『真・解体新書』 第九回
『ビス』の種類

ギターやベースの組み立てに無くてはならないパーツの一つに『ビス』があります。
『ネジ』の方が一般的な言い方かもしれません。

●ペグビス
弦を巻き上げてチューニングする為に必要なペグを支えている『ビス』です。
サイズの種類は多くはありませんが、GOTOH製の『ビス』は他社よりも太いです。
この『ビス』は緩みやすいです。緩んでくると、『ビス』穴が広がって抜けやすくなります。



●ネックセットビス
Fender系はボディとネックを『ビス』で取り付けてあります。
太さと長さは、ボディの形状によって異なります。
ネック調整時に外さなくてはならないので、緩める時と締め込む時は慎重に。ネック側の『ビス』穴が広がってボディを支えられなくなります。



●ピックガードビス
Fender系に多く見られるピックガードを取り付ける『ビス』です。
ピックガードだけでなく、コントロールプレートやバックパネルも同じ『ビス』です。
この『ビス』は取り外す事は少ないので、穴が広がる事はあまり無いですが、外さない故に『ビス』が錆びて取れなくなる事があります。
サイズはメーカーによって異なりますが、Fender系は大きく、Gibson系は小さいです。



●ストラップピンビス
ストラップピンを取り付ける『ビス』です。
常にストラップで引っ張られているので、自然と緩みます。最悪、演奏中にギターが落ちます。
『ビス』穴を修正する場合は、一度穴を埋めてから空け直しが必要です。
各メーカーで長さの違いはそれ程ありませんが、太さが違うので交換時は穴を埋めて空け直す必要があります。



●ピックアップマウントビス
シングルコイルやハムバッカーをギター本体に取り付ける『ビス』です。
取り付けるピックアップによって、様々な種類があります。
インチサイズ、ミリサイズ、タップビス、木工ビス、長さ、太さ、一番種類が多いです。
ピックガードやエスカッションに吊り下げか、ボディに直接『ビス』で固定する方法があります。



●ブリッジマウントビス
シンクロトレモロブリッジ、ハードテイルブリッジ、ベース用ブリッジを取り付ける『ビス』です。
トレモロブリッジは『鍋ビス』、その他は『皿ビス』が使われます。
ブリッジ取り付け後、ブリッジ交換の時以外は全く緩める事が無いので大体ボディ内で錆びています。
常にブリッジが弦で引っ張られているので、ネジ穴のサイズが重要です。




●エスカッションビス
エスカッションを取り付ける『ビス』です。
エスカッションビスは、細く錆やすいので緩める時、締め込む時にドライバーで十字溝を潰さないように上から押しながら回します。
サイズは、細めが多いですが、稀に太い物があります。



●オクターブビス
エレキギター、ベースのブリッジに付いている『ビス』です。
ブリッジタイプによって形とサイズ、長さが違います。
シンクロトレモロ、ベース用ブリッジは、ブリッジ土台からサドルまでを貫通している長い『ビス』
T.O.Mブリッジのオクターブビスは、サドルに直接『ビス』を取り付けます。
フロイドローズ系は、サドルを土台に上から押し付ける『ビス』
ウィルキンソン系は、土台に上から押し付ける『ビス』とサドル後ろから『イモビス』で調整します。
それぞれ調整方法が違います。




●弦高調整ビス
シンクロブリッジサドル、ベースブリッジサドル等で弦高調整をする『ビス』です。
形は『イモビス』で、ミリサイズ、インチサイズ、長さ、太さはタイプにより違います。
調整する工具は、六角レンチ溝、マイナス溝の二種類があります。
『ビス』が錆びると、回しにくくなります。そのまま回し続けると、六角溝が潰れて回せなくなるので注意が必要です。




●イモビス
弦高調整、トレモロアームやコントロールノブの固定等に使われている小さい『ビス』です。
頭が無く、六角レンチかマイナスドライバーを使用します。


●レバースイッチビス
Fender系のレバースイッチをピックガードとコントロールプレートに取り付ける為の『ビス』です。
『ビス』のサイズはインチとミリがあり、それぞれ『鍋ビス』『皿ビス』があります。
Fender/USAの『ピックアップマウントビス』とインチサイズ『ビス』は長さは違いますが、共通サイズです。



●TL用ビス
50年代のテレキャスターはマイナス頭の『ビス』を使っていました。
これは、プラス頭だと錆びた時にドライバーで十字溝を潰してしまわない為にマイナスだったと言われています。
ネックセットビス、ピックガードビス、ペグビス等、全ての『ビス』がマイナス頭でした。
現在の50年代レプリカもマイナス頭の『ビス』を使っています。



錆等で回らなくなった『ビス』を回す時は、ドライバーで押し付けながら回すと外れやすいです。
『ビス』頭にあったドライバーを使う事も重要です。
ドライバーにはサイズがあります。
NO,0、NO,1、NO,2、NO,3等を揃えていれば、ピッタリ合うドライバーが見つかります。
サイズが合っていないと、『ビス』十字溝が潰れてしまう事があるので注意が必要です。

マイナスドライバーも同様です。



十字溝が潰れてしまった時は、無理矢理に回さずにリペアショップに持って行く事をオススメします。