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2006-09-26 11:48:09

江青に妬まれた女 

テーマ:中国
譚 〓美
江青に妬まれた女―ファーストレディ王光美の人生

王光美の伝記なんだけど、何だか中国で山と出てるネタ本から拾い集めたという感は否めない。一応、本人にも会っているらしいが、王光美ももうだいぶボケが来てるらしく、まともな取材とはいかなかった様子。ただ、やはり著者が畏敬してしまっていて、お決まりの聖人君子仕立ての枠からは出ていない。当時の延安において52歳の党幹部と26歳の通訳の結婚が何を意味するのかはもっと掘り下げてみるべきだが、その辺は察してくれということなのだろうか。大躍進や文革についてはかなり自由に書いているのだが、それ以前のタブーは革命を否定することになってしまうので難しいところなのだろう。収穫としては、あのピンポン玉批判大会の詳細が分かったこと。何でもビデオが残っているそうで、著者は北京の放送局でそれを視たという。うらやましい。この本のメインとなるべき箇所なのだが、なぜか写真は掲載されていない。私は紅衛兵に連行されるピンポン玉ネックレスとサイケサングラス姿の王光美を捉えた写真を初めて見た時、何とも言えない衝撃を覚えたのだが、同時にそのキッチュさに惹かれてしまった事を白状しよう。中韓の青年や日本の「進歩派」の人たちはよく小泉に犬の格好をさせているので、「日本革命」が万が一成功したら、安倍とかも一緒に着ぐるみで批判大会にかけられるかもしれない。そして、「反革命」が起きたら、野中とか加藤なんかは人民服姿にされるだろうし、谷垣はチャイナドレスのダッチワイフを抱かされるかもしれない。そんな人民裁判がこの国で拝める可能性はほとんどないが、ああいう熱狂の渦に身を置いてみたいという願望は、どれだけ文革の悲惨さを聞かされても消し去ることができない。結局、戦争のメカニズムもそういうところから来てるのだろう。やはり人間とは困った生き物である。
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2006-09-25 11:58:10

北朝鮮 行ってみたらこうなった。 

テーマ:北朝鮮
のなか あき子
北朝鮮行ってみたらこうなった。
新婚旅行で北朝鮮というのは思い出作りという点では悪くはないと思うのだが、子作りの点では、「そんな気にはなれなかった」とのこと。たしかに盗聴器やら、隠しカメラなんかがありそうな羊角島ホテルではそんな気にならなかったかも知らんけど、かりしも新婚旅行で「何もしなかった」ということはないだろう。ツイン(シングルベッド×2)だから、ダメというのも変だが、停電中は何をしてたんかいな。しかし、この北朝鮮ツアーというのは、北マニアのリピーターで占められることは有名で、半ば北グッズ収集ツアーと化しているらしいが、北朝鮮で出来たこどもというのは北マニア界では相当得点が高いのではないか。そんな北ツアーは、もはや珍しくもなんともないので、腐るほどある旅行記では、どれだけ単独潜入を果たしたかが、評価のポイントとなるのだけど、この著者は最初っからそんな気はこれっぽちもないので、面白くもなんともない。そのクセ、金剛山ツアーに参加して、北朝鮮のファミリーマートに「Gダイヤリー」を置いてくるなんて使命をも果たしているので、よく分からん。Gダイの方は企画ものだが連載もあるというが、それなら逆ナンした北兵士と一戦交えるくらまでの覚悟があっても良かろうに。私もかつて中国で北朝鮮の留学生に「週刊ポスト」とかエロ時代の「宝島」なんかを差し入れしていたものだが、あれはあれで何かの役にたったのであろう。さすがにGダイが将軍様の手もとまで届くことはなかろうが、日本のAVファンという将軍様もGダイ見たらぶっとぶんじゃないか。意外とバンコクにも姿を現すという正男が愛読してるかもしれないけど。
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2006-09-25 11:56:50

