桐野 夏生 「グロテスク」です。

上下巻、文春文庫から。


グロテスク〈上〉 (文春文庫)/文藝春秋
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グロテスク〈下〉 (文春文庫)/文藝春秋
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【裏表紙から引用】


(上)


名門Q女子校に渦巻く女子高生たちの悪意を欺瞞。


「ここは嫌らしいほどの階級社会なのよ」


悪魔的な美貌を持つニンフォマニアのユリコ、


競争心をむき出しにし、孤立する途中入学組みの和恵。


ユリコの姉である’わたし’は二人を激しく憎み、陥れようとする。


圧倒的な筆致で現代女性の生を描ききった、桐野文学の金字塔。



(下)


就職先の一流企業でも挫折感を味わった和恵は、夜の女として


渋谷の街角に立つようになる。


そこでひたすらに男を求め続けて娼婦に身を落としたユリコと再会する。


「今に怪物をめでる男が現われる。きっと、そいつはあたしたちを殺すわよ。」


’怪物’へと変貌し、輝きを放ちながら破滅へと突き進む、女たちの魂の軌跡。



【ひとこと】


すごい話だ。


ハーフに生まれた主人公のわたし。

わたしとは対照的に怪物のように完璧に美しい外見を持つ妹・ユリカ。

最初から最後まで、わたしの妹への嫉妬や嫌悪感、うらみつらみが

滔々と語られます。


あるときOLの殺人事件が報道され、被害者がユリコであることが

わかります。連続的に、高校時代の同級生・和恵が同じように被害者に。

事件を発端として、わたしの幼い頃から今までのなにやら胸の奥に渦巻いた

陰鬱な記憶が延々と語られ続けます。

グロテスクな小説です。

わたしの性格は、ひねくれていて、嫉妬深くて、なんというか性格が不細工

すぎて、ラストまで読んでいると非常に不愉快なキャラクターでした。

わたしの視点から、過去が語られその後、ユリコ・和恵などの女の人生が

それぞれの視点から明らかになります。


上巻は主に高校時代。

小学校・中学校・高校とエスカレーター的にあがってきた生徒たちはエリート。

高校から入ってきた生徒は、最下層。

学校のヒエラルキーに組み込まれてしまった最下層組の日常は

読んでてつらいものがあります。


下巻では、連続殺人の容疑者の陳述と、ユリコ・和恵の死ぬ前までの

回想になっています。

真実は明らかになっていきますが、女の堕ちっぷりといいますか

低空飛行を続けていたけど、結局上空へは届かなかった女の成れの果て

的な陰鬱な内容が続いていて、正直誰得な内容です。


ミステリ・サスペンス的な要素もなく、裏表紙のとおり「文学」という表現が

一番近いのかもしれません。

エンタテインメントからはほど遠い作品ですので、最初から最後まで

退屈と断ずる人もいると思います。

面白くないわけではありませんが、あまりオススメはできません。


オススメ度 ☆