猫木の変な挑戦『いろんな敦賀さんを書いてみよう。』
困惑混沌の朝。 から派生する続きのひとつ迂闊な男の彼。の続きとなっております。

この話には、深く考えて突っ込んではいけないところがちょこちょこと登場します。ぬるーく見逃してくださいまし。
(m。_。)m オネガイシマス


✄ฺ----✄ฺ----✄ฺ----✄ฺ----✄ฺ----✄ฺ----✄ฺ----



事務所の社長が乗っていたような長い長いリムジン。
ドアを開け降りてくる煌びやかな銀幕のスターたち。
その中に、彼はいた。
専属ブランドがこの日の為に設えたであろう遊び心の効いたデザインのスーツがより一層その美しい身体のシルエットを引き立たせている。
後ろへと流した黒髪、映画でも着用していたスチームパンク風に凝ったフレームの濃い色のサングラスをした彼は形の良い唇に笑みを浮かべ、群衆の熱狂と光の渦の中に引かれた赤いカーペットの上を共演した赤毛の女優をエスコートしながらゆったりと優雅に歩いてゆく。




春に公開されたハリウッドのアクション映画。
異能のヒーロー達が織りなす壮大な物語。その異能者の中でもミュータントな能力者、それが敦賀さんの役どころだった。
魔眼と呼ばれたその能力は『視る』ことによって能力者の異能と不死性を消し去るもので、役柄上その目を塞ぐために常にサングラスでその瞳を覆い隠していた。
クレジットは主演の俳優の次に刻まれるほどの重要で難しい役を、表現の要ともなるあの強い瞳を隠してさえ、あざやかにスクリーンの上にその演技力を発揮してみせた。
それはもう各役の台詞まで暗記してしまいそうなほどに何度も映画館へ通いつめたと言うのに、気が付けば毎回息を飲んでのめり込んでしまう程で。
日本のファンはもとより、世界の人々に『敦賀蓮』と言う役者の魅力を見せつけていた。



やっぱり……遠いなぁ。
必死で追いかけていたつもりの背中。
だけど……
月とすっぽん雲泥万里提灯に釣鐘で猫に小判豚に真珠犬に論語兎に祭文で天と地の差だわ。
煌びやかなハリウッドのレッドカーペット上のスターと炬燵に焙じ茶にみかんがしっくり来てしまう所帯染みた私。
比べるものにさえならない不釣り合いでちぐはくでちゃんちゃらおかしいわ……そんな事を思いながら、チクリと痛む胸を無視するようにガシッとトレーから取った橙色なみかんの皮をわっしわしと剥く。
この部屋に、あの寝室のベッドにほんの一時でもあのひとがいたなんて嘘みたい。
それこそ、掃き溜めに鶴ならぬ我が家に敦賀だわ。
こんなにも遠いひとなんだもん……やっぱり……あの夜なんてなかったことにしてしまいたいんでしょう?
なのに……私の耳の奥に今も焼き付いたように残る低い声。
あの朝、何かに耐えるような思いつめたみたいに瞼を伏せていた敦賀さん。
なんの言葉もなく、私も何も言えないままで……ただ、ぎゅっと抱き締められていた。
敦賀さんのオフの時間の終わりを知らせるアラームが鳴って、敦賀さんは言ったの。
私の耳もとへ掠れた声で小さく、囁くように……まるで祈るみたいに敦賀さんが残した言葉。
それを無理矢理に頭から追い出すようにぶんぶんと勢い良く左右にクビを振っていると、彼の名前を読み上げる声と歓声がテレビからながれた。




名を呼ばれた敦賀さんは堪えられぬ喜びを噛みしめるように唇を一瞬だけくっと結んだあと、歓声と拍手の中をステージへと進む。
スポットライトに照らされた敦賀さんはスピーチの為にマイクの前に立った。
At first I want to tell this joy to the close friend who believed me than anyone else.And to the parents who watched it.(この喜びをまず誰よりも私を信じてくれた親友へ。そして、愛をもって見守っていてくれた両親に感謝を伝えたい。)』
静まりかえったホールに響く低い声は、そこで少しだけ間を置いて続けた。


