弱さと強さ

2006-04-13 15:30:00 テーマ:考える絵本

100万回生きたねこ

『100万回生きたねこ』

作・絵 佐野洋子   講談社




100万年も しなない ねこが いました。


あまりにも有名なこの絵本。

私も当然のように小学生の頃読んだ。


100万回も生きて

100万回も死んだ猫。


100万人の飼い主が

その猫が死んだときに泣いた。


でも、猫は一度も泣いたことがなかった。


猫はどの飼い主も嫌いだった。

戦争ばかりしている王様

船乗り、手品師、泥棒、老婆、そして少女…。


野良猫になったときもあった。

沢山のメス猫が

お嫁さんになりたがったけれど


猫は好きのは自分だけだった。


しかし

たった一匹の白い猫。

彼女だけは猫に見向きもせず


猫が100万回も生きたことを自慢しても

「そう」と言うばかり。


でもある日


「おれは 100万回も・・・・・。」

と いいかかけて、ねこは、

「そばに いても いいかい。」

と、白いねこに たずねました。


2匹はずっと一緒にいた。

子猫が沢山生まれた。


猫には初めて

自分よりも好きになれるものが出来た。

いつまでも一緒にいたいと思った。


しかしある日

年老いた白い猫は動かなくなった。

猫は初めて、泣いた。


泣いて、泣いて、100万回も泣いた。


泣き止んだとき、猫は

白い猫の隣で静かに動かなくなった。


ねこは もう、 けっして 生きかえりませんでした。


何度も死ぬことなど

何度も生きかえることなど


ない。

それは偽り。

そういうことを言いたい絵本ではないはず。

子どもたちにも理解して欲しい。


生きたい、と思ったとき

その生が本物になる。


この絵本を読むと私はそう思えてならない。


守りたいものが出来ると

人は弱くなるもの。

猫はその時、本当の死を迎えた。


けれど、それが真実。


弱さは必ずあるもの。

それに気付き、認めることが、強さ。


絵も素晴らしく

白い猫の死を嘆く猫の絵は

心に突き刺さるものがある。


けれど大人になった私が

思わず涙しそうになったのは


そばにいてもいいかい、と

猫がそっと言った場面だった。





この絵本を子どもに読み聞かせることに賛否両論あるようです。

受け取り方は子どもの自由とはいえ、親としては

テーマをはき違えないよう導いていきたいところです。

皆さんのご意見も伺いたいと思います。

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 らんきんぐ

コメント

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1 ■素敵な記事…。

新歌さんの記事が心に響きました。
この絵本って読むたびに感想が変わるというか、心に残るシーンが違ってきます。
自分しか見えていないものは、100万回生きたとしても、幸せは得られない…。相手を想う心を得て、初めて生きている実感を得られる…最近の私の解釈はこうです。
でも、新歌さんの感想にもとても共感しました。

2 ■アメーバ図書館

新歌さま

御礼が遅れまして大変申し訳ございません。

スクラップブック「アメーバ図書館」発起人の川端裕と申します。

この度は「アメーバ図書館」へのご登録ならびに素晴らしい書評のご投稿、誠にありがとうございます。

これからも新歌さまのご投稿を心待ちにしております。

今後とも、何卒宜しくお願い申し上げます。

川端 裕


追伸
こちらのブログ、素敵ですね。「100万回生きたねこ」大好きなんです。

新歌さまのお人柄、お母さまらしいお優しさがとてもよく伝わってまいります。

お陰様で、こちらまでなんだか穏やかな気持ちになれました。

ありがとうございました。


そうそう、新歌さまはちょうど「アメーバ図書館」の600人目のメンバーです。

記念すべき区切りを新歌さまにつけて頂いたことを本当に嬉しく思います。

重ねてお礼申し上げます。


本当にありがとうございます。

3 ■心に響きます・・・

先日はコメントありがとうございます。
ようやく遊びにこれました。
とっても素敵なブログですね。
新歌さんの言葉が心に響いて、
温かい気持ちになれました。
私もこの本、大好きです。
心のどの部分にふれるかは毎回違うのだけど。
たくさんの絵本を紹介されてるので、
またじっくり読ませていただきますね☆

4 ■京女さんへ

そう言って頂けると本当に嬉しいです。
私も同じで、以前読んだときとは違うところに心惹かれたりしました。
京女さんの解釈にも共感します^^
なぜ猫が100万回生きたのか、そこに答えがあるような気がしますね。

5 ■懐かしい

この本は私も当たり前のように
子供のころ呼んだ記憶があります。
でも、内容ははっきり覚えていませんでした。
大人になって改めて
読んで解釈してみると新たに気づくことが
あったりして楽しいし、
新たな感動を覚えるものですね。

6 ■川端 裕さんへ

こちらこそ、ご挨拶が遅れました。
ご訪問&コメントありがとうございます。
絵本以外の本に関しましてはまだまだ数冊程度の記事しか書けず
この先もどうなるか分かりませんが
皆さんの記事を拝見して、自分の読書の参考にさせて頂きたいと思います^^