フィリピンー日本 国際結婚 

テーマ:フィリピン
佐竹 眞明, メアリー・アンジェリン ダアノイ, Mary Angeline Da‐anoy
フィリピン‐日本国際結婚―移住と多文化共生
共著の二人は夫婦で、共に四国の大学の先生らしい。横書きの論文形式なので、過去論文まとめ本かなんかかと思ったが、めこんの依頼原稿とのこと。日比カップルといっても、さすがに著者の様なタイプは少数派らしく、研究対象はいきおい「旧じゃぱゆき」(OPA)と地方の「パブ」で知り合った中年男性カップルと、「見合いツアー」の農村男性が大勢を占める。そうしたインフォーマント60組分を双方の最終学歴付きでずらっと表にしてるのはスゴい。こうした本は何かしらの傾向を明らかにしなくてはならないのは分かるが、妻(フィリピン人)側は定石通りステレオタイプを激しく批判されるのに対し、夫(日本人)側が全く類型的なのはどうだろうか。ただ、人の結婚をとやかく言うつもりはないが、たしかに、そこまでして結婚したいかという感じがしないでもない。アカデミックの基準では女性は保護する対象だが、男性は批判する対象というのがセオリーなので、著者もその雛形に依ているが、結婚は愛ではなく打算であるという事実に抵抗を感じ、見下している様にも思える。とは言っても、日比カップルの離婚率が取り立てて高い訳ではないらしい。これはカトリックと関係あるのかとも思ったが、「国際結婚」全体の離婚率は日本人同士よりも低いのだとか。それは知らんかった、離婚が必然かと思ってた日本夫と中国妻は日本人同士よりかなり離婚率が低いらしい。そうなるとやっぱ下手な愛があるだけ、離婚のリスクが高まるという仮説が証明されてしまう。いい年したオジオバが「愛してるよ」だの毎日言い合っているのも気色悪いが、西洋の離婚率の高さもそういうことじゃないのか?まあ当然そんなコアな事にはもちろん触れず、お決まりの多文化共生バンザイで締めくくっている。
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2006-09-25 11:55:15

大丈夫か、日台関係

テーマ:台湾
内田 勝久
大丈夫か、日台関係
これも大使退官記念もの。産経だし、副題も「『台湾大使』の本音録」ということで、大体の傾向が分かると思うが、辞めてから言ってもしゃあないだろという感じは否めない。本人は「台北郵便局長」と自嘲(ならば台北郵便局長に失礼な話だ)しながらも、チャイナスクールが支配する外務省と戦ってきたつもりなんだろうが、ただの言い訳に過ぎない気もする。その辺は宮仕えの悲しい性なのだが、何でもってこのポストまで外務省の大使序列ポストから出さなくてはならないのかは疑問に思う。一応、外務省は退官させられるらしいけど、やっぱ「民間」の大物クラスを送り込むべきだろう(石原とか物騒なのは困るけど)。まあ準外交関係ということだから、外務省から出すんだという話なら分からなくもないが、中文を全く解さない英語屋さんというのはどうか。最近は中国大使も中国課以外から出る様になってきているが、駐日台湾大使が日本語を使えること(それもほとんどネイティブと変わんない)は暗黙の了解事項になっていることを思えばなんともバランスが悪い。大陸が王毅を出してきたのも、台湾と対抗する講演対策という感じもする。それにしても、かつての台北研修組は加藤某とか浅井某みたいな中共の狗しか残っていないのだろうか。その点、この著者は威勢はいいのだけど、やっぱり「台北郵便局長」の枠は出ていない気がする。その反省も込めての出版ということなのだろうが、本音と言いながら肝心なことは何も書いていない大使ものはやっぱりツマランな。

