帝都銀行で唯一、行内の不祥事処理を任された指宿修平。顧客名簿流出、現役行員のAV出演疑惑、幹部の裏金づくり、、、スキャンダルに事欠かない伏魔殿を指宿は奔走する。腐敗した組織が、ある罠を用意しているとも知らずに・・・・。

「総務特命担当者」の運命はいかに!?



昨今人気の、池井戸氏が銀行の暗部を描いたミステリテイストの短編集です。これまでに読んだ「果つる底なき」では、都銀の融資・回収担当者がメインでした。「架空通貨」では、商社の元与信担当者が主人公でした。今回の主人公は、都銀内部の総務「特命」担当者。特命、といえば特命係長・只野仁が思い浮かんでしまいますが、ある意味では似たような「銀行内部の不祥事」の担当です。

もちろんそんな部署はいろんな部署に嫌われています。銀行の不祥事解決に加えて、組織間抗争にも巻き込まれたりと、内容の濃い一冊です。


短編集ではありますが、主人公や登場人物は同じキャラクターとなっており、世界観も共通です。8話の短編が用意されていて、「情報漏えい」「社員のAV出演疑惑」「組織腐敗」「誘拐」「ストーカー」「組織間抗争」

「稟議」「ペイオフ」などのテーマが掲げられており、当時においては時事的な小説になっていたのかもしれません。もちろん全ての話に銀行・金融の要素と、ミステリ的な要素が絡められていて、銀行内部のカネと謎に迫る作品です。

特徴的なのは、ラストは読者に任せているということ。完全解決が見えた事件は、最後まで描ききっていません。いくつかの短編では、最後まで描写されておらず、あとは想像にお任せします、といった終わり方になっています。ですが、不満の残る終わり方ではありませんので、ご安心を。


「俺の仕事は、行内のヤバい話をもみ消すこと。」

「スキャンダルは100%つぶせ」


こんな感じのお話です。



オススメ度 ☆☆☆



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