民王:池井戸 潤

テーマ:

「お前ら、そんな仕事して恥ずかしいと思わないのか。目を覚ましやがれ!」

漢字の読めない政治家、酔っ払い大臣、揚げ足とりのマスコミ、バカ大学生が入り乱れ、巨大な陰謀をめぐる痛快劇の幕が切って落とされた。総理の父とドラ息子が見つけた真実のカケラとは!?



銀行のかかわらない、完全なエンターテインメント系小説です。

氏の作風からは少し珍しいような気もしますが、これがなかなか面白いのです。


総理大臣・武藤泰山とその息子・翔の意識が入れ替わってしまい、感じの読めない総理大臣と、親父くさくて説教くさい就職活動中の大学生が誕生する物語です。一読したときはSF系かと思い、読む手が止まったものでしたが、セリフが多めのドタバタ系で、コメディ展開の物語が進んでいくので、とっつきやすい読み味でした。


政治経済を知り尽くした総理大臣(外見は学生)が、会社面接で面接官をめためたにやり込めたり、政治の仕組みをよくわかっていない若い大学生(外見は総理大臣)が、マスコミの前で大正論をぶちかましたりと、池井戸氏の爽快なテイストを残しつつも、政治とは何か、といった社会派なテーマに取り組んだ意欲に溢れた作品でした。


一国の政治の舞台裏がこんなもんかと知れれば、絶望するようなドタバタ感ですが、案外こんなもんかもしれません。真面目に考えながら読んでいたら「ありえねー!」で終わってしまいますが、細かいところは置いといて、久々に心軽くなる小説です。



オススメ度 ☆☆☆



民王 (文春文庫)/文藝春秋
¥670
Amazon.co.jp