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2006-09-25 11:52:10

黄砂 その謎を追う 

テーマ:中国
岩坂 泰信
黄砂―その謎を追う
ここで理系の本を取り上げるのは珍しい(というか初めてか?)んだけど、それと言うのも、ご察しの通り、私の理系知識が小学生並みというという事由からである。中高でも理系の授業があったはずだが、その頃から読書の「内職」をしていたという記憶しかない。てな訳で、私の足りないオツムに謝罪と賠償を兼ねて、これから30年くらいかけて、6年分くらいの知識は埋め合わせて行こうと思う。その第一歩としてこの本を読んでみた。著者は黄砂研究の大家であるらしいが、これは初心者向け優しい記述。黄砂そのもののメカニズムよりも、黄砂研究における奮闘がメインに描かれており、休憩「コラム」を入れるのも若葉本の定石通り。「黄砂」というと私の様な人間は中国の「歴史カード」に対抗する日本の「環境協力カード」の試金石になるものと、すぐヨコシマなことを連想してしまうのだが、現場の第一線で働いている先生はそんな政治的なことには全く関心がなく(というか関心を持たないのが研究者の使命か)、中国での「共同研究」が楽しくて仕方がない様子。宴席、食事の席での愉快な出来事なんかが多いんだけど、これもまあ中国式の平和攻勢だね。季さんをリーさんとか書いちゃってるのもよくある日本人の勘違いか。そういえば、あの毛利さんも中国の有人宇宙飛行成功を祝福して、「研究者仲間」としての連帯を強調していたけど、やはりそんな純な心が理系人間には不可欠なのかもしれない。ということで、私は永遠に理系人間にはなれないことが確定した。
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2006-09-07 22:10:27

告白 

テーマ:北朝鮮
チャールズ・R・ジェンキンス, 伊藤 真
告白
こんな本が出ていたことはすっかり忘れていたのだけど、図書館で眼についてしまったので、とりあえず読まなくてはならない。この版権には相当争奪戦があったらしいけど、現在は佐渡金山職員としてシルバー人生を謳歌しているらしいから、その辺はそっとしといてあげよう。まあネタがネタだけあるから、角川も相当力いれた様で、ゴーストも上物っぽい。しかし、英語と日本語どっちにゴーストがついたのだろうか。私も脱北もの読破に関しては決して和田春樹先生に引けをとらないと思うが、北の場合、いずれにしてもあの政権が倒れない限り、真相は薮の中みたいなところがあるから、こうした打ち出の小槌はどんどん出してほしい。曽我さん本人や蓮池さん地村さんがこうした本を出せないのは、情報戦ということで間違いないとは思うけど、この本を読むと、平壌を知る外国人は結構いた様なので、どっかこの分野を開拓してくれないかな。囚われの身の特権階級というのは実に興味深いものだ。中でも、独身男性はオンナ無しでは生活できないと北が認識しているところは注目したい。拉致問題も究極はそこに繋がってるのだが、このオッサンを始め、米軍脱走兵たちに、ちゃんと、「子供の出来ない北朝鮮女性」を性のパートナーとしてあてがったという。これぞ「従軍慰安婦」的発想としか言えないが、戦前の日本でも家政婦が文字通り「身の廻り全て」を世話するというのは暗黙の了解があったという話は聞いたことがある。如何にも大日本帝国を究極のモデルとする北の考えそうなことだが、抑圧社会に生きる者にとっては、性の捌け口がないというのは危険な状態であろうし、その辺りはフェミニズムと折り合いをつけていかなくてはならない問題であろう。まあ「朝鮮女性同盟」がどうわめこうと、「先軍政治」において女性は道具以下の存在であることは間違いない。当然このオッサンもその恩恵は受けているはずだが、ひとみさんを初めて見た時、こんな綺麗な女性がこの世にいたのかと心臓が止まりそうだったとのこと。まあ「捌け口」がありゃ良いってもんでもなく、次は「愛」を求める様になるということでしょう。てな感じで、わりと楽しめた本だったが、いつの日か、美花さんとかブリンダさんの「囚われの国の思い出」を読んでみたい。父親がアメリカ人、母親が日本人の少女が北朝鮮で生きるということはどういうことなのか。何でも長女の美花さんは強固な体制支持派だったという。外の世界を知り、あっという間に転向したらしいが、そろそろその日々を振り返っている時期ではなかろうか。
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2006-09-07 22:02:16

