶっちゃけ、
「なんとしてでもコネを作れる人間は使える」
と判断しているということであり、すでに応募段階で
入社試験は始まっているといえるだろう。
【賛成の理由】
具体的には3点ある。
(1)採用基準として合理的である
(2)入社後にも期待できる
(3)宣伝効果が高い
順番にみていこう。
(1)採用基準として合理的である
上記「問題ない理由」のとおり、応募時点でかなり選考が
できてしまう。 しかも、そのために必要な力は仕事に
直結する。 これは非常に効率がいいやり方だ。
同社は例年数人の採用に対し、1,000人以上が応募する。
これは書類選考だけでも骨が折れるレベルだ。
だが中には「なんとなく」「有名だから」みたいな理由で
応募する者もいるだろう。
このようなハードルを設けることで、本当に意欲的な
応募者に絞られ、選考がスムースに進む効果があるといえる。
(2)入社後にも期待できる
入社後、ミスマッチ等で辞める人は少なくなる可能性が高い。
「第三者が紹介する」という時点で、仲介者のフィルターが
かかることになる。 仲介する人自身の信用に関わるから、
「中途半端な人は紹介できない」、ということになるだろう。
また、無事フィルターを通過して入社したとしても、仲介者
への義理といった心情もともない、「中途半端な仕事を
しなくなる」「おいそれとは辞めなくなる」といった効果も
期待できるかもしれない。
(3)宣伝効果が高い
ご存じのとおり、これだけ話題になっているのだ。
ナビサイトで高いカネをかけて告知するより、このように
マスコミ、口コミで広がるほうがよほど効果的だろう。
もちろん、今回の件で同社は広告費を払っていないわけだ
から。 じつにうまいやり方だ。
コネについて条件反射的に拒否反応を示す前に、
「なぜコネ採用が合理的なのか」
「なぜあえて公表するのか」
といったウラを考えてみよう。
あと、これで成功事例となれば、正直にコネだと言って
こなかった他の会社」が炙り出されてくることに
なるだろう。それもこれからの楽しみの一つだ。
他の「クローズドなコネ採用をやっている」会社よ、
正直になったほうがラクだぞ。












