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第4章 4

テーマ:小説 花屋の菊ちゃん奮戦気 2008-11-17 15:55:12

あれ以降、里美からはちょくちょくメールと電話がくるが、特に宇井君に張り付いている訳では無いので進展はなかった。

俺も仕事に追われてなかなかそこまでできていないのが本当のところだった。

ななさん祭りの件は毎週のように打ち合わせが行われ、進展状況はすこぶる順調だった。

梶さんも大樹とアズオが来ると言う事で俄然やる気をだしてくれて、6丁目は一番活気が出てきていた。

誠司さんも1丁目のバザーの出店をまとめてくれているようでかなりいい感じだった。

このまま何も無く当日を迎えられ事を本当に願うばかりだった。

「菊の字、明日頼むよ。早苗先生が期待してたからね」

なんだよ鼻の下伸ばして、このエロマスターが!

「準備万端だよ、ご心配なく。」

「俺も一応顔だすから」

はぁ、何でマスターが顔だすかね。せっかくの休みが2週続けて無くなる事になんとも憤慨していた。

「あっそう、じゃ遅れないようにね。9時からだからね。」

どうせ早苗先生に会いにくるだけだろう。確かに年のわりには綺麗な先生だった。親父達がお熱を上げる雰囲気をかもし出してはいた。

なんだか機嫌よくマスターは引き上げて行った。それと入れ替わりでまたもや大きなバッタサングラスの里美が現われた。

「おはよう、ちょっといいかな?」

何だよ、いきなりお店に現われてどうしようってんだ。

「何、どうしたの?」

「やっぱり、あの長谷川とか言う女が彼女じゃないの?」

そんなの知らないよ、この前違うって事で話が終わったじゃないか。

「何でそう思うの?」

「この前の日曜日にあたしファッションショーに出てたんだけど、そこのあの二人が来てたのよ」

そりゃ、行くでしょうよ。二人ともファション業界の人なんだから。

「やっぱり怪しいから、今から探りに行くの。」

あぁそうですか、どうぞ存分に探ってください。宇井君は決してぼろは出さないと思うけどね。

「で、一緒に行こうよ!」

で、って何だよ。俺が行ってもしょうがないし、逆に一緒だと変に思われるよ。

「いやいや、それは無理だよ。俺今から配達あるし・・・」

里美はちょっとふくれて見せた。

「菊さん、配達俺が行きますからちょっとなら大丈夫ですよ」

バカヤロウ!信二!余計な事を言うんじゃないよ。やんわり断ったんだから。

空気読めよ空気をよ。どうするんだよ、断れないじゃねえか。

「いいって言ってるから、ちょっと付き合ってよ」

ほら、言わんこっちゃない。ややこしいんだから。

しょうがなしに30分と言う約束で里美に付き合う事にした。

さすがに街中歩くと、里美はオグサトオーラ満開で行きかう人が視線を向けてくる。

俺は微妙な距離を取りながら一緒に『リップル』に向かって歩いた。

「宇井君に何て言うつもりなの?」

「わからないけど、この間の女は誰って聞いてみるかな?」

お前は彼女か!この前の女は誰って聞いたところで、仕事関係って逃げられるだけだよ。

実際、俺が横にいて何の利点があるのかわからないだろう。

そうこうしている間に『リップル』に着いた。修羅場とかにならなければいいけど。

店内はパラパラとお客さんがいた。宇井君はいつものカウンターの前でパソコンをいじっていた。

里美は目もくれず宇井君のところに歩み寄った。

「こんにちは」

満面の笑みで話しかけた。気がついた宇井君は驚いたように顔を上げた。

「やぁ、里美ちゃん。どうしたの」

いきなり始まるのか?

「ちょっと近くに来たものだから、宇井さんの顔でも見ようかなと思って」

「それはうれしいね。」

おいおい声のトーンが違うじゃねえか、何だよ、その可愛らしさ満開な声は!

明らかに目が好き好きオーラでキラキラしてんじゃねえか。

「おーお、菊ちゃんどうした?」

里美の後ろにいる俺を見つけて不思議そうに見た。

「いや、あの・・・」

何て言えばいいんだよ。

「あっ、そこで偶然お花屋さんに会ったから、一緒に行きましょうって誘ったの」

そこで会っただ、お前店まで誘いに来て強引につれてきたんだろうが!

宇井君は不思議そうな顔しながも、納得したようだった。

里美はたわいもない話を続けている。俺は何もする事がなく陳列されてる靴を眺めていた。

何で俺はここにいるのかな。

いつまで経っても本題に入らない里美にイライラしていた。

俺は時計を気にするそぶりをした。

「なんだ、菊ちゃん時間無いのか?」

「そろそろ配達の時間だなぁと思ったりして・・・」

「あら、そうなの?ごめんなさん誘ったりして、後でお花買いにお店に寄せてもらいますね」

何だ!そのセリフは!この小娘生かしちゃおかねぇ!

女って生き物はまったくわからないよ。結局俺は何の為にここに連れてこられたんだよ。

いやいや、わからんわ~。

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第4章 3

テーマ:小説 花屋の菊ちゃん奮戦気 2008-10-24 15:19:44

朝から何杯コーヒーを飲んだかわからない。結局、なかなか寝付けずだらだらして寝たのか寝てないのかわからない状態で朝から花市場に仕入れにいった。

「菊さん大丈夫ですか?疲れ顔ですよ」

信二が配達の準備をしながら言ってきた。

「昨日、なかなか寝れなくてなぁ。寝不足だよ寝不足」

「ななさん祭りの件が大変なんですか?」

「大変ちゅや大変なんだけど、俺の方はかなりいい所まできてるんだけどなぁ」

信二は不思議そうな顔しながら俺を見ていた。

俺も眠い目をこすりながら、仕入れた花の水揚げ作業をしていた。

アトラクションは大樹にアズオが参戦で盛り上がる事は間違いない。屋台もほぼ決まり、こっちは言う事ないくらい上手くいっているのに、なんだかなぁ。

「菊の字、おはようさん。ちょっとお願いがあるのねんけど・・・」

「いや!」

マスターのお願いなど、ろくなもんじゃないから絶対にいや!

