あの写真集

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何年か昔

ある人のクリスマスプレゼントに2つの物で迷った事があった。

その人と 少し深い話をした時に、自分は子供を持たない方が良いタイプだ というようなことを言った。


ほぼ初対面だったのに そんな話になって、
お父さんがもう亡くなってたその人は お父さんとあまり仲良くなかったと言っていた。
そのせいかな?


私はその時なぜかこの人は男の子のお父さんになるべきだと思ったの。
その時ですらもういい歳だったし、結婚しなさそうなタイプだったから なんでそう思ったのか不思議だった。

そしてクリスマスの前に洋書の写真集を本屋で見つけて、それは家族写真というより 父と子の生活をモノクロで撮った写真集。

父と子が同じポーズで眠っていたり 無意識に似た表情をしていたりするのを写した写真集。

その人に見せたいと強くおもった。


でもね、その人が好きだったので結婚とかされると寂しい。だから結局は悩んで別のものにした。 その人が好きなアーティストの洋書の楽譜。
音楽をやってる人だった。

何年かして 結婚しないと思っていたその人は 結婚して 男の子が出来た。


あの時の予感が当たったような気がしてあれはやっぱり渡すべき物だったんだと
結婚祝いにと 私はその時の写真集をずいぶん探した。

もうタイトルも忘れてしまっていて その時に行っていた洋書屋はもう廃業していて 手がかりは何もなくて。

ネットを見たり そういうのに詳しそうな本屋さんにあたってみたりしたけど どうしても見つけられなかった。

この話は本人にもした事が無いので 誰も知らない。


未来の暗示のような 予感のような その時のざわざわした気持ち。
立ち読みした時の紙の匂いや 周りの様子や 写真集の感触がまだ残っていて 時々思い出す。

時間というのは 連続しているようで 実は別の次元に移りゆくことを繰り返しているんじゃないだろうか。

その時は簡単にそこにあったのに絶対に見つからないものがある。

あの写真集はいまの私には もう探せないのだろうと思う。







♪言葉ノナイ森  : created by 夜


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