日食なつこブログ

日食なつこオフィシャルブログ



「瞼瞼(まぶたまぶた)」
2014.08.20 RELEASE
LDQF-10001/ 1,800円 (tax out)

23 歳の SSW・日食なつこが ドラマー対決の末に生み出したニュー・ピース。
未知なる大海へと流れいずる、 岩をかむ急流の如きロック!!




テーマ:

 

 


11月29日、夜。
私は渋谷の雑居ビルで餃子屋のショーウィンドウを眺めていた。
ここのメンマが美味しいよ、と何故か餃子でなくメンマを激推しして夕飯に誘ってくださったある女性を待っているのである。
濁流のような帰宅ラッシュの波をさかのぼり、その人はやってきた。
「ごめんなさい遅くなって!お灸してきたばっかりでちょっとモグサ臭いかも!」
シュールなセリフと共に息を弾ませて飛び込んできたその人は、私が少し見上げてしまうくらい背が高い(私は166cmあるのでこの体験は結構レア)。
コートから覗くセーターはステージでぎらつくあのレスポールと同じ、赤。

 

黒木渚、強烈な感性をぶちかまし続ける表現者。
敬愛する先輩と、予測不能な夕食会の始まりである。

 

 

 

▼香ばしい明日が香る

 

 

 

窓際に2人並ぶ形で着座。
テーブルには早くも餃子の山盛り(メニュー名「餃子の大合唱」)と噂のメンマが到着していた。
「いつもは打ち上げの二次会で来るから記憶がほぼないんだよねー」
笑いながら餃子の皿を持ち上げる渚さんの右手首がか細すぎて折れそうである。
「渚さん、手細すぎですよ。どういうことですか。大丈夫ですか」
思わず口をついて出た私の謎発言に「あはは」と声をあげて笑って下さった。尊い。

 

オフなモードの渚さんは、一見すると今時のお洒落で美人な女性である。
その正体が個性に満ちた歌手であり小説家であるということは、このこなれた容姿からはなかなか見破れそうにない。
どうにかしてこの人の秘密を会話の端から引っ張り出してみたい私は、熱燗をすすりながらあらゆる角度からその糸口をこっそり探してみた。

 

①所持品・服装

 

渚さんの作品は「情念」「修羅場」といった結構どろどろした世界をさらっと描いていることがある。その片鱗は日常生活にも表れているのではないだろうか?と私は考えた。
例えばめっちゃ奇抜な服装だったり、ものすごい個性的なアクセサリーぶら下げてたり…。
横目で大先輩を舐めまわすように眺めて探る。(明らかバレてる)。

 

しかし想像とは裏腹、実際の渚さんはきれいな赤いセーターにゆる~いワイドパンツ、昨今流行りのオシャンな服装だった。
細い指には華奢なリングが二つ三つ。こちらも奇抜要素は無し。

最初の予測は、外れた。

 

②お喋り

 

アーティストの中には普段自分が言えないことを作品に還元して炸裂させるタイプがいる。私がそれだ。
渚さんの楽曲から少なからず自分と似た匂いを感じていた私は、もしやこの方、自分と同じ喋るのがあんまり得意じゃない方の人間なのではないか?と推測した。
ちなみに私のコミュ障度数は「アパートの鍵を紛失したので新しい鍵を作って下さい」というだけの内容を電話で管理会社に伝えるのに10分かかるレベルである。
では餃子屋での実際のやりとりを見てみよう。

 

「日食さん、あんまり外食しないんですか?何でも好きなの頼んでいいんですよ(^^)そういえばワンマンの時の差し入れありがとうございました。いやいや!面倒な物だなんてとんでもないです。実はね、今日そのお礼を持ってきたんだけど…あ、店員さんすみません!ドリンク同じもの頂けますか?」

 

めっっっちゃ流暢か。

 

聞けば弟(妹?←記憶曖昧)さんがいらっしゃって実はけっこう世話好きで姉御肌とのこと。

一瞬でもコミュ障仲間かもと思った己(末っ子)を激しく恥じる。

 

ということでこちらも予測は外れ。
 

 

