がむしゃらとボチボチ

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最近やたらボチボチとかゆっくりとか言いだしてる自分。

歳をとったのだ。

「がんばらない」
というのが合言葉になって久しい。
がんばりすぎてパンクする自分を知っているから。
経験値というのは大事ではあるけれど、行き過ぎると予測変換にすぐ「がんばらない」と出てくる。


物を床に落として拾うんだって、ちょっと一回間があくもんね。
「いきなりしゃがむと骨折るかもしらん」
ふと、しゃがんだ瞬間にボキッと鈍い音がする予想図が浮かんできて、「あわてないあわてない」
とまるでやる気のない一休さんのごとくである。
しゃがむくらいで骨折?と思うかも知れないけど、歩いてて足の骨を折った過去の経験値がそうさせるのだ。

全治3か月。


当時はまだがむしゃらだった。
ショップの店長という仕事を任されて休めない。
売り上げもあるし、第一代わりの人がいない。

通勤途中に小走りの私はかかとを捻り、捻った状態の足首に全体中をかけた。
イヤな方向に足首は曲がり、一瞬気絶しそうな痛みが走った。

しばらく痛過ぎてしゃがみ込んでいたが、何しろ開店の時間だ。
立ち上がり歩き出した。捻挫だと思っていた。
そのまま200メートル程歩いてみたところで、とても通常の速度では歩けない。
なにしろ足首がぶらぶらする。

歩きながら職場に電話をかけ、「少し遅れる」とスタッフに告げ、とにかくどこかで一旦、足首をテープかなんかで固定してもらえば歩けるんじゃないかと思った。


通り過ぎた道すがらに内科の医院があったのを思い出し、来た道をまた100メートル程戻ってその医院に飛び込んだ。そんなに混んではなかったので、待合室から何人かを経て診察室に呼ばれた。

今日ここに来た経緯を医師はふんふんと聞きながら履いていたソックスを下げる。


「まあ。ここまで歩いて来れたんなら、折れてはないでしょうけ、」

と言ったまま、ソックスを下げた私の生足を凝視した。

「折れてます」

足首から先がパンパンに腫れていた。

あんのじょう、内科専門の医院では処置はできないとの事で、整形外科のある病院に行く事になった。履いてきた靴は、脱いだ後に腫れ上がった足が到底入らず、片足は裸足。
親切な医院の奥様に車で自宅まで送っていただき、保険証を持ってタクシーで病院に向かった。

レントゲンを撮って、やはりの骨折、折れてるのは足首ではなくて、足の甲の部分だった。
さっそくギプスが作られる準備が整い、ギプスを撒かれながら、診察代の上で私はまた職場に電話していた。

「遅れるけど行くから」

ギプスを撒きながら整形外科医は「え?」と言い、「ちょっと今日は痛みも出るし、休めないの?」と驚いた様子で聞いてきた。

「無理ですね」と答え
「それより先生、ギプスをガンダムの足のように立てるように作って下さい」とお願いした。

「いや、ギプスは立っちゃダメだから。足に体重かけないように、床に着かないようにしないと」

困惑気味の先生になおも、仕事は休めない、立ち仕事なので立てるギプスにしてくれと言い張り、
ギプスの上から履ける靴は無いのか?靴屋を呼べと言い張る私。
靴屋は決められた曜日にしか来ないらしく、その日は違う曜日だったので来なかった。


「仕事はしてもいいけど、座ってできる仕事とかなにかあるでしょう?後方に回してもらうとか。」と医師は言うが、世の中そんなに甘くはないのだ。

「そんな仕事はないんです。立てないと仕事にならない」

根負けしたのか、ギプスは立てるように作られたが、足は床に着けないように、松葉杖は必須と医師から言い渡された。


病院のロビーで薬を出されるのを待っていると、会社から電話がかかってきた。

さすがに午後を回っていたので、今日だけは休もうかと思い始めたところだった。

かけてきたのはスタッフではなくて、当時の全フロアの責任者、いちばんエラい人であった。

明日から出勤します。という私に「頼むから休んでくれ。松葉杖の販売員を立たせているってお客様に怒られちゃうよ~」と逆に懇願された。

そして、私の言う通りギプスを作ってくれたけれど、歩き出そうとするとヒザの上までギプスがハマっているので、ヒザが固定されている事に後から気づく。

人間、膝が曲がらないと歩けないのだ。
ガンダムギプスは立てるけど歩けないギプスだったのだ。

してやられた。

結局ギプスをはめてる1ヶ月半。お休みをする事になった。


なんで、あんなにがむしゃらに出勤しようとしてたのかな?
いまなら文句なく休んじゃうけどな。


と、いかんいかん。

このゆるい気持ちを引き締めるべく、この文章を書き出したのに。
真逆の〆になってしまうじゃないの。


と、ひとりごちる如月のある日の午後。



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