安彦良和のアジア近代史三部作

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中学1年生のときにジャンプ断ちしてから、割と最近まで漫画を読む習慣は無かったのですが、今はそれなりに嗜んでいます。
 
といっても、読むのは主に歴史モノとグルメ系です…。
 
 
今日ご紹介するのは最近一気読みした漫画。
 
「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」の作者としても知られる(といっても、読んだことはありませんが)安彦良和氏によるアジア近代史三部作です。
 
(一般的には「現代史」と紹介されているようなのですが、扱われている題材は明治中期から昭和初期までですので、「現代史」と呼ぶのには抵抗があります)
 
いずれの作品も主人公は架空の人物です(と思います)が、アジア近代史の主要プレイヤーがふんだんに実名で登場し、時代の「空気感」といったものが感じられる内容となっていますので、近代史に興味のある人ならきっと楽しめると思います。
 
それでは、以下、時代順にご紹介。
 
 
 
まずは、王道の狗。
 
時代設定は、自由民権運動の挫折の後、日清戦争のころまで。
金玉均と陸奥宗光の存在感が他を圧倒しているものの、福澤諭吉、勝海舟、伊藤博文、田中正造、李鴻章などといった人たちが登場します。金玉均と陸奥宗光については、もっと色々と勉強してみたいと思いました。
クライマックスでの主人公と陸奥宗光との国の政策をめぐる「論争」は読み応えがあります。
とりあえず、「蹇蹇録」でも読んでみましょうかね。
 
 
 
次に、天の血脈。
 
時代設定は日露戦争の前後ですが、古代と行ったり来たり。
メインテーマは応神天皇の出自ですが、近代日本の大陸進出と神功皇后の三韓征伐とが絡み合いながら話が展開していく構成になっています。
登場人物の中の有名どころは、伊藤博文、明石元二郎、孫文、張作霖、内村鑑三、大杉栄あたり。白鳥庫吉や津田左右吉といった面々も。
作中の存在感だけで言うと、第一は圧倒的に黒龍会の内田良平。頭山満も少し登場します。
 
 
 
 
 
時代設定は、ノモンハン事件のころの満州国。
主人公は日蒙のハーフで、非日本人視点から見た満州が描かれています。
存在感のある登場人物の中で有名どころは、辻政信、石原莞爾、甘粕正彦、川島芳子あたり。東条英機、岸信介、松岡洋右なんかも登場します。
とにかく辻政信のキャラ設定にパンチが効いていて(実際にこんな人だったのかもしれない)、「潜行三千里」でも読んでみようかという気になります。
もちろん、これまであまりよく知らなかったトロツキーにも俄然興味が湧いてきました。
 
 
 
作者の思想については色々なご意見があろうかと思います(たぶん私とは違うと思います)が、作者の思想が自分と異なるからと言って避けるのは実に非生産的なことです。
 
むしろ自分と異なる考え方をしている人の作品に触れることにこそ意味があるのではないでしょうか。
(佐藤優氏が「嫌韓本、反中本の類いは読めば読むほどバカになる」と言っていたのを、ふと思い出しました)
 
 
三編を通読した総括的な感想として、日本を含めたアジアの近代史をちゃんと知るためには、「アジア主義」という思想あるいは運動について勉強する必要があると感じました。
 
 
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