前回は空気抵抗を受けるばね振り子の強制振動を支配する



2階線形微分方程式に現れる質点に作用する3つの力の



大きさと位相のずれについて書きました。



今回の投稿では、角振動数ωを変化させたときの



3つの力の反応についてみていきます。さて3つの力とは、



① 慣性力f₁= m*d²X /dt²=-m*ω²*A*cos(ω*t-δ)



② 空気抵抗f₂= 2*m*γ*dX/dt2*=-m*γ*ω*A*sin(ω*t-δ)


 

 ③ 単振動の復元力f₃= m*ω₀²*X =m*ω₀²*A*cos(ω*t-δ) 



上にあげた3つの力のベクトル的関係図は、


以前にも示しましたが、


下図のようなものです。



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外力の角振動数ωが固有角振動数ω₀の付近では、



変位X(t)の振幅Aはとびぬけて大きくなります。



これは、共鳴をおこすからです。



このことは、非常によく知られている事柄で実際に



ω≒ω₀の付近では物理的に興味深い現象が生じますが、



まずは、ωがω₀よりも非常に小さい場合(ω≪ω₀)



外力の角振動数ωがω₀よりも非常に大きい場合(ω≫ω₀)の



2つの場合をみていきます。




①ω≪ω₀ の場合 この時は、おもりは、必然的に



外力に同調しして、



振動する、と考えられます。



振幅は、一定の外力f₀(外力の振幅)による



変位f₀/(m*ω₀²)から、あまり、違ってくることはありません。



②ω≫ω₀の場合 この時は、高い振動数による



大きな加速のため 



慣性力f₁=m*d²X/dt²=-m*ω²*A*cos(ω*t-δ) 




が大きくなります。そして、振幅は、小さくなります。

 



以上のことは、以下のことを示しています。



①ω≪ω₀ の場合 m*d²X/dt²のの項が、k*x の項に比べて



あまり重要ではありません。



これは、応答がばねの「硬さ」に支配されている状態です。


そして


②ω≫ω₀ の場合 m*d²X/dt²のの項が、k*x の項に比べて、



格段とおおきくなります。この項に比較して



k*x の項は重要でなくなります。



応答は、慣性に支配されて、変位X(t)と外力との位相のずれは、



πとなり、振幅は、小さくなります。



この2つの場合の位相のずれと振幅の違いは、



下図の1と2をみて下さい。



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両者とも空気抵抗のない場合を扱っていますが、



図1を見てください。支持点AとBを周期的に振動させます。



すると、左側の図(ω<ω₀)の場合では、



支持点A、Bと糸の下端につけられた質点P、Qは、



中心線の同じ側に存在し、外力とその応答である変位Xとは、



位相のずれがないことを示しています。



右側の図(ω>ω₀)の場合では



支持点A、Bと糸の下端につけられた質点P、Qは



中心線の反対側に存在し、外力とその応答である変位Xとは



、位相のずれは、πであることを示しています。


振幅に関しては、


左側(ω<ω₀)の場合は、


支持点A、Bに加える周期的外力の振幅の値(一定)を


加えた場合とあまり変わりません。


右側(ω>ω₀)の場合は、振幅は、小さくなります。


今回の投稿では、ωに関する2階線形微分方程式の


3つの力の項のωによる変化を見てきました。


次回の投稿では、空気抵抗を受けるばね振り子の強制振動


での力とエネルギーの移動等を見ていきます。


               

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前回の投稿では、空気抵抗を受けるばね振り子の

 


 

 

強制振動において、おもりの運動方程式をたてそれが、

 


 

 

非同次2階線形微分方程式となりその特殊解の

 


 

 

未定定数である振幅Aと初期位相δとを求めるところまで行きました。

 


 

 

振幅 A=f₀/√((m*ω₀²-m*ω²)+(2*m*γ*ω)²) 

 


 


初期位相δ


 tanδ=(2*m*γ*ω)/√((m*ω₀²-m*ω²)+(2*m*γ*ω)²)


 が、各々得られました。


今回の投稿では、前回にたてた非同次2階線形微分方程式


① m*d²X/dt²+2*m*γ*dX/t+m*ω₀²*X=F₀*cos(ωt)


の左辺の各項の持つ意味を


 

探っていきたいと、思います。


先に結果を申し上げますと


一番下の図にまとめて記載していますが、


第1項 m*d²X/dt²=-m*ω²*A*cos(ω*t-δ)

 

            m*ω²*A*cos((ω*t-δ)-π )=f₁  


これは、慣性力を表しています。


また、変位X(t) に対して位相がπだけ遅れます。


第2項 2*m*γ*dX/dt2*=-m*γ*ω*A*sin(ω*t-δ)

 