この絵本は本当に多くの人に愛されていますね。
私なんぞの記事ではこの絵本の大きさを伝えきれないのですが
もう一度この絵本を手に取るきっかけとなれば嬉しく思います。

わぁ~600番目ですか!記念すべきときに仲間入りさせていただいたことも
そうですが、600人もメンバーがいらっしゃるということに驚きです。
これからもますます沢山の方と、素晴らしい本が共有出来ればと思います^^
ありがとうございました。また遊びにいらしてくださいね。

7 ■100万回と1回

皆さんと一緒で、読むごとに様々な解釈ができてしまい感想が難しいですよね。
今思うのは
100万回生きて100万回死んだ猫が、100万回と1回目で初めて愛情を外に注ぐことが出来て本当の意味で生きることが出来たんだなぁということ。
子供の頃に読んだ記憶はないのですが
子供の頃の記憶を持って、大人になってから読んでみる人多いみたいですね。
解釈が違っていてビックリ?
また、子供と読んでみようかな?

8 ■riruさんへ

ご訪問&コメントありがとうございます^^
温かいお言葉を頂いて嬉しく思います。
仰るとおり、読むたびに違うものを得ることの出来る絵本ですね。
そういう絵本は結構ありますが、世代をこえて読み継がれることの
理由のひとつのなのかもしれませんね。

私もまたお邪魔させていただきます^^また遊びにいらしてください。

9 ■pinkpuyopuyoさんへ

是非もう一度読んでみて頂きたいと思います^^
子どもの頃に読んだ印象は、私もあまり覚えていないのですが
やはり大人になってから読むと
「あぁ~こういうお話だったなぁ」という懐かしい思いと
仰るとおり新しい思いが与えられて面白いものです♪

10 ■ジャスミンさんへ

こういう絵本って、本当に貴重ですね。
読む人ごとに、読む時々に様々な思いを与えてくれますね。
愛することが出来たときからが本当の意味で生きることが出来たのですよね。
本当にそうですね。それまでの猫は100万回生きたとは言っているけれど
本当に生きていたとは言えないのかもしれません。
私も子どもの頃とは違っていて
ラストで「可哀想に」とはあまり思わないのです。
悲しいですが、本当に生きることが、やっと出来たのですからね^^

11 ■おはようございます!

新歌さん
この本、初めて読んだ時によくわからなかったんですよ・・・
どこがいいのかな~って思いました。
でも、次に読んだ時、ちょっとちがう気持ちになりました。
100万回生きた猫はしあわせだったと思います。

12 ■赤ずきんちゃんへ

おはようございます^^
確かに私も子どもの頃、ピンとは来なくて
ただ可哀想なイメージが残りました。
でも好きでした、この絵本。
そうですね。最後には本当の愛を知ることができて、本当に生きることが
出来た猫を見ると、100万回生きていた頃よりずっと
幸せそうに見えますよね^^

13 ■こんにちは。

この絵本大好きです(^^)
家の本棚にあります。
感動して衝動買いした1冊です。
まだ読み聞かせたことはありません。
…自分が泣いちゃうからダメなんです。
なんでだか、ボロボロ泣いちゃう。
だから、娘には本棚の存在に気づいたら、自分で手にとって欲しいなあと思っています。
彼女にとって必要なときがきたら、自然にそうなると思うので。

14 ■あひるさんへ

こんにちは^^
いつ、娘さんが本棚からその手に取るのか楽しみですね♪
私も今回は以前読んだときよりもグッときました。
自分が泣いちゃうから読めない本てありますよね^^;
私も泣いちゃう歌とかもあります。

15 ■なぜだろう?

賛否両論あるんですか?
反対の方の意見って、どんなんだろう?ちょっと、きいてみたい気がします。悪い意味でなく、興味があるという意味で。
知り合いは、友だちが結婚するときに、いつもプレゼントするんだって言っていました♪本当に、深い愛の形ですよね。
佐野洋子さんて、エッセイでは、かなりイケイケでおもしろい方。この絵本を読む度に、彼女のうちに秘めているものを感じて、なんだか楽しくなります。(佐野さんのエッセイファンなんです!)

16 ■こんばんは^^

うちの旦那さんは
 この絵本の意味が
りかいできず^^; なんども
よんでました(笑)
 わたしは この絵本大好きです。

でっ、 これと 大きな木を 
旦那さんにすすめたんです^^

どっちも おなじ感覚がのこるって
いってました^^
理解できてないわけでは 
ないんだな~って 思った絵本です^^*

17 ■こももさんへ

簡単に言うと
「何度も生き返ったりすると思われては困る。命はひとつ。」
「残酷な表現がある。小学校で読み聞かせていたら、それを聞いて児童たちが笑っていた。」
「死というものは、こんなに何度もストレートな表現で小さい子に見せたくない。」
などといった理由だったと思います。
作り話である以上、そこに意味を込めた寓話であることを
忘れてはならないと思いますが、私もちょっと
子どもたちにいつ読めばいいのかは考えていました。
佐野さん、楽しい方なんですね♪エッセイなど読んでから、絵本も読むと
また違う楽しみ方が出来そうですね^^

