墓地の番人らしい?かなりシリアスな話の続き。


こうした感染症(この場合は小麦のですが)について、オフィシャルな情報を
日常的にチェックすることはあまり現実的ではないです。FAOや厚生労働省の
感染症速報を毎日チェックしている人なんて、あまりいない。


「あまり」いない……


もちろんWebにはそういう有益な作業をされている方もちゃんと存在します。


ProMED情報
http://promed-g.blogspot.com/
Wheat stem rust、Ug99 -イラン:初報告
http://promed-g.blogspot.com/2008/03/20080307.html


農業情報研究所
http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/index.html
新たな小麦病の世界的蔓延に警告 世界食糧危機の恐れも
http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/agrifood/agriculture/news/05091001.htm
小麦キラー・サビ病菌 アジア主要小麦生産地に迫る
http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/agrifood/disaster/08030601.htm


いずれも個人で運営されているサイトと思いますが、前者サイトはその速報性で、
後者サイトはその解説で大変有益な情報を提供してくれていますm(_ _)m


今回の小麦さび病拡大に関しても記事があります。


海外渡航の際には、こうしたサイトのログ・チェックも必要かもしれません。


さて、このUg99による小麦さび病ですが、対策はないのかしら???


2006年に既にカナダでこの小麦さび病に対する抗生物質が開発されている、との
書き込みなども検索で見付け
られますが、肝心のリリースページはリンク切れ。


ならばここで使いましょう。死者甦生!!!!!(墓地ブログだし……)


Global 'rust busters' take aim at new threat to wheat production


うーん、肝心の耐性遺伝子ないし抗生物質について、そのメカニズムや効力に
ついては詳細が書かれていないようです(細きゃーところは分かんない)。


墓地の番人に大した知識はないですが、仮にカナダ産の小麦でUg99に対して耐性を
持つ遺伝子なり抗生物質なりが発見・開発されたとしても、そもそもアフリカや
アジアの小麦で同様の効力があるかどうか
は定かではないでしょう。


小麦というのは世界各地で栽培されていますが、その品種は多く、栽培する土地
土地に合わせた改良がなされてきています。それを考えると、何か1つの特効薬で
このUg99を駆逐するのは難しいのではないでしょうか。


何より、そうした特効薬が開発されたとしても、東アフリカなど国内自給用に小麦
栽培を行っている地域では、そうした改良された小麦への切り替えや、感染から
守る新たな化学農薬などの購入は、経済的に難しいことが考えられます。


簡単に言えば、なるげくコストに上乗せすることなく品種改良を行うか、Ug99への
対抗農薬なり抗生物質を無償で(たとえば各政府が買い上げて農家には無償で)
配布するなどの措置がなされない限り、長期にわたって大きな被害を免れることは
難しいのではないか
と思います。


つまり、このUg99の問題は、世界的な食糧危機に直結し得る問題です。


だからこそ、そうした事態を避け、このUg99と小麦さび病に勝とうと思うなら、
全世界的な協力が必要になるはずです。


立てよ! 世界市民!!!?


……え~と、これはFOAの記事内にもあったノーベル賞作物科学者ノーマン・ボー
ローグ Norman Borlaug 氏
の受け売り(拡大解説)ですわ(汗)


冷やかした書き方をしましたが、これはマジに書くのが恥ずかしいくらい真剣で
深刻なメッセージ
なのだと思います。そう信じたい。


Ug99への対抗策研究に関しては、このボーローグ氏の名前を冠した機関があります。


Global Rust Initiative
http://www.globalrust.org/


最初、FOAや農業情報研究所の記事から、ずっと「BGRI」で探していたのですが、
全然見つからない……


ボーローグ博士の名前を外したのがこのサイトの正式名称なのですが、どうも
一般的には博士の名前を付けた「BGRI」で知られている様子……。


博士はすでにかなりのご高齢のはずですが、名前が外されたのは一体誰の思惑??

もちろんご本人のご謙遜からかもしれませんが……考え過ぎでしょうか。



賢明なる(そして多少スレた)Web読者ならお気付きと思います。


そうです。


このUg99と小麦さび病の問題には、ドロドロとしたものがつきまとっています。


小麦の壊滅的不作の可能性を知りながら、それを食い物にしている、食い物に
しようとしている
人間がいることは、おそらく間違いありません。陰謀説を語る
人も見受けられますが(Ug99は人為的に作られ、散布された。小麦価格が上昇し
そこから利益を上げることを目的として。あるいは敵国への食糧テロとして)、
その可能性を笑って否定できないほど、この問題はドロドロしたものの渦中に
あります。


Ug99の出自には関心ありません。それが陰謀かどうかは、この真菌が存在して
しまっている現在では、あまり意味がないように思います。


その真菌はすでにあって、人類の食糧を支える小麦が危険にさらされている。


それがいまある現実のようです。


Ug99への耐性菌培養に成功したとして、それが仮にA国で成功したとして……
果たしてそのA国は政治的・経済的に敵対関係にあるB国へそれを売り渡すで
しょうか。
価格を吊り上げたりせずに。


そもそも耐性菌培養に成功したことを公表するでしょうか。


やだなぁ……こんなこと考えたくないなぁ……


だからドロドロしたものにって書いたのです(ノ_・。)


この国でマスコミを通じてこの問題が報道されないこともその1つです。


まあ、狂牛病鳥インフルエンザのように人間に感染する可能性があるものじゃ
(いまのところ……というかたぶんこれからも)ないし、その存在を知っても
何が出来るわけでもない(高騰を見越して小麦の買いだめできるわけでもない)
から、報道しなくて害があるわけじゃないけど……
サイパンに記者送る余裕ある
なら、こっちを放送しませんかね!!!


ボーローグ博士が言うように、ここは世界的な協力体制で、小麦壊滅的な被害!!!
とかから、人類を救って頂けたらと思います。


あー他力本願ですみません。


本日はやや投げやりな記事投稿で終了。


でも、このUg99と小麦さび病については、個人的にずっと注視し続けます。


歳取るとネチネチしつこくなるんだな。だから記事の長いこと長いこと……