 

次なる糸口を探ろうとして、やめた。
探れども探れども全く底が見えてこない渚さんの隣で、私はふと半年前のことを思い出していた。

 

――――

6月。黒木渚、国際フォーラムワンマン。
その巨大なステージで、そこすら狭しと言わんばかりに駆け回り、叫び倒し、不敵に笑い続けるその人を、遠い遠い座席から私は眼球から照射レーザーでも出せそうなほど見つめていた。
目まぐるしく展開していく舞台。一瞬たりとも笑みを絶やさぬ彼女。
(この人の底知らずの表現力は一体どこから来るのだろう?)

あの夜も私は全く同じことを考えていた。

そして既にあの夜、一度答えは出ていたのだ。

 

分からない…。

どうあがいても、私はこの人の感性には敵わない…。

 

ライブが進めば進むほどそれが分かった。
それが死ぬほど悔しくて、だけど何よりでかいステージで舞い続ける渚さんはどれだけ眺めても観飽きなくて、このまま閉演時刻が来なければいいと願うほど美しかった。
思い出した。あれは確かに、心の全部を奪われた夜だった。

――――

 

あの刃物みたいな笑みと、今隣で同じ皿の餃子をつついて笑っているごくごく普通な姿。
どちらの姿もきっと本人は”作っていない”わりと自然な状態なのだろう。
つまりこの人、探れば探るほど相手をその魅力の中にガンガン引きずりこんでしまう人なのだ。

 

自分が野暮な試みをしていたことに、私はこの時になってようやく気が付いた。

私なんぞが秘密を暴けるような相手では、この人は到底なかったのだ。

 

「あの」

 

お猪口を煽って、白状した。

 

「渚さんのことを知りたくていろいろ探ろうと思ったんですけど、底が見えなくてすごいです。私全然薄くてなんかめっちゃ恥ずかしいですね。でももっといろいろ話が聴きたいです。…餃子、もう一皿食べませんか」

 

渚さんはやっぱり笑った。
尊い。

 

――――――

 

このあと相変わらず昔オカマバーに行ったとか最近地蔵の群れを取材に行ったとか無限に繰り出されるヤバい話に圧倒されつつ、私も拙い秘蔵話を引っ張り出して応戦したりしているうちに、気づけばあっというまにお開きの時間となっていた。

結局この人の秘密を暴くどころか、逆にその生きざまに清々しいくらい丸呑みにされてしまった。

帰路はそれぞれ別の路線だったので店を出てすぐに解散。
別れ際に渚さんから「近いうちにまたすぐ会おう」と神託を賜る。マジか。心の中で天に両腕を突き上げる。

 

飄々と笑いながら手を振って人ごみに消えていくその姿を、今年一番大事に覚えておこうと思った。
そして次に会うまでに、少しでも自分の色を濃ゆくして再会に臨もうと静かに心に決めた。

 

晩秋の渋谷の一夜であった。

 

 

 

 

 

 

そうそう。
最後になったけどこの話を読んで自分も憧れの先輩とご飯が食べたくなった人がいた場合に忠告をひとつ。
こういう時、絶対に絶っっっ対に飲み過ぎてはいけないよ。
酒は感情を肥大させる。
例えば仮に会話が盛り上がっている最中にテーブル脇にミニGが現れたりした場合、私なんかはGへの嫌悪感と、G風情が渚さんに近づくなという憤慨と、Gから渚さんを守らねばという謎の使命感が同時に昂ぶって、

 

おしぼりを振りかざしてその人の目の前でGをひ ね り つ ぶ す

 

っていう人生最大の黒歴史を克明に刻むことになったからね。

 

あそこだけ消したい。忘れたくない夜だけどあの部分だけは本気で消し去りたい。

渚さん声上げて爆笑してたけど多分悲鳴の代わりだったんだろうな…
本当にすみませんでした…

 

 

 

そんな悲劇にも拘わらずまた会おうと言ってくださった渚さんはめちゃめちゃ良い人というお話でした。

渚さん、ディープな夜をありがとうございました。

 

 

以上。

 

 

 

 

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