美濃牛:殊能 将之

テーマ:

殊能 将之「美濃牛」です。


講談社文庫から。


美濃牛 (講談社文庫)/講談社
¥1,090
Amazon.co.jp


【裏表紙から】


病を癒す力を持つ「奇跡の泉」があるという亀恩洞は、別名を


「鬼隠れの穴」といい、高賀童子という牛鬼が棲むと伝えられて


いた。運命の夜、その鍾乳洞前で発見された無残な遺体は、


やがて起こる惨劇の始まりに過ぎなかった。


古今東西の物語の衣装と作家へのオマージュがちりばめられた


精密で豊潤な傑推理小説。



【ひとこと】


デビュー作、ハサミ男が面白かったので、本作を購入しました。

タイトルからして牛をじっくり育てていく物語かと思っていたら

マジで育てていました。


結論から言うと、不可解な殺人事件が連続で起こり、探偵役が

謎を解決していく、純粋な推理小説です。


主人公はフリーライターの天瀬。彼は、出版社の命令で美濃へ

「奇跡の泉」を取材しに訪れるところで、事件に遭遇します。

「奇跡の泉」がある、という話を持ってきたのはなんともあやしい

肩書きを持つ、謎のキャラクター・石動。

本作では、彼が探偵役、というか物語の解説を挟んでくれる

狂言回しのような役割を果たします。


緻密なトリックや斬新な動機によっておこされる事件は特に

なかったように思います。推理小説としてはごく一般的な

作品だと思いました。それなりに驚きの展開は用意されていますが。


それよりも、他作品からの引用の多さ。

作品最後の引用文献が5.6ページありました。

解説によると、物語の土台やキャラクターについても、江戸川乱歩や

横溝正史からのオマージュになっている、とされています。

あまり古い作品を読んでないのでピンときませんが、古くからの

読者だとわかるんでしょうか。

そういう意味では、本当に読書家な人にこそ勧められる本なのでしょう。


個人的には冗長。

主要キャラクターが俳句を嗜んでいる様子が描かれていて

句会の描写があるのですが、なるほどと思える俳句があり

楽しめました。

それ以外は普通の推理小説です。


オススメ度 ☆☆☆