ロンドン・オリンピックである。家にこもっている分には何も影響がない。家から2分のバス通りが聖火リレーのルートになっていたので近所の人たちと並んで見た程度。おじさんが走っていた。いっしょに走っている警官や白バイ(とは言わないが)の警官などがみなうれしそうでよかった。もうちょっとがんばって(と言っても20分ほど歩けばいいだけ)オールイングランド・テニスコートまで行けば、アンディ・マリーやヴィーナス・ウィリアムスが見られたみたいだ。31日にはテニスの2回戦を観戦予定。

開会式はすばらしかった。背景情報など含めてちょっと書いた(コピペしないのでこちらで読んでください)。
http://newsfromsw19.seesaa.net/article/283562087.html
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大飯原発3号機、4号機が再稼働に向けて歩を進めつつある(でもまだ止められる)。先日は官邸前に1万1,000人もの市民が大きな動員もなしに集まって再稼働反対の声を上げたそうだが、マスメディアはスルーだったってほんと?

この記事、ちょっと古いが(2011年11月の記事)、おもしろいので回収しておく。「原発に賛成か反対か」ではなく、「原子力産業と再生可能エネルギー産業のどっちのほうが将来性があるか、儲かるか、雇用創出に役立つか」という視点から脱原発を決めたドイツの事例について改めて考えるのは無駄ではないと思うから。

大飯の再稼働についても、地元で議論されたのはおもに雇用の喪失の心配だったみたいだから、電力不足は我慢できるけど原発やめると地元の経済が壊れるんじゃないかと心配している人がいたら、この情報を共有してください。将来世代に核のゴミを残すという、倫理的に受け入れ難い妥協をしなくても、便利な電化生活は維持できます。



ドイツが脱原発を決めた本当の理由
環境NGO「グリーンピース」トーマス・ブリュアー気候変動エネルギー部門長に聞く


2011/11/11
山根小雪[日経ビジネス編集]
日経ビジネスオンライン 復興ニッポン
http://www.nikkeibp.co.jp/article/reb/20111108/289865/?P=1&ST

 東京電力福島第1原子力発電所の事故は、世界の原発に多大な影響を及ぼした。なかでも、ドイツの動きは世界に驚きを与えた。メルケル首相は事故発生からわずか3日後、老朽化した原発7基を3カ月停止し、全原発の安全検査を徹底するように命じた。さらにドイツ政府は、2020年の脱原発を決めたのだ。

 ただし、ドイツが事故を受けて脱原発を決めたのかといえば、そうではない。緑の党と社会民主党との連立政権は2000年に脱原発を決め、2022~23年を脱原発の期限に定めた。だが、2009年秋にキリスト教民主・社会同盟と自由民主党政権の連立政権が発足し、脱原発ムードが減退。2010年には、脱原発の期限を12年延長した経緯がある。

 こうしたなか、福島第1原発事故が発生。ドイツ政府は高まる世論をくみとって、再び脱原発の期限を早めたわけだ。ドイツの脱原発をめぐる国民議論の蓄積は、既に10年を超える。

 なぜ、ドイツ政府は脱原発を選択したのか。脱原発が産業界に、どのような影響を及ぼしているのか。ドイツ銀行で金融アナリストとしての経験を積んだ後、環境NGO「グリーンピース」に移ったトーマス・ブリュアー気候変動エネルギー部門長に聞いた。

――結局のところ、なぜドイツは脱原発を決めたのですか。

ブリュアー 原発がリスクの高い技術だからです。ドイツ政府は原発をどうするべきか、倫理委員会に諮りました。そこで委員会が出した結論は、「原発の賛否は別にして、原発はリスクの高い技術。一方の再生可能エネルギーはリスクが低い。ならば原発は廃止すべきだ」と政府に勧告したのです。後述しますが、産業政策の側面も大きかった。

――欧州の電力網はつながっており、電力市場は自由化されています。国境をまたいだ電力の売買も当たり前です。ドイツが脱原発しても、不足した電力を原発大国のフランスから輸入することになり、結果的に原発による電力は減らないという指摘もあります。

ブリュアー それは間違った認識です。確かに、ドイツとフランスの間では電力の輸出入が行われています。原発は発電量を変動させずに運転するのが最も効率が良い。このため、原発比率が8割弱と非常に高いフランスは、電力需要の変動に対応するために、原発による電力を安価で他国に売っているのです。脱原発いかんにかかわらず、ドイツはフランスから電力を購入してきたわけです。

 ただ、フランスから購入している量は、ドイツ全体の需要のごく一部に過ぎません。むしろ10年以上前から、ドイツは電力輸出国なのです。原発停止後は他国へ輸出する余裕は減ってしまいます。ですが、原発以外の発電設備に余裕があるため、輸入が大幅に増えることはないでしょう。

