『茶のしずく』事件、厚労省対応の実態とは?(1) | ニドのブログ

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株式会社悠香の旧「茶のしずく」石鹸による小麦誘発アレルギー

『茶のしずく』事件、厚労省対応の実態とは?(1)

2012年4月26日 15:00


 『茶のしずく』事件では、行政の対応を問う声も多い。医薬部外品として『茶のしずく』を認可した厚労省、2010年1月に国民生活センターから製品名を含めた健康被害報告を受けていながら、対応しなかった消費者庁。弁護団は行政機関への責任追及も視野に入れている。IB本誌では厚生労働省 医薬食品局 安全対策課の担当官を取材し、この事件に対する行政側の対応の実態に迫った。(聞き手:山本 剛資)

<これまでの対応は適切>
 ――『茶のしずく』石けんによるアレルギー発症問題について、注意喚起を出した2010年10月当時の状況を振り返り、簡単な経過をお話しください。

 厚労省 私どもの安全対策課は、製品が販売された後に、副作用など何かの事象が起きた場合に対応する部署です。今回は医薬部外品を使用し、皮膚や粘膜を経由してアレルギー症状が出るという、これまで知られていなかった事例でした。

 2010年10月に注意喚起を出す時点で得られていた情報では、まだ石けんと小麦アレルギーの因果関係が詳細にはわかっていなかった。まずは同じ様なことが他に起きているかどうか、把握することが先決でした。そうしないと対策もできません。

 注意喚起を出した時は、加水分解コムギ成分全般に注意喚起をする必要があると考えていました。医療機関からの報告を受け、各都道府県の衛生主管部に注意喚起の通知を出し、加水分解コムギ末成分全般について、小麦由来成分が含まれていることを表示すること、使用中に異常があった場合は使用を控えること、アレルギー発症事例の研究報告を入手している場合には報告をすることなどの周知徹底を促しました。

 その後、小麦成分全般というより、『茶のしずく』石けんという個別の製品で症例が多発していることがわかってきました。そして昨年(11年)5月に悠香に自主回収を指導。その後、さらに厚生労働省に報告されていない症例があることがわかり、副作用情報を広く集めて早期対応につなげるために、8月には医療機関と関係企業に対し、化粧品・医薬部外品の研究報告、副作用報告の徹底を通知しました。医療機関には、医薬品・医療機器等安全性情報報告制度に基づく副作用の報告を依頼し、医薬部外品を製造販売する企業には、薬事法に基づき、被害発生を知った場合は学術雑誌に掲載された研究報告のみでなく、被害発生を知った場合は社内で取りまとめて報告するよう通知しました。早期対策を取るためにも、この報告制度を守ってもらう必要がありますので、周知徹底を促しました。

 ――この問題を初めて知ったのはいつ頃ですか?

 厚労省 厚労省に初めて医療機関から報告があったのは、2010年の9月16日です。最初に11例の報告があり、10月に10例の報告が追加されました。短期間に2つの医療機関からの報告が相次いだことで、10年10月の通知に至りました。この時点では、『茶のしずく』石けんのグルパール19Sが問題だとはわかっていなかったので、加水分解コムギ末の成分全般で、同じことが起きる可能性があるのでは? という認識を厚労省は持っていました。

 ――厚労省の注意喚起後、悠香は石けんの購入者にDMを発送しましたが、「小麦由来成分を含有する製品につきまして、ごく稀にアレルギーを発症したと疑われる事例が厚生労働省より報告されておりました」などと間接的な表現で、被害者には石けんがアレルギーの原因だと気づかない人もいました。DMの内容を事前に知っていましたか?

 厚労省 DMは基本的には企業の責任において作成されるものですが、DMの事前確認をしていました。まだ原因がよくわからない段階で購入者に通知をする場合、特定製品にだけあまり強い注意喚起をこちらから求めるのは難しい。内容が適切であったかどうかは、その時点で製品と症状に関する情報をどこまで持っていたかについて、細かい情報まで全体的に見てみないとわかりません。

(つづく)

【山本 剛資】