紅い桜

テーマ:中国
斎藤 淑, 鈴木 俊之, 鬼塚 忠
紅い桜
副題が「文化大革命に引き裂かれた家族の愛の物語」なのだが、著者の斎藤さんのクレジットは「語り」。聞き手としてクレジットされているのが鬼塚忠ということで、例のノンフィクション製造エージェントが絡んだ本。文革期の日本人が迫害を受けたことは「公式」にはまだタブーなのだけど、この主人公の場合、残留孤児でも残留夫人でもない、戦後渡航の「日本人妻」だから、党にも儒教にも縛られていない。となると、残る枷は元留学生のダンナということになるが、これも若い女を連れ込んだりと、いろいろ家庭内ゴタゴタがあった様で、何の義理もナシといったところ。この辺も他者の非道は強調し、身内の臭いものにはフタというのが多いこの手の悲劇の主人公ものにしては珍しい展開だ。ただ、この人の場合、元々、中国革命幻想があって、ダンナと知り合ったのも自分が「新中国」に行きたかったから、というところが大きかった様だ。そのために日本で勉強を続けたかったダンナをけしかけて、「帰国」してしまったんだから、自業自得という点も無いわけではない。ついでに奈良の外国語専門学校の卒論はダンナに書かせてしまったとか。ちなみに二人が新婚生活を送ったのはあの京都の光華寮。で、後に二十数年ぶりに日本に帰国できた時、親戚や法務省の人間からも、「自分の意志でしたこと」を詰られたりするのだが、あっさりその通りですと反省してしまうのは面白い。少なくとも北の「日本人妻」よりはまだ自覚的ではあるのだが、中国と北ではやはり同じ日本人妻でも次元が違う話になってしまう。メインの文革時の悲惨話は、想像を超える範囲ではないのだが、「家族の愛」が本当に文化大革命で引き裂かれたのかどうかはなんとも言えない。監獄から帰ってきたダンナと息子が九年間も口をきかなかったとか、「感動」であるはずの家族の再会物語がなかったというのは、結構現実的でよい。「家族の愛」なんざ幻想に過ぎないのだが、地獄の日々を生き抜くには幻想が必要だ。しかし、幻想に依存し過ぎると、平穏を取り戻した時に幻想と現実の折り合いをつけることが困難になってしまう気がする。
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2006-09-05 22:40:09

インドネシア イスラームの覚醒

テーマ:インドネシア
倉沢 愛子
インドネシア イスラームの覚醒
この愛子先生は専門である「大東亜共栄圏」時代のインドネシア論は硬。自らが生活した現代インドネシア社会論は軟。と著作を使い分けている感があるが、これは現代も現代、同時代の話なので、その軟ぶりに拍車がかかっている。とにかくみなさん、インドネシアの社会、特に庶民の暮らしぶりを知って下さい。といった感じで、自分はイスラームの専門家ではないんだけどと謙遜しながらも、一生懸命インドネシア人の文化の核となるイスラームの日常を紹介している。インドネシアにおけるハッジの実態などは興味深く、他の国はどうなっているのかは分からぬが、様々なバリエーションがあることには感心させられる。チャーター機一機分の乗客が最初から最後まで行動を共にするとか、金はあるけど時間がないビジネスマン向けに短期間で効率良く廻れる高級バージョンがあったりと、旅行代理店も絡んだ巡礼の裏側事情は面白い。また、単純にイスラームは本来平和の宗教でノ.といった、教条的な啓蒙とは一線を画していて、JIなんかにも相当、突っ込んだ解説をしている。これはおそらく、著者が偏愛するインドネシア庶民の噂話や、雑誌(有名なテンポとか)でも盛んに話題になっていることを反映したものであろう。ただ、話題がイスラーム一辺倒かといえば、そうでもなくて、最近の社会事情ネタも多く散りばめられている。興味深いのはローニンという言葉が現代インドネシア語として使われているということで、これは現代日本語の浪人と同じ意味だという。それだけインドネシアも学歴社会になったかということはさておき、ニンジャに続きローニンというのも感慨深いものがある。かつて「進歩派」の人たちが盛んに宣伝していたのが「ロームシャ」という言葉がインドネシア語になっている。日本は戦時中の「強制連行」を謝罪せよということだったので、私もバリバリの左翼少年時代、初めてインドネシアに行った時、意気軒昂に日本は「ロームシャ」に悪いことをしたとか言ったら、そんな言葉は知らんと、あっさり言われてしまったことを思い出した。どうもたしかに辞書には載っているが、どういう意味かよく知らないというのが実情の様だ。少なくとも若者にとってはロームシャよりローニンの方が身近であることは間違いなさそうだ。
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2006-09-05 22:38:48