 ちなみに、2010年のドイツの総発電量に占める原子力の割合は24%。福島第1原発事故後に7基停止してからは、14%まで落ち込みました。電力の輸出量は減少していますが、輸入量は変わっていません。

 ドイツ政府は再生可能エネルギーの導入量を増やすことによって、エネルギー自給率を高める目標を掲げています。2020年を目途に原発を全基停止してどうなるのかは不透明な部分も残りますが、大きく輸入が増えることはないと見ています。

――脱原発によって原子力産業の雇用が減少する懸念はないのですか。

ブリュワー 現在、原子力産業は約3万5000人を雇用しています。2020年に原発を止めても、この雇用が減るのはもっと先の話です。というのも、廃炉を完了させるには、膨大なプロセスを経る必要があります。長期間にわたり、相当の人員が必要です。

 一方で、再生可能エネルギーの導入促進は、原子力を上回る雇用を生みだします。ドイツ政府によると、2004年に16万人だった再生可能エネルギーによる雇用は、2010年に37万人へと急拡大しました。原発の雇用は発電所の立地地域などに集中しがち。ところが、分散電源である再生可能エネルギーは、ドイツ国内に分散して雇用を生み出す利点もあります。

 現在、ドイツ政府が掲げている再生可能エネルギーの導入目標は、2020年に35%というもの。その先も、2030年に50%、2040年に65%、2050年には80%まで高めるとしています。さらに、ドイツ議会の専門委員会は2010年、「2050年に100%再生可能エネルギーにすることも可能」だと表明しました。

 脱原発を実現して原子力産業での雇用が失われても、再生可能エネルギーの導入で大量の雇用が発生します。雇用面の心配はしていません。


再生可能エネルギーには経済的なメリットも

――再生可能エネルギーの発電コストは、火力発電などと比較して高いと言われます。また、日本では、原子力のコストが適正に評価されていないという指摘があります。

ブリュワー ドイツでは、再生可能エネルギーの導入は経済的なメリットが大きいという試算が広く知られています。単なる発電コストの比較ではありません。再生可能エネルギーの導入にまつわるコスト増よりも、石油や天然ガス、ウランなどの燃料を使わないで済んだことによるコスト削減や、酸性雨や健康被害などの対策コストの削減、新規に生まれる雇用や、企業の競争力工場などのメリットの方が大きいというわけです。

 原子力のコストの不透明さはドイツも同様です。1950年から現在までに原子力産業に政府が投入した補助金などの総額は、24兆4200億円に上ります。核廃棄物の処理費用などは部分的にしか含まれていませんので、国費の投入はさらに増えるでしょう。

 問題は、原子力産業のコスト削減努力が不十分であることです。これだけの国費がなければ立ちゆかないのだから、原子力産業が自立しているとは言い難い。今後もさらに原子力産業にカネを投じ続けることには、疑問符が付きます。

――再生可能エネルギーが本当に経済的なメリットがあるなら、なぜ産業界は脱原発に反対するのですか。

ブリュワー ドイツ産業界にも、様々なポジションの企業が存在します。脱原発の声を発しているのは、電力や化学、重工業、自動車などの大企業。これが産業界の総意であるとは考えていません。

 というのも、再生可能エネルギーの導入を、ビジネスチャンスと捉える企業が増え始めているためです。象徴的なのが、アルミ精錬のトップ企業が政府の判断を歓迎していることです。

 アルミ精錬といえば、電力多消費産業の代表格。電力料金の高い地域ではビジネスが立ちゆかなくなることもある業種です。そのアルミ精錬企業の歓迎が意味していることは、「再生可能エネルギーは儲かる」ということに尽きます。

 これまで彼らの最大の顧客は自動車メーカーでした。ですが、自動車メーカーは値下げ圧力が強い。値下げばかり求めてくる自動車メーカーよりも、彼らにとっては、風車メーカーの方が優良顧客になったのです。
再生可能エネルギーは成長著しい産業

――再生可能エネルギーの導入が、新産業として確立しつつあるのですね。

ブリュワー その通りです。雇用創出効果は数値となって現れています。産業界の声の大きなプレイヤーの影で、ビジネスをシフトさせる動きが顕在化しています。

 再生可能エネルギー市場は、右肩上がりで目覚しい成長を続けています。これほどの成長力を持った産業は、ほかに見当たりません。

 だからこそ、日本に言いたいことがあります。原発に賛成か反対かという議論にとどまらず、将来の産業について議論すべきではないでしょうか。

 日本企業が再生可能エネルギー市場で存在感を発揮したいと考えるなら、日本政府は早急にエネルギー政策の方針転換をすべきです。一刻も早く、国内市場を立ち上げなければ、手遅れになる。もうギリギリのタイミングです。既に日本は相当、遅れを取っているのです。

