銀行狐:池井戸 潤

テーマ:

狐と署名された脅迫状が、帝都銀行頭取宛に届けられた。「あほどもへ てんちゅー くだす」。具体的な要求はないが、顧客情報漏洩、系列生保社員の襲撃と犯行はエスカレートする。狐の真意と正体は?(「銀行狐」)

元銀行マンの江戸川乱歩賞作家ならではの緻密でスリリングな表題作ほか5編収録。


ということで、金融ミステリの大家、池井戸氏の短編集となります。表題作の「銀行狐」は、別冊の長編「銀行総務特命」で主人公となった、総務部・指宿修平が主人公となる短編です。あらすじは、上記のとおり「狐」とよばれる脅迫者から、脅迫状が届き、その対応を指宿が行うというもの。例によって、銀行内部の闇を暴き、事件を解決していくものです。銀行ならではの特徴的なギミックもあり、スリルある展開が用意されています。なかなか面白いです。


また、最終話となる短編「ローンカウンター」では、刑事が主人公となり、連続婦女暴行事件の謎に迫るという本格ものです。氏のデビュー作「果つる底なき」で主人公となった、二都銀行融資課長代理・伊木遥が再登場し、犯行の仕組みについて助言をする場面もあります。池井戸ファンならばニヤリとする場面です。そのほか、「金庫室の死体」「口座相違」など、割と本格に近いミステリ要素を孕んだ短編が収録されており、純粋なミステリファンでの楽しめる短編集だったと思います。ただ、市の作品の特徴として、ラストをぼかして描く、という表現が短編集ではよく用いられているので、若干もやっとした終わり方になっているので(ご想像にお任せくださいというやつです)、最後まで描けよ、という気分になることは請け合いです。


オススメ度 ☆☆☆



銀行狐 (講談社文庫)/講談社
¥560
Amazon.co.jp


銀行狐/講談社
¥1,785
Amazon.co.jp