「そう言うなよ、古い付き合いじゃないか。」

「いやだ!絶対いや!何があってもいや!」

マスターは俺の拒絶にもめげずに話しを切り出した。

「ななさん祭りで忙しい時に悪いけど、来週の木曜日に昇華女子にお花教えに行ってくれないかなぁ?」

「はぁ?何じゃそりゃ?」

マスターはもっともらしい説明をした。地域の公共事業の一貫で近所の女子高に就職セミナーとして参加しする事になったらしい?そして、今回は技術者に聞くと言う事でおはちが回ってきたようだった。

「何で俺なんだよ!もっと年上の人がいくらでもいるだろうに。」

「今回は若手の経営者がいいって言うからね」

何だか裏のある話の様な気がした。

それでなくても、ななさん祭りや里美の事で頭いっぱいなのにそんな事してる暇はないよ。

マスターはああだこうだ言いながら説得してきた。

そりゃ、地域の為にならいくらでも協力はおしまいですよ。ただ、マスターからの話はどうも信用できないんだよな!

おそらく、どっかのスナックかなんかで話が出て、二つ返事で受けてきたに違いない。

「で、何処からの依頼なの?」

「昇華女子の先生に知り合いがいてね、その人に頼まれたんや」

そこが怪しいなぁ、おそらく綺麗な女の先生に違いない。

「その先生は何でマスターに依頼したの?」

「いや~、ななさんの顔役だって誰かから聞いて依頼があったんや」

マスターは少し焦りだしていた。明らかにぼろが出ないようにしようと必死な様子だった。

「もう、安請け合いしちゃったんでしょう?」

「一応、任せないといいました」

なんじゃそりゃ!あんたに任せても人に振るだけでしょう。

まぁ、仕方ないと思い受ける事にした。

「助かるよ、菊の字。あとで先生から電話させるから打ち合わせして、榊原早苗先生だから」

ほら、やっぱり女の先生だ!

このスケベ親父は下心バリバリだな。

あぁ~かんべんしてよ!

第4章  2

テーマ:小説 花屋の菊ちゃん奮戦気 2008-10-22 17:43:35

家に帰る電車で里美にメールをした。俺は久しぶりに友達と飲んだ事でかなり気分よくいた。

せっかくの休みがとんだ尾行劇だったけど、充実した感じが無い訳ではなかった。

電車を降りて、ななさん商店街を歩いていた時に電話が鳴った。

「もしもし、里美だけど!」

何だよ、メールで報告したじゃん。

「メール見たけど、本当にそうなの?」

「裏も取ってあるから本当だよ。今の所は関係無いって」

「今の所って、どう言う事よ」

知らないよ!そんなあげあし取らないでよ!

俺は里美に色々説明して理解を求めた。

説得には時間がかかった。俺は家についても尚、里美と電話を続けていた。

「いや、分るけど。今の所はそうなんだからしょうがないじゃん」

里美は相当、宇井君にお熱を上げているようだった。そして、宇井君にかなりの疑念を抱いてもいるようだった。

「わかった、一応納得してあげるけど、続けて宇井さんの動向を見張っててよ!」

えぇ~、マジで!今日で開放してくれんじゃないの。

何だか、里美のしもべとなってしまった。これって最悪!

電話を切ってから、何とも最悪な気持ちになった。これからどうするかな。

ななさん祭りは何が何でも成功しなければならない、かなりの道筋がついてはいる。

どうせなら全体で成功したいが、アトラクションの目玉の里美がへそ曲げたら最悪だからここはじっと我慢したほうがいいのか?それとも宇井君に話して何とかしてもらった方がいいのか?

里美も最寄りによって何で俺なんだよ!他にもいるだろうに!

何とも言えない怒りがこみ上げてきた。明日は朝早いのに興奮して眠れない感じだった。

「お兄ちゃん、まだ起きてるの?」

「寝れないんだよ!」

飲み物を飲みに降りてきた雅美が不思議そうに言った。

確かに俺は以外に早寝だった。正確にはどこでもすぐに寝れるタイプだった。

「今日は遅かったね、何処行ってたの?」

「三宮ぶらぶらしてから、大樹のところで飲んできた」

まさかオグサトと一緒に宇井君を尾行してたなんて言えないだろう。

「なんだ、デートでもしてたのかと思ったのに。」

「そんな色気が俺にあるわけないだろう」

そうだと言わんばかりに納得した雅美にちょっと憤慨した。

お茶を飲んで自分の部屋に上がっていくのを見ながら、お前はどうなんだと言ってやりたがったがぐっとこらえてテレビに目をやった。

偶然にも、画面には関西ローカルの深夜番組の中で最新の小物を紹介している里美がいた。

さすが人気読者モデル。画面の中では普段よりもっと輝かしい感じだった。

何でこんな若い子があんなおっさん好きになるかね。

まぁ、小娘にはそう言う時期があるのかなぁとも思ったりした。

俺も若い頃は年上のお姉さんに憧れたりしたもんだ。

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