田舎町で瀟洒なレストランを経営する絶世の美女・美帆。

彼女の顔はかつて奇形的なまでに醜かった。周囲からバケモノ扱いされる悲惨な日々。思い悩んだ据えにある事件を起こし、町を追われた美帆は、整形手術に目覚め、莫大な金額をかけ完璧な美人に変身を遂げる。そのとき亡霊のように蘇ってきたのは、ひとりの男への、狂おしいまでの情念だった―――。



百田氏の『モンスター』です。

『永遠の0』や『海賊と呼ばれた男』を読んでいた自分としては、かなり予想外のジャンルなのですが、氏は、構成作家ということもあり、幅広いジャンルを高品質にカバーしておられるようです。

本作のジャンルは、人の内面を描いたヒューマンエンターテインメントというか、自分が期待していたようなサスペンス的展開ではなく、恋愛ドラマ・人間ドラマといった印象を強く受けました。


本作は、主人公・美帆の現在のシーンから始まります。”絶世の美女”。町中でそう噂される美女が、田舎で新しいレストランを開店させる、そんな優雅なカットから物語は始まります。

シーンは切り替わり、過去へ。美帆は、生まれたときから、他人に「バケモン」と呼ばれるほどの、醜い容姿の持ち主だったことが明らかになります。その醜さゆえにいじめを受け続けるばかりか、想い人には思いを伝えることも満足にできず、暴走してしまい、結果大事件を起こすことになります。

そうして傷つきながらも、東京へ出た美帆は、”整形手術”と出逢い、過去を捨てることを決意し、新たな人生を歩んでいくことになるのです。


現代編と過去編が入り混じりながら物語が進み、なぜ美帆がそこまで整形や美貌にこだわるのか、現在編で新たにレストランを経営して、何をしようとしているのか、徐々にその謎が明らかになっていきます。


美を持っている、ということは、世間を生き抜くためには非常にアドバンテージとなる、ということがこの物語では描かれています。当然世間はそう感じています。ですが、なかなか”整形”に踏み切るには至らない。日本人には”親からもらった体”といった感覚が備わっている(ような気がする)ので、比較的安易に整形、という手段をとらない国民性なのではないか、と勝手に思ったりもします。


某国のミスコンでは整形が当然なので、コンテストの上位者は同じ顔をしているとか。

整形自体は否定しませんが、手術を受けた人には、それなりの理由があり、後ろめたさや、業を背負って生きていかなくてはいけない、そういう覚悟が必要なんでしょうね。そういった覚悟が暴走し、美を求める怪物となってしまう過程を描いた作品が、本作『モンスター』です。



オススメ度 ☆☆☆


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