 ドイツに参考になる例があります。かつてドイツの鉄道会社は、新幹線のような高速鉄道を新興国に売り込もうとして失敗しました。その理由は、国内での導入実績がなかったためです。新興国からしてみれば、「そんなに良い技術ならば、なぜ自国でやらないの?」と信頼を得られませんでした。

 日本の再生可能エネルギーの導入量は、世界的に見ても少なすぎます。国内市場はあまりに脆弱です。日本には、技術開発に長けた企業が多く存在します。再生可能エネルギーに本気で取り組めば、世界で高い競争力を発揮できるはずです。

 政府が本気で国内市場を立ち上げることを決断するかどうか。ここに、日本企業の将来が委ねられています。

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2012年5月5日(日本の原発50機が全部停まった日)付け毎日新聞に掲載された菅直人元首相のインタビュー。アクセスが切れたり原稿そのものがなくなる場合もあるので、とりあえず全文拾っておきます。しかし、なんでこんなに短いインタビュー記事に4ページも使っているのか、なぞだ。


菅前首相:浜岡運転停止要請から1年 単独インタビュー

毎日新聞 2012年05月05日 11時24分

http://mainichi.jp/select/news/20120505k0000e010161000c.html


 中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)の運転停止要請から6日で1年となるのを前に、菅直人前首相が毎日新聞の単独インタビューに応じた。主な一問一答は次の通り。

 --11年5月6日の会見で中部電への運転停止要請を発表した。判断した経緯は。

 ◆ずっと前から「あそこが危ない」という議論があるのは知っていた。4月の中央防災会議で、(30年以内に)87%と非常に高い確率で大きな地震が来そうだと。そういうものが重なっていった。個人的にアドバイスをくれた人もいた。

 最終的にあの時点で行動したのは、5月5日に海江田万里経済産業相(当時)が浜岡原発へ自己判断で視察に行き、翌日に「話がある」と。「ここは止めた方がいい。停止要請しよう」と言われ、私が考えていたことと方向性が一緒になって「そうしましょう」と。事前に閣内で正式な表明はしていない。

 --考えた影響は。

http://mainichi.jp/select/news/20120505k0000e010161000c2.html

 ◆福島第1原発の事故を経験して2カ月目ぐらいだった。一番厳しい時には、場合によっては首都圏まで避難が必要になるという背筋が寒くなるような思いをした。もし浜岡で同じことが起きれば、東京、大阪の太平洋ベルト地帯で新幹線も高速道路もすぐ近くにあり、その影響は福島より大きくなるという認識はあった。

 --具体的にシミュレーションはしていたのか。

 ◆どういう展開になるか、分からなかった。ただ、例えば福島の場合に立ち入り禁止の警戒区域となった20キロ圏を浜岡原発に当てはめてみると、日本の大動脈である東名も新幹線も引っかかる。経済的な面もあるし、住んでいる人も多い。

 --中部電は「原子力安全・保安院の評価・確認を得たときは、浜岡原発の全号機の運転が再開できることを確認したい」と確認事項を経産相との間で交わしている。政府が再稼働を保証するという議論はあったのか。

 ◆条件とまで言えるかは分からないが、ある種の希望が表明されたことは否定しない。一電力会社の個別の問題と、日本が原発依存を続けるかという日本のエネルギー政策の問題とは次元が違う。そこで約束できるか、できないかを超えている。福島の事故は一企業が担いきれないリスクがあることを証明した。原発事故の巨大性はスリーマイルより厳しく、チェルノブイリよりも実質大きい。国民的に判断する政策課題だ。

 --関西電力大飯原発など、再稼働への動きが加速しているように見える。

 ◆多少問題なのは、電力が足りないという供給側の意見が非常に強い。本当に足りないのか。国民が協力したり、企業が自己防衛を含めて自家発電したり、それらを計算してもピーク時需要に対する供給量が足りないのか。そのあたりの議論をもう少しした方がいい。この一年の経験から、個人的にはピークカットなどでしのいでいけると思う。

 --野田佳彦内閣の再稼働への動きは拙速か。

http://mainichi.jp/select/news/20120505k0000e010161000c3.html

 ◆頂上を目指しているのかが大事だ。頂上は脱原発で、それを目指す上で若干のジグザグはある。しかし、もう降りてしまおう、3・11は忘れてしまうようなことを考えてやろうとしているのか、私は国民はそこを見ていると思う。ロードマップを示すことがないまま再稼働すると、「結局どっちに行く気なんだ」と。そこが今の状況が国民的になかなか理解されない大きな要素だと思う。野田内閣も(脱原発依存を宣言した私の政権を)踏襲していると思う。だが、客観的に多くの人が疑っていることまで否定する気はない。

