金融探偵:池井戸 潤

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失業中の元銀行員・大原次郎は、再就職活動中に金融絡みの難題について相談を受けた。これまでの経験と知識を活かし、怪事件を鮮やかに解決していく。出納記録だけの謎めいたノートの持ち主を推理するスリル満点の「誰のノート?」他全七編。



本作の主人公は、東京産業銀行を退職した元銀行マン。

大原次郎は、再就職活動中にひょんなことからアパートの大家さんからある相談を受けることになります。大家さんの運営する銭湯の改修資金として、銀行から融資を受けたいと。失業中の大原は、銀行で培った知識と経験をもとに、相談に乗ることになります。これが、本作の導入です。この事件を皮切りに金融に関する問題を専門に取り扱う探偵になろうと思い始めます。(「銀行はやめたけど」)


他6編は、上記の話の続きで、各話は一話完結の短編です。

正直なところエッセンスとして「金融」は出てくるのだけれど、テーマとして扱っているのは、記憶喪失になった女性についての記憶を取り戻すであるとか、謎のノートに関する謎を解く、であるとかそこらへんの文庫でやっているのと同じような話ばかりで、それほど真新しいものでもありません。主人公の大原も、どちらかというと自己アピールの少ない大人しめのキャラクター。話にメリハリがなく、なんとなく読んでいたらなんとなくラストになってた、感じの読後感です。

短編ひとつひとつはそれなりに面白いですが、やはり長編の濃厚な銀行ミステリが氏の持ち味だなぁと再確認するための一冊となってしまったように思います。

かといって、一編一編の物語が読むに値しない駄作というわけではありませんので、それなりに楽しめる短編集ではあります。

ただ、タイトルから想像するような「探偵」ではなかったなぁと思うことでしょう。



オススメ度 ☆☆


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