18 ■yura*さんへ

おおきな木、もいいですよね^^
どちらも切なさが残るお話ですよね。
彼らにとっての幸せはそれでいいのかな…?
と考えさせられるからかもしれませんね。
愛情というものについても、今一度考えさせられます。

19 ■生をまっとうすること・・・

この絵本を読むと、自分の『生』を考えてしまいます。自分をトラ猫と重ねてしまうのですね。
『死ねない』という苦しさは、『生きていない』ということの裏返し・・・。
愛することのすばらしさを知ることは、自分の生をまっとうすることでもあるのですね。そんなふうに思います。
-(や)-

20 ■山猫編集長様

なるほどなるほど…。
猫は白猫と出会って、本当に生きることが出来たのですよね。
愛することなしには、人も本当の意味で生きることは出来ないと私も思います。

21 ■この絵本は

大好きな一冊ですが、とても奥深く、読めば読むほど迷路に入っていくようで、なかなか書評がかけないでいる一冊です。
新歌さまの書評、すばらしいですね。心にしみました。
えっと、HPのリンク集をつくり、
こちらのブログも加えさせていただきました。これでまたちょくちょくお邪魔できそうです♪
もし何かありましたらすぐ訂正いたしますので、ご連絡くださいませ。
また遊びに参りますね!

22 ■くどうちえこさんへ

私もようやく書けた、という感じです^^
そう言って頂けると本当に嬉しいです。
でもまたしばらくしてから読んだら違う思いを持つのかもしれない本ですよね。

リンク、ありがとうございます^^光栄です。
HPへの統一、改めておめでとうございます♪
私もちょくちょくお邪魔したいと思います!

23 ■深い話ですよね

僕もずいぶん前に読みました。
考えさせられてしまいますよね。

24 ■chantuneさんへ

深いですねぇ。
「もっと深いのでは」「もっと何かあるのでは」
と、どんどん考え込んでしまう絵本ですね。
で、また単純なところに考えが戻ってきても
やはり心には何かが沸き起こってくるんですよね。
またしばらくしたら読んでみて
新しい何かを思い起こすことが出来ればと思います^^

25 ■年齢を重ねるごとに

新歌さん、こんばんは。
不在にしていたのでこの記事を読んだのは今です。とても有名な絵本ですが、受け取り方がみなさんいろいろあるので、この絵本の記事はすごく楽しみに読んでいます。
私にとってこの絵本は、昔読んだときと今ではとらえ方が変わったような気がします。でも変わらず、とても大切な絵本です。
私の記事は意味のない感じですがTBさせてくださいね。

26 ■masakoさんへ

TBありがとうございます^^
早速拝見したところ…いやぁ、しびれました!ほんとに。

仰るとおり、受け取り方が千差万別で
他の方の感想を聞くのが楽しいですよね♪
masakoさんの記事も、とても惹かれました^^

27 ■こんにちは

この絵本、いろいろな読み方があるし、子どもが読むことにもいろいろな意見があります。
でも、そうやっていろいろな意見が存在することは、この絵本の存在の大きさを証明しているのだとも思います。
子どもによっては、一度開いたらもう読みたくないという子もいるでしょう。子どもがたくさん出会う絵本の中にそんな絵本があってもいい、ぼくはそういうふうに考えます。

28 ■海五郎さんへ

こんにちは^^
本当に仰るとおりですね。大人がそうであるのと同じで
子ども一人一人が好きな絵本、また読みたい絵本、嫌いな絵本、怖い絵本と
受け止め方は千差万別ですよね。
私はつい自分の好きなものは好きになってもらいたいなぁと
思ってしまいますが当然子どもたちはそういう風にはならず、
3人それぞれの嗜好があるようで^^面白いものですね。

29 ■無題

この本、自分のために買いました。心の琴線に触れ、読むたびにボロボロ泣いてしまいます。以前、否の方のブログ記事を目にしたことがありました。ワタシが大切に思っている本なのに‥と、悲しい気持ちになった反面、いろんなとらえかたがあるのだなぁと気づかされたことでした。

30 ■パリコママさんへ

やはり賛否両論あるんですねぇ。
私としては、自分は大好きなのですが
子どもたちにはいつ読もうか、タイミングをはかっている絵本でした。
あまり小さいときには、ショックだけ受けられても勿体無いかなぁと^^;
でもきっと、いつ読もうが子どもたちは
私とは違う受け取り方をするだろうし、そこはそれぞれの自由ですね^^

31 ■感動です

大切な人大好きな人ができると人は弱くなるものですね・・・今までは1人やったけど二人分考えるようになって荷が重くなりますね。でもずっと1人のままで死んでいくのはもっと嫌ですね・・・でも主人公の猫の気持ちになると悲しくて死んでいったんだから可哀想だと思う

32 ■にゃんたさんへ

確かに、泣いて泣いて死んでいった猫の姿は痛々しいですね。
大切な存在を失うのは、想像するだけでつらいです。
そこを「二匹はずっと一緒に、仲良く暮らしました」で終わるのでは
ないところに、このお話に込められた作者の想いがあるのでしょうね。

コメントありがとうございます^^また是非遊びにいらしてくださいね。

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