道尾 秀介「向日葵の咲かない夏」です。


新潮文庫から。



向日葵の咲かない夏 (新潮文庫)/新潮社
¥704
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【裏表紙から】


夏休みを迎える終業式の日。先生に頼まれ、欠席した旧友の


家を訪れた。きい、きい。妙な音が聞こえる。


S君は首を吊って死んでいた。


だがその衝撃も束の間、彼の死体は忽然と消えてしまう。


一週間後、S君はあるものに姿を変えて現われた。


「僕は殺されたんだ。」と訴えながら。


僕は妹のミカと、彼の無念を晴らすため、事件を追い始めた。


あなたの目の前に広がる、もう一つの夏休み。




【ひとこと】



道尾秀介氏のホラー作品です。

氏の作品は初めて読みました。


ジャンルはホラー。

ミステリ的な書き出しで、物語の構成もミステリであることは

疑いありませんが、幻想的な設定がホラー的な印象をより強めます。


小学生の主人公ミチオ。彼の同級生S君が欠席した日、彼の家に

いくと、首を吊ったS君が発見されます。

担任の先生と一緒にもう一度訪れると、死体は消えていました。

ここまではよくあるミステリ的展開です。


そして、このあと、S君は姿を変えてミチオの前に再び現われます。


このあたりから非常にファンタジックな設定に移行するのですが

ミステリという大枠は保ったまま、S君の設定にだけ異常性を持たせる

ことになり、なんとなくアンバランスな、どう読んでいいのか分からない

小説になってしまいました。


徐々に真相が明らかになり、ミステリ的な手順でラストを迎えますが

やはりその内容の異常性に注目せざるをえず、全体的に読むと

ホラーなテイストが強い作品であるといえます。

生まれ変わったS君、3歳児なのに異常に大人びた言動をする妹、

精神を病んだ母親、無関心な父親。

興味を引く要素はいくらでも登場します。

救いのないラストではありますが、何の偏見も持たずに読むほうが

楽しめると思います。


が、好き嫌いはとても分かれそうな小説です。


オススメ度 ☆☆