チェルノブイリ本の翻訳プロジェクトにかかりっきりでブログの更新が全然できない。あまりにも長時間モニタの前に座りっきりなので腰は痛いし、心なしか足も弱ってきた気がする。1ヵ月ほど前から左の肩甲骨が痛くて首が30度ぐらいしか曲がらない。早く片付けてフルメンテナンスしないと持病になっちまいそうで不安なんですが、作業量が多過ぎておいそれとは終わりそうにない。

チェルノブイリ被害実態翻訳プロジェクト
http://chernobyl25.blogspot.com/

BBCが「日本の地震、津波、原発震災1周年」で、立て続けに特別プログラムを放送している。2月下旬に放送された『メルトダウンの内幕 Inside the Meltdown』は、津波で全電源を喪失したあと、福島第一の現場で何が行われていたかを当日の動画と写真と関係者へのインタビューで再構成した1時間のドキュメンタリーで見応えがあった。

ほんとうにカタストロフィーの瀬戸際にあったのがわかって改めて背筋が寒くなると同時に、それを防ごうと危険をかえりみずに奮闘されたかたがたに対しての心からの賞賛と感謝を忘れてはならないと思う。全員が健康で過ごされることを願う。

それにしても、あのとき日本の首相が菅直人でなかったら、東北も東京も関東一円も(もしかするともっと広い範囲までが)、少なくとも数十年は人の住めない場所になっていたかもしれない。天下の東電を相手にしてあそこまで強気に出られたのは、しがらみのない菅にして可能だったのではないか。市民運動活動家出身らしい即断即決の行動力と、自らの進退を顧みない(日本の派閥政治には不向きな)ある種の馬鹿さが、日本のみならず世界も救ったと言ってもいいかもしれない。

それにしても、なぜいま菅直人が首相でないのだろう。国民の70%とか80%とか言われる人が「脱原発」を望んでいるというのに、唯一それを実現させられる可能性のあったリーダーがその座を追われるのを黙って見ていたり、喜んだり、手を貸したり。ほかにどんなに間抜けな部分、嘘つきな部分がかれにあったとしても、あのときの体験があれ以降のかれをきっと変えただろうに。

政界にも財界にも友達のいないかれにとって唯一の頼みは国民だったのだから、国民が望めばかれは変わったはずだ。たいへんだけど、それが選挙民の仕事だ。首相の首をすげ替えるんじゃなくて、なぜ菅自身を変えようとしなかったのだろう。人任せ、人頼みの国民の怠惰が、日本の政治を荒廃させたんだと思うよ、ほんと。

You-tubeにアップロードされた『メルトダウンの内幕』のコメント欄にも(いま見たらもう6万ビューを越えていた)日本人らしい人が「このドキュメンタリーは菅直人を美化し過ぎ」とかなんとか書いていたけど、自分には見えなかった部分をドキュメンタリーの制作者たちが見たことに気づいたほうがいいだろう。当時、日本のテレビよりずっときめ細かく、また多大な危機感をもって原発震災を報じていたBBCとその視聴者の目からは、菅直人はこのように見えるってことだ。

BBC This World 2012 Inside the Meltdown
http://www.youtube.com/watch?v=IwBELPtVUCA