・ポジティブシンキング①

おばあが雑誌を読んでいます。

おばあ「ほう、ほう。ほーうほうほうほーうほう」

おじい「ったく、おめえは。なんでそう、なんかを

読むってえと、フクロウみてえになるんかなあ」

おばあが雑誌から顔を上げます。

おばあ「ほう? いやあ、お父さん。この本いいこと

書いてありますよ」

おじい「いいこと? なに?」

おばあ「はあなんでも人間、暗いのはダメだと」

おじい「そりゃそうだろ」

おばあ「はあどんなことでも明るく考えたほうが

うまくいくんだと。人呼んで、ポヂチブ・

チン・キングだと!」

おじい「ポジティブシンキング、だろ」

訂正しました。


~Thank you for reading.~

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・ミドルネーム④完

おばあは発作的にミドルネームを欲しがっています。

先ずはおじいで名づけの練習をしました。

おじい「ったく、『コミヤ=シゲオ=オジイ』、だって。

バカにしてらあ」

おばあ「別に、バカにはしてねえや」

おじい「いいや、してるね。じゃあ、おめえは

アレだな。『コミヤ=ウメコ=オバア』だな」

おばあ「いや、ちがうね。私ははあ、『コミヤ=

パトリシア=トリナンコツ=ヌレセンベエ=

ビューリホー=ワンダホー=エキセントリック……」

おじい「……長げえな」

おばあ「……スパイス=ガールズ=デワナクテ=

キャメロン=ディアス=ウメコ、だな! どうだ?」

おじい「どうだ、じゃねえよ。なんだその、

『コミヤ=パトリシア=トリナンコツ=

ヌレセンベエ=ビューリホー=ワンダホー=

エキセントリック=スパイス=ガールズ=

デワナクテ=キャメロン=ディアス=ウメコ、

なーんて長ったらしいのはよ!」

おばあ「……………………」

復唱しました。


~Thank you for reading.~

・ミドルネーム③

おばあは発作的にミドルネームを欲しがっています。

おばあ「はあどんなんがいいかなあ。お父さんで

練習しよう」

おじい「はあ? 勝手に、人の名前、イジるなや」

おばあ「うーん……小宮……茂男だから……」

おじい「……ぜんぜん、聞いてねえし」

おばあ「うーんそうだなあ……。……じゃあ、

コミヤ=シゲオ=オジイでどうだ?」

おじい「……それだと、シゲオがミドルネーム

じゃねえか」

そういう問題でもありません。


~Thank you for reading.~

・ミドルネーム②

おばあはミドルネームを欲しがっています。

おばあ「はあどんなミドルネームにしようかなあ」

おじい「どんなの、って。勝手に決めて、いいんかや」

おばあ「はあそんなん私の勝手でしょーが! 別に

役所へ届けるわけでもねえ、ただ表札に

書いたり、初対面でそう名乗ったりするだけさ!」

おじい「……書くな! そして……名乗るな!」

両方ツブすおじいです。


~Thank you for reading.~

・ミドルネーム①

おばあが外国のドキュメンタリー番組を見ています。

おばあ「はあ、なるほどなあ。あっちの国は、

ミドルネームがあんのか」

おじい「ミドルネーム?」

おばあ「アレだ、アレ。あのー、苗字と名前の間に、

もう一個、入るやつさ」

おじい「苗字と、名前の間? 羽柴藤吉朗秀吉とか、

織田上総介信長とかか?」

おばあ「???」

戦国しました。


~Thank you for reading.~

・野菜炒め

おばあがおじいを呼びました。

おばあ「お父さ~ん。今夜なんか食いてえもん、

ある~?」

おじい「んん? じゃあ、野菜炒め」

おばあ「野菜炒め、か。ふうん」

おじい「ウインナーでも入れてくれ」

おばあ「ウインナーね、はい」

やがて、夕飯ができました。

おばあ「はあできたで。食うだ」

おじい「ん、ああ。……あれっ?」

おばあ「え? なに?」

おじい「この野菜炒め、ウインナー、入れたか?」

おばあ「もちろん! 入れたさ!」

おじい「そうか? ぱっと見、見当たらねえけど……」

おばあ「はあそりゃそうだろな。作っている途中で、

ウインナー、ぜんぶつまみ食いしちまったもの」

おじい「……………………」

ひどい言い草です。


~Thank you for reading.~

・お好みソース

今夜はお好み焼きです。

おばあ「はあ焼けたから、バックバク食うだ!」

おじい「いや、落ち着いて食えや。そういや、マヨネーズ

とか青海苔とか、けずりぶしとか出てねえぞ」

おばあ「そりゃそうさ。だって、買って来てねえもの」

おじい「はあ? 買って来てねえって、じゃあ、

ソースしかねえんか」

おばあ「そうさあ!」

おじい「なんで!」

おばあ「はあだって、コレを見よ!」

おばあは自信たっぷりに、お好みソースを食卓に

置きます。

おじい「??? ふつうの、ソースじゃねえか」

おばあ「はあちがうね! このソースのパッケージの袋、

見ろ!」

おじい「……お好み焼きの、写真だな」

おばあ「だろ? しかもお好みソースだで!」

おじい「……だから?」

おばあ「はあ要するにこれ一本で、マヨネーズも

青海苔もカツブシも、ぜんぶ代用できるって

すんぽーさー!」

おじい「……んなわけ、ねえだろ!」

おばあ「……えっ、ウソ?」

おじい「ウソじゃねえよ! ソースはソースだもの、

なんでマヨネーズと青海苔とけずりぶしが

いらなくなるん!」

おばあ「あっ……そう」

おじい「そうさあ!」

おばあ「チッ……じゃあこんな写真、ソースの袋に

使うなや!」

おじい「いや、普通気づくだんべや!」

おばあ「なにいっ!? じゃあ、私が普通じゃねえって

ことかや!」

おじい「それはっ………………」

おばあ(…………黙った!?)

――ジュ~……ジュジュ~……

お好み焼きが焼けています。


~Thank you for reading.~

・不思議サラダ③完

さて夜中です。

おじいがごそごそ起き出しました。

おじい「……………………」

懐中電灯をつけ、台所へと向かいます。ゴミ箱を

あさり、サラダのラッピングをつまみあげました。

サラダ『カニ風カマボコサラダ』

おじい「……ほれ、見ろ。なにが、カニ風カマボコ風

サラダ、だ。やっぱり、カニ風カマボコサラダ

じゃねえか……」

小声でぼそぼそ言い、ラッピングをゴミ箱に

捨て、寝室へもどろうと振り向きますと。

おじい「……うわっ」

おばあ「……………………(ニヤリッ)」

おじい「……………………!」

見られていました。


~Thank you for reading.~