噂:荻原 浩

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「レインマンが出没して、女のコの足首を切っちゃうんだ。でもね、ミリエルをつけてると狙われないんだって。」

香水の新ブランドを売り出すため、渋谷でモニターの女子高生がスカウトされた。口コミを利用し、噂を広めるのが狙いだった。販売戦略どおり、噂は都市伝説化し、香水は大ヒットするが、やがて噂は現実となり、足首のない少女の遺体が発見された。衝撃の結末を迎えるサイコ・サスペンス。


荻原 浩 「噂」 を読みました。

氏の作品を読むのははじめてです。


本書の内容を簡単に説明します。

ある新作の香水を売り出すために、企画会社がある”作戦”を実行します。

それは”噂”を流すこと。


それは、レインマンの噂。


「これも聞いた話なんだけど、少し前にね、ニューヨークの公園にレイプ魔が出没したことがあったそうなの。晴れた日でも真っ黒なレインコートを着ているのが特徴で、狙うのはティーンエイジの子ばかり。手口がとっても残酷。逃げられないように、まず女の子の足首を切り落としちゃうそうよ。でもなぜかミリエルの香水をつけている女の子は狙わない。だからニューヨークの若い女の子は、みんなミリエルのローズをつけるんだって・・・」


企画会社の女社長は、渋谷付近のファッションリーダー的な女子高生たちを集めて、根も葉もない噂話を始めます。噂の広がり方をモニタリングする、という名目で、モニターとなった女子高生たちに同じ噂話を広めさせようというのです。

今では当たり前のマーケティング手法となった”口コミ(word of mouth)”による販促です。本書刊行時は平成13年。まだまだそのような手法は世間的に一般的ではなかったのではないかと推察されます。


女社長の狙い通り、噂は瞬く間に渋谷を中心に広がり始めます。

同時に、ある奇妙な殺人事件が発生することになります。公園で、”足首のない女子高生の死体”が発見されたのです。本作の主人公である刑事・小暮と、名島は、渋谷での聞き込みを中心に事件の真相へ迫っていくことになります。


捜査自体はオーソドックスなものだし、殺人事件自体に真新しいトリックが使われるような作品でもありません。物語の構成からすると、ホラー要素を含んだサスペンスもの、というカテゴライズがふさわしいように思います。


最後の一行には「あっ!?」とおどろく展開が用意されていますので、これは是非読んで体験していただきたいと思います。本編中に張り巡らされた伏線をいかに見逃さないか、注意深く読み進めたほうが楽しめる作品です。面白い。


オススメ度 ☆☆☆☆



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