                 =m*ω²*A*cos((ω*t-δ)+π/2 )=f₂ 


これは、空気抵抗を表しています。


また、変位X(t) に対して位相がπ/2 だけずれます。


第3項 m*ω₀²*X =m*ω₀²*A*cos(ω*t-δ)=f₃


これは、単振動の復元力を表します。


変位X(t) とは、位相が同じです。


位相のずれを求めるには、三角関数の余角の公式。


補角の公式を使いRLC直列交流回路と


同じ要領で行うことは、いいですね。


これらの力をRLC直列交流回路


におけるベクトル和と同じ要領で、


横軸に変位X(t) 縦軸に力 という座標を設定し、


慣性力f₁ 、空気抵抗f₂、 単振動の復元力f₃、


周期的外力の振幅の絶対値f₀


をベクトル的に記入すると、


f₀sinδ=f₂=2*m*γ*ω*A(空気抵抗の振幅の絶対値)




f₀cosδ=f₃-f₁=(m*ω₀²-m*ω²)*A


(単振動の復元力-慣性力)の振幅の絶対値


の2式を得ます。


この2つの式から、機械インピーダンスといわれる量Zと


、位相のずれδが、以下のように求まります。


 tanδ=f₂/(f₃-f₁)=(2*m*γ*ω)/((m*ω₀²-m*ω²)+(2*m*γ*ω))


Z=f₀/A=√((m*ω₀²-m*ω²)+(2*m*γ*ω)²) 


このZの単位は単振動の復元力の定数と同じ(N/m) です。


次回の投稿では、外力からされる仕事と


質点のエネルギーとの関係を見ていきます。



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久しぶりの投稿です。


私の下に本当に久しぶりに理学部物理学編入志望


の高専生が来てくれています。


指導科目は、主に物理学です本人の希望もあり


運動方程式あたりからの指導ですが、ついこの前は、


空気抵抗を受けるばね振り子の強制振動を指導しました。


この分野は、10年くらい前までは、頻出の花形でした。


特に素子やパーツの力学と電磁気における対応


に出題の人気が、高まりました。


神戸大理学部物理や、電通大ほかでよく出題されたものです。


しかし、現在の理学部物理学科の頻出分野は、


練成振動にシフトしているみたいです。


しかしながらややこしくて理解しづらい分野に変わりはないです。


数学の非同次2階線形微分方程式の学力も試すことができ、


出題者にとっては、あいも変わらず、出題したくなるところです。


さて、講義で取り上げたのは、下図のごときシンプルなものです。



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鉛直につるされたばね定数kのバネの下端に


質量mの質点をつけ、


さらにその質点に周期的外力f(t)=f₀:*sin(ωt) を加えます。


そして、質点には、大きさが速度に比例する


空気抵抗が作用します。


x軸の原点をつりあいの位置にとり、下向きにx軸を設定します。


そして、 質点の運動方程式を立てるとそれは、


下の①式のような2階線形非同次微分方程式です。


① m*d²X/dt²+2*m*γ*dX/t+m*ω₀²*X=F₀*cos(ωt)


m:質点の質量 、mγ:空気抵抗の比例定数


 k=mω₀² ω₀:質点とバネの系の固有角振動数


①の一般解は、①の同次形の一般解と①の特殊解との和で、


与えられますが、同次形の一般解は、減衰振動を表し、


時刻が、ある程度経過すると消滅するので、


①の特殊解を求めることがメインテーマになります。


その特殊解の導きが、一苦労です。


数学でも。


純数学的には、未定定数法や、ラプラスや、


フーリエを用いる処理の仕方が、ありますが、


ここでは、物理のセンスを生かす解法を試みます。


①は、微分の最高次が、2より、未定定数は、


2つ出現すると考えられるので、


それを振幅Aと初期位相δとします。


また、十分時刻が、経過すると、質点の角振動数は、


外力f(t) と同じωと考えられます。


以上のことより、①の特殊解を


② X(t)=A*sin(ωt+δ) と仮定し①に代入し、


sin,cosに加法定理を利用して展開します。


そして、左辺と右辺でのsin,cos の係数を比較します。


その際に、左辺のsinやcosを展開するよりも


右辺において cos(ω*t)→cos((ω*t-δ)+δ) と


変形しcos(ω*t-δ)とsin(ω*t-δ)とで右辺を展開し、


その2つで係数比較するほうが、


処理が、楽かと思います。


係数比較の結果、2つの式が得られます。


f₀*cosδ=A*(m*ω₀²- m*ω²) ⑥`


f₀*sinδ=2*m*γ*ω ⑦` 


δは、外力f(t) 変位x(t) との位相のずれです。

この2つの式から、


一般解X(t)と 外力f(t)との位相のずれδ、


X(t)の振幅 A とが、求まります。



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さて、次回の投稿では、微分方程式①`の左辺の各項の


力の大きさと位相のずれとを考察します。



 










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