『Kyoko』


『According to the promise that I did in the morning of that day(あの朝の約束通りに)』




呼ばれた思いがけない名前。
甘く囁くみいいに……祈るようなその声に引き金を引かれて私の耳の奥、よみがえるあの朝の低い声。


「こんなふうに触れさせるのは俺だけにして、俺以外の誰のものにもならないで……」


あの朝、背中を抱いていた腕とぬくもりと香りと共に脳裏に浮かび上がる。
甘く掠れて囁くように……祈るみたいだった、その声が続けた言葉が



ないない、ありえない。いくらほにゃらら破廉恥な関係を持ってしまったとは言え、そんな訳ないと言い聞かせるようにぐるぐると思いながらTVの液晶画面を見つめていると
遠く、8000キロメートルの距離を隔てた場所に立つ彼は、助演男優賞を示す金の像を抱えた腕と反対の手を顔へと伸ばし、映画での役のシンボルマークだったサングラスを外すとまっすぐにこちらへと瞳を向けて告げた。



『Stay right where you are and coming to you.



「君をさらいに来るから……待っていて」




私にあの朝の残した言葉を



綺麗な……綺麗な、あのグリーンの瞳で。








ある意味、その映画祭の話題を掻っ攫った彼。



この時には、あちらで取材やらなんやらの仕事が舞い込みまくってるはずのお方が、まさか日本国な時間線の日付にしてたったの1日後、時間にして22時間と少しなんておかしな時間を経て……
彼の両親、とりわけ浮かれきった生ける宝石と呼ばれた彼の母親と用意した文字通り山のようなプレゼントやらエンゲージリングやウェデイングドレスから国際結婚に必要な書類その他諸々なんかまでの一式を抱えた彼が、入出国審査の為に戻した本来の姿のままで、まっすぐ真っ先に私を目指して帰ってくるだなんて





カケラも知らぬまま、思いもしないでいた迂闊な私の指から、ぽとりと……



口に運ぶ筈だったみかんが炬燵の天板の上へと落下した。





✄ฺ----✄ฺ----✄ฺ----✄ฺ----✄ฺ----✄ฺ----✄ฺ----✄



前の話に引き続きやっぱり怪し過ぎる英語。
グーグルエキサイト先生翻訳でっす。
(;´▽`A``


深く考えて突っ込んではいけないものそのさん。

へんてこ映画祭。
いくら役のシンボルマークだとてサングラスのままは、おかしかろうよ……


深く考えて突っ込んではいけないものそのよん。

ありえない時差。
日本が深夜なら向こうは朝の筈だぜよ?←んでも、女優なキョコさんが昼からおこたでテレビってのもなんかおかしな気がして……だけど、どーしてもリアルタイムで中継見てびっくりってのが良くてですね。笑


てきとー満載な話で、ごめんなさーい。
m(*T▽T*)m オ、オユルシヲ・・・



まじーん様よりいただきましたネタ。要約しますとこんな感じ?↓な

「一線を超えたからにはキョコさんは俺のもんだよね?さぁ、プロポーズに必要な書類その他諸々準備しないと……と、飛びまわる蓮くん。何も「詳しく」言われず放置のキョコさんには、たまに蓮さんから変な電話ありとか?(サプライズの「プロポーズ」を匂わせないように挙動不審な蓮くんははっきりしないまんま。)」

から、ねりねりぽちぽちと作ってみた話となっております。


まじーん様、毎度へんてこ話に変換してしまう猫木に呆れずに素敵なネタをありがとうございまーす!
ピーー☆━━━━━…‥‥(・_・ヽ) アリガタビーム!!



浮気疑惑のブロンド美女は「なんでキョーコを一緒に連れて来てくれなかったの!?」なジュリママで。
マスコミべったり引き連れたままさらいにくる詐欺妖精も、その後にきっとやって来る浮かれたヒズリ一家の襲来なんてまだ微塵も知らないまんま炬燵で呆然な、迂闊キョコさん。笑
あぁ、逃げ場がなさそう。
ァ,、'`( ꒪Д꒪),、'`'`,、


数だけはあるこのシリーズ、たまにはキョコさんしかいないこんな話もどうでしょうかねぇ?


↓拍手のキリ番っぽいのを叩いちゃった方は、なにやらリクエストしていただくと猫木が大喜利的にぽちぽちと何か書くやもしれませぬ。


web拍手 by FC2