テーマ:社員のつぶやき
今でも印象に残っている喪主挨拶があります。
奥様を亡くされたご主人の言葉です。奥様は67歳。人生の最期を迎えるにはまだ早い年齢でした。
ご夫妻はご結婚されてからもそれぞれの業界において第一線で活躍されていらっしゃいました。互いに忙しく、ゆっくりと二人の時間を持つことはなく、それぞれが、真っすぐに前を見て歩んできた人生だったそうです。
それが三年前に、奥様がガンであることがわかり、生活は変わっていきました。ガンと正面から向き合うことを決意された奥様は仕事を退職。民間療法も含め、ガンに効くといわれるものはなんでも試し、積極的にご友人にも会い、大好きだったお酒とおしゃべりを楽しみ、仕事をしていたころには出掛けることのなかったご主人の講演会や手がけた仕事の現場にも足を運び、前向きに毎日を過ごしていらっしゃったそうです。夫婦の時間は増えていき、結婚して三十数年、初めて互いに向き合えたとおっしゃっていました。
そして、喪主挨拶の最後にご主人はこう結んでいらっしゃいます。
「ガンはわたしたちに、永遠の別れという悲しみをもたらしたけれど、それと同時に大切な夫婦の時間を与えてくれました。夫婦として初めて互いに向き合うことができました。ガンになってからも、前向きに人生を生きた妻の姿に“死ぬまで生きる”ということを学びました。」と。
今回の東日本大震災では多くの方が亡くなられました。幼い命も奪われました。救われた命と救われなかった命がそこにはあります。どうしてそういうことが起こってしまうのか…、なぜわたしは生きているのか…、そう思う時、わたしはさきほどの喪主様の言葉を思い出すのです。
「死ぬまで生きる」
人それぞれの人生があとどのくらいあるのかは誰にもわかりませんが、命あるものは、死が訪れるその瞬間まで、与えられた命を精一杯生き抜かなければならないのだとこの言葉は教えてくれました。