しかし暑い星だ、こんな気温と湿度のなかでこの星の生命は活動しているのだろうか? 正気の沙汰ではない、我が星にはこのような季節はない、生命維持さえ厳しいだろう、この星のサルから進化した生命体は外気温に対する特殊な耐性でも有しているのだろうか。あるいは機能を維持するための基礎体温が高いのだろうか……。
ペンギン星からやってきたペンギン星人はぶつくさと地球の気温にケチをつけながら街をゆく、海に面した美しい街並みだった、平日の日中だからか、ひとけは少ない。
押し車に体重をあずけるように、老婦人が腰を曲げて横切ってゆく。
どこかから正午を告げるサイレンが届く。
見慣れない風景にペンギン星人はひとの気配や音にいちいち驚く。
……あの低姿勢による歩行は太陽からの直射を遮るための行為だろうか。
……あの騒音はなんだろう? なんの警告だろうか……。
サルから進化したような野蛮なる生命が巣食う星だ、いくら注意し過ぎても足りなくはないだろう、ペンギンに似た他星人はそう思う。
同時に彼は自身の体の異変にも気づいていた。活動の持続に必要なエネルギーが不足していると腹部が異音をもって訴える。
つまり、ペンギン星人は空腹なのだった。
危険だ、早急に魚を摂取しないと……しかし、この星の生命はどのように食糧を得ているのだ? 狩猟にゆくのだろうか。
うむ、かくなるうえは自らのこの愛らしい外見を利用して地球人を手なずけるのが得策だろう、この星で進化を遂げることなく虐げられたペンギンのふりをするのだ、地球人を懐柔するにはそれが最もラクな手段なはずだ、地球人を探そう……。
<着地点を見出だせぬまま続く……>
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⇒ペンギン星人の来襲。
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⇒左の心臓、熱源に -JACKPOT REMIX-
⇒ロックンロール・ギター
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