台湾事始め 

テーマ:台湾
亜洲奈 みづほ
台湾事始め―ゆとりのくにのキーワード
キーワードに解説文という「知るためのシリーズ」の劣化コピーみたいな本だが、「知るための」台湾編もこの著者だから、残り物で一冊仕上げましたといったところ。台湾観光協会が絡んでいるらしいが、とにかく機内誌の紀行文みたいな無味乾燥な内容。もちろん政治的なものは一切省略しており、阿妹の章では、阿扁総統就任式国家斉唱を書きながら、その後起こったゴタゴタには触れず、大陸と台湾の架け橋であるなんて書いている。また、ビビアンはタイヤルとしているが、平埔という説もあるがどうなんだろう。ただ、全体的にこの著者は漢民族至上主義の傾向があって、大陸留学組かとも思ったが、どうも、ところどころに顔を出す「彼氏」の存在が大きく影響していると察しられる。意識したのか、結果としてそうなったのか分からぬが、彼氏に喜んでもらう為に書いたということなんだろう。それ自体は執筆のモチベーションとしてはよくある話なので、別に悪くはないのだが、「文筆を生業としている」と言い切るなら、まだまだ甘さが残っていると言わざるおえない。ついでに嫌みを続けさせてもらうと、経歴の東大経済学部卒業というのは良いけど、そのあとの経歴部分は、「文筆業」を名乗るにはちょっと恥ずかしくないか。履歴書じゃあるまいし、こんなこと書くかなあ普通とも思うけど、この著者の本を読むと、その経歴が本人にとって名誉なことであることがよく分かる。まあ初めて台湾へ行きまーすみたいなOL二人組さんとかならいいかしれんけど、こんな無臭なことをダラダラ書いていていると、コアな「台湾ファン」からお叱りを受けてしまうんではなかろうか。最後まで余計なお世話でスンマセン。

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2006-08-28 22:05:53

ミャンマーの柳生一族 

テーマ:ミャンマー/ビルマ
高野 秀行
ミャンマーの柳生一族
早稲田探検部出身作家という点では末席にいるんだろうけど、船戸与一とか西木正明とかの小説はあまり読みたいとは思わないが、この著者の本はかなり面白い。それが純ノンフィクションなのか、「メタフィクション」なのかは分からぬが、フィクションである「国際冒険小説」はちょっとカッコ悪い気がしないでもない。そんなモノホンの「冒険派」(中国からミャンマー経由陸路カルカッタも達成)である著者が先輩の船戸与一に誘われて大名旅行を敢行したのがこの旅行記。大名が漫遊したミャンマーは江戸時代ということで、当時権力を欲しいがままにし、後に失脚したキン・ニュン一派を柳生一族に準え、スー・チーを徳川家の千姫とする。この辺にはちょっと強引さを感じるし、人によっては不快に思うかもしれないが、船戸の小説とセットで連載、初版文庫が約束された立場では、こうした迎合路線が必要だったのかもしれない。ただ、ミャンマー/ビルマにさほど思い入れがある訳ではない私は素直に面白く感じられたし、ある意味、分かりやすい事実確認であった。トレーダーズ・ホテルに泊まり、ガイド、通訳(柳生一族)にチャーターした4駆での大名旅行でも、得意の麻薬王ネタやゲリラ系ネタはキチっと入れてきてるし、トレーダーズ・ホテルは初代麻薬王が作ったものとは初めて知った。麻薬王が三代とも中国系というのは如何にもだが、表舞台(裏舞台というべきか)から降りたクンサーが悠々自適の生活というのも知らなかった。前に中国人がクンサーを「中華英雄」と持ち上げた本を読んだ時は流石に途中で放り出してしまったが、山奥で遊ぶところがないから投降したとか、軍事オタクだから最新武器を揃えたというのは、金正日じゃないけど、民族主義は私利私欲の道具と割り切っている者のスゴさを感じる。また、いつも気になる読書大国ミャンマーについても言及している。それは他に娯楽が無いからというのは当たっているかとも思うが、現実逃避という側面もあるのではなかろうか。ミャンマーで読まれるのは外国の作品が多いらしい。日本ではほとんど知る人がない武田鉄矢の映画が当たったというのはその延長線上にあるものだろう。
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