 --国政選挙の争点に、という話もある。

 ◆どういうエネルギーを使うべきかは、最終的には国民が判断すべきもの。技術的な問題やいろいろな専門的の議論があっていいが、最後は技術論を超えたところで国民が判断すべきだ。国民の選択で一番分かりやすいのが国政選挙だ。

【聞き手・樋口淳也、山本佳孝】

http://mainichi.jp/select/news/20120505k0000e010161000c4.html




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SW19ブログ本家の過去1ヵ月半の更新は以下の通りです。

<新しい順に>

2012年04月25日
[TUP速報939号] チェルノブイリ被害実態レポート第2回[大気,水,土壌の汚染]
http://newsfromsw19.seesaa.net/article/267069198.html?1335432699
表題の「瓦礫の広域処理は助け合いになるのか」はこれに含まれています。

2012年03月31日
[TUP速報938号] 混迷のシリア情勢――体制による殺戮と「欧米の陰謀」のはざまで
http://newsfromsw19.seesaa.net/article/261995412.html

2012年03月10日
[TUP速報937号] "勇気は伝染する"―マニング、ウィキリークス、ウォール街占拠
http://newsfromsw19.seesaa.net/article/260616620.html

チェルノブイリ本の翻訳プロジェクトにかかりっきりでブログの更新が全然できない。あまりにも長時間モニタの前に座りっきりなので腰は痛いし、心なしか足も弱ってきた気がする。1ヵ月ほど前から左の肩甲骨が痛くて首が30度ぐらいしか曲がらない。早く片付けてフルメンテナンスしないと持病になっちまいそうで不安なんですが、作業量が多過ぎておいそれとは終わりそうにない。

チェルノブイリ被害実態翻訳プロジェクト
http://chernobyl25.blogspot.com/

BBCが「日本の地震、津波、原発震災1周年」で、立て続けに特別プログラムを放送している。2月下旬に放送された『メルトダウンの内幕 Inside the Meltdown』は、津波で全電源を喪失したあと、福島第一の現場で何が行われていたかを当日の動画と写真と関係者へのインタビューで再構成した1時間のドキュメンタリーで見応えがあった。

ほんとうにカタストロフィーの瀬戸際にあったのがわかって改めて背筋が寒くなると同時に、それを防ごうと危険をかえりみずに奮闘されたかたがたに対しての心からの賞賛と感謝を忘れてはならないと思う。全員が健康で過ごされることを願う。

それにしても、あのとき日本の首相が菅直人でなかったら、東北も東京も関東一円も(もしかするともっと広い範囲までが)、少なくとも数十年は人の住めない場所になっていたかもしれない。天下の東電を相手にしてあそこまで強気に出られたのは、しがらみのない菅にして可能だったのではないか。市民運動活動家出身らしい即断即決の行動力と、自らの進退を顧みない(日本の派閥政治には不向きな)ある種の馬鹿さが、日本のみならず世界も救ったと言ってもいいかもしれない。

それにしても、なぜいま菅直人が首相でないのだろう。国民の70%とか80%とか言われる人が「脱原発」を望んでいるというのに、唯一それを実現させられる可能性のあったリーダーがその座を追われるのを黙って見ていたり、喜んだり、手を貸したり。ほかにどんなに間抜けな部分、嘘つきな部分がかれにあったとしても、あのときの体験があれ以降のかれをきっと変えただろうに。

政界にも財界にも友達のいないかれにとって唯一の頼みは国民だったのだから、国民が望めばかれは変わったはずだ。たいへんだけど、それが選挙民の仕事だ。首相の首をすげ替えるんじゃなくて、なぜ菅自身を変えようとしなかったのだろう。人任せ、人頼みの国民の怠惰が、日本の政治を荒廃させたんだと思うよ、ほんと。

You-tubeにアップロードされた『メルトダウンの内幕』のコメント欄にも(いま見たらもう6万ビューを越えていた)日本人らしい人が「このドキュメンタリーは菅直人を美化し過ぎ」とかなんとか書いていたけど、自分には見えなかった部分をドキュメンタリーの制作者たちが見たことに気づいたほうがいいだろう。当時、日本のテレビよりずっときめ細かく、また多大な危機感をもって原発震災を報じていたBBCとその視聴者の目からは、菅直人はこのように見えるってことだ。

BBC This World 2012 Inside the Meltdown
http://www.youtube.com/watch?v=